
BtoB-ECカートの楽楽B2Bを運営する株式会社ネットショップ支援室が、2021年6月23日に、セミナー「ゼロから始めた「BtoB-EC」が1年で月商2,000万円!効果があった施策大公開」を開催しました。
美容医療のプラットフォーマーとして化粧品の卸販売をしている株式会社ヘッドスプリングの泉さんが、新規取引先をWEB(https://store.head-spring.co.jp/)で開拓していく方法から、売り上げを拡大するために行った方法を具体的な事例を踏まえてお話してくださいました。
【登壇者】
株式会社ヘッドスプリング
代表取締役社長
泉 成人さん
株式会社ネットショップ支援室
代表取締役
山本 皓一朗さん
株式会社キャッチボール
営業部 リーダー
辻 翔太さん
この記事の目次
BtoB-ECの成功の鍵は「リピート」
泉さん:2000年頃からBtoC-ECが始まり、この20年で大きな産業になりました。その波がBtoB-ECにも訪れています。BtoB-ECで成功している企業としては、モノタロウさんやアスクルさん、ビューティーガレージさんなどが代表的ではないでしょうか。とはいえ、BtoB-ECで成功している企業はまだ少なく、伸びしろがあると思います。BtoB-ECで成功するには今がチャンスではないでしょうか。

弊社は2020年4月にBtoB-EC事業を立ち上げ、9月までの半年間はサイトを手探りで整えていました。10月から施策を打ち始め、それ以降堅調に伸びています。サイトの立ち上げ当初は月商140万円ほどでしたが、2021年3月には月商2,000万円を超え、6月には月商3,000万円の着地予定となっています。
BtoB-ECを始めるにあたって、目的を明確にすることが一番大事です。弊社がBtoB-ECを始めた目的としては次の3つになります。
1.新規客を獲得する
2.リピーターのLTV最大化
3.作業の効率化(FAXやメールなどからの脱却)
各社によって、目的は異なると思いますが、私としてはリピーターのLTV最大化が一番やりやすい施策であり、かつ利益に直結すると思っています。BtoB-ECを始めるにあたって、どのようにLTVを伸ばしていくかを計画することが大切になってきますが、その方法はBtoCでやってきたことをBtoBに応用するだけです。
新規獲得推移

リピーターのLTV最大化について具体的にお話しさせていただきますと、2020年4~8月は新規取引社数が10社未満でした。9月から仕掛けを増やした結果、新規取引社数が徐々に増えていきます。
2021年4月の売上は2,700万円を超えていますが、新規取引社数は38社です。この月の既存顧客からの注文数は300以上あり、実は売上のほとんどがリピートによるものなのです。2020年4月から1年間で既存顧客から約1,000回の注文をいただいています。
BtoCでは、いかに新規顧客を獲得するかが重要ですが、BtoBはいかにリピートしていただくかが大切になってきます。BtoBはBtoCと比べて、一社当たりの単価が高いことと、解約率が低いことが理由です。
弊社のクライアントは美容系のクリニックです。対象となるクリニックは全国で約4,000件と少なく、ニッチな業界ではありますが市場としては非常に伸びています。まず、Webや電話帳などから美容系のクリニックの情報を収集しました。調査の結果、5,000件ほどクリニックがあることがわかりましたが、現在も営業しているクリニックを精査した結果4,000件ほどになりました。
効果があった新規獲得施策
新規獲得施策①:オウンドメディア

泉さん:新規獲得で効果があった施策の一つとしては、オウンドメディアの運用です。「わたしの名医(https://mymeii.jp/)」という美容医療に関するメディアを立ち上げ、検索経由で見込み客を集め、問い合わせに誘導しました。
ニッチな分野であるため、毎月10人ぐらいのドクターを取材して記事にすれば検索順位は上がっていきました。記事内に問い合わせボタンを入れて、見込み客の獲得につなげています。見込み客の可視化にあたっては、ハブスポットというツールを利用しています。ハブスポットを利用することで、どのページ経由で問い合わせがあったかわかるため、営業のクロージングがしやすいです。
また、SNSも活用しています。取材後の記事を「わたしの名医」にアップした後、その内容をInstagramにも掲載しています。フォロワー数は少ないですが、「わたしの名医」を知ってもらえるようになるので、営業や問い合わせのきっかけにつながります。SNSは認知度の向上につながるため、BtoCに限らずBtoBでも有効な施策だと思います。
新規獲得施策②:DM(ダイレクトメール)

泉さん:オウンドメディアの運用以外に、DMも新規獲得の施策として効果的でした。DMは全国4,000件のクリニックに、過去4回送っています。
DMの内容は新商品の現品プレゼントです。クリニックで働いている方はWebに不慣れな方も多いため、DM内にお問い合わせフォームの説明を丁寧に記載しています。DMからWebに誘導した際の離脱率を減らす工夫はしていますが、中にはどうしてもWebでの申し込みが難しい方もいますので、お問い合わせ用のFAX用紙も同梱しています。
1回4,000件のDMにかかるコストとしては約40万円ぐらいですが、毎回100~120件(送付数の2.5~3%)の問い合わせがあります。WEBとFAXの問い合わせは半々で、Webに不慣れな方が多い業界でも、半分はWebから申し込んでくれることがわかりました。
Web経由での申し込みのメリットとしては、会員登録をしてもらえれば、顧客情報を活用できるようになるので、マーケティング戦略の幅が広がることです。
効果があったLTV最大化施策
LTV最大化施策①:アップセル・クロスセル
泉さん:BtoB-ECの立ち上げ当初の2020年4月~8月は新規顧客が少なく既存顧客が多いため、客単価が6万円超でした。しかし、9月以降は徐々に新規顧客が増え、客単価がどうしても下がってしまいます。
Webならバナーなどでしっかりと告知をすれば、まとめ買いや、別商品の購入を促すことができます。これが営業マンで案内するとなると1件1件クリニックへ連絡する必要があり、クリニックにとっても迷惑ですし、営業も疲弊してしまいます。クリニックで働いている方は忙しいため、電話をかけても2割ぐらいしかつながらないのです。Webであれば必要なときにサイトに訪れてもらえるので、わかりやすいところにクロスセルやアップセルにつながるバナーを設置したことで、新規顧客が伸びていながらも客単価が上がっていきました。

LTV最大化施策②:無料プレゼント企画
泉さん:現在ではDMとSEOで、毎日3~4件の問い合わせがきています。問い合わせが多いのは人気商品ですが、利益率が低いため、取引が始まってからアップセルやクロスセルで利益率をあげています。
アップセルやクロスセルを行うにあたって、バナーをユーザーが通る導線に入れて、しっかりとオファーを訴求することが重要です。弊社の場合は、バナーは一番売りたい(利益率が高い)商品を載せており、オファーは無料プレゼントとなっています。無料で試してさえもらえれば、営業も連絡をしやすくなります。
ユーザーが通る導線としては、トップページや各商品ページ、購入画面がありますが、弊社の場合、注文完了ページにもバナーを掲載したところ、応募数が増加しました。
LTV最大化施策③:同梱チラシ
泉さん:製品発送時の同梱チラシは全員に同じものを入れてはいけません。たとえば、弊社の場合なら、サンプル商品を請求した顧客には本品引き上げのチラシを入れてアップセル。既存顧客なら新商品の紹介のチラシを入れてクロスセルを狙うといった戦略をとっています。

LTV最大化施策④:ステップメール
泉さん:ステップメールも非常に有効なリピート施策です。弊社の場合は、無料のお試し企画のみに申し込んだことがある方や、2ヶ月購入がない方に対してメールを配信しています。メールの内容や配信のタイミングに関しては、シナリオを設計しており、自動で配信されるようになっています。
今後はもっと楽楽B2Bを活用していきたい
広告の効果検証がしやすいため、PDCAを回すことができる
泉さん:今後は新規獲得に向けて、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(セールスフォースオートメーション)を活用していきたいです。またリスティング広告も試してみる予定です。ビッグワードは広告単価が高いですが、「ビッグワード+卸」であれば広告単価も下がるため、適正な獲得単価で集客できるのではないかと思っています。
冒頭でもお伝えしましたように、リピーターのLTV最大化はBtoB-ECを成功させるうえで重要になってきます。しかし、リピート施策をするためにも新規顧客を獲得しなければなりません。そのためには、広告は必要です。より多くの見込み客をどれだけ費用を抑えて獲得できるかが成功のポイントなのです。そのためにも、お試し製品で見込み客を獲得して本製品を購入していただく成功モデルを確立しなければなりません。
楽楽B2Bは、入口商品によって引き上げ率がどう変わるか確認できます。そのため、広告の効果検証がしやすく、施策の運用を効果的に行うことが可能です。
ポイントやクーポンを活用することで施策の幅が広がる
泉さん:他にも、ポイントやクーポンを効果的に活用したいです。注文はFAXからでいいと思っている方に対し、ポイントやクーポンを付与することで、Webで注文してもらえる理由を提案できます。楽天市場がうまくいった理由の一つはポイントの活用ではないでしょうか。BtoB-ECもBtoC-ECと同じだと思います。また、ポイントやクーポンは休眠顧客の掘り起こしにも使えると考えています。ポイントやクーポンの設定は自由度が高く、セグメントした顧客に対しての配信も容易です。
豊富な分析機能で営業に活かすことができる
泉さん:楽楽B2Bは分析機能も豊富です。アクセス分析機能を使えば、売上だけでなく、どれくらいのアクセスがあるかなど確認できます。また、都道府県別で受注金額がわかり、まだアプローチできていない地域がどこか把握できるので、営業戦略にも活用できます。高い基幹システムを入れなくても、楽楽B2Bの機能で十分こと足りているので、助かっています。
BtoB-ECを始めなければ会社は潰れていたかもしれない
泉さん:BtoBの営業担当者は3名いますが、コロナの影響でこの1年はクリニックに訪問できていません。BtoB-ECを始めていなければ、会社は潰れていたかもしれないでしょう。今では営業担当者はアウトバウンドはせず、きたお問い合わせに対してしっかりと対応しています。
また会員専用の動画コンテンツを作ることで、営業の方がクリニックに訪問して説明する工数を削減しています。動画以外にも、パンフレットデータなどPDFでデータをダウンロードできるようにしています。会員登録してからログインしないと動画の閲覧やパンフレットデータをダウンロードできないので、安心して情報を掲載することができます。
営業の仕事は、お試し商品の問い合わせをどれだけ引き上げるかに変わりました。一度Webで買ってもらえれば、あとはリピートしていただけます。営業の業務として通常の問い合わせ対応業務以外では、特にOEMなど商品製造の引き合いがきたら、単価はグッとあがります。
BtoB-ECに関して、ニッチなところであれば、まだまだブルーオーシャンだと思います。ぜひ、チャレンジしていただきたいです。
セミナーに参加して:BtoB-EC事業は少人数でも立ちあげ可能
最後の質疑・応答で、BtoB-EC事業は何人で運営しているかという質問がありました。サイトの制作やメール対応の指示は泉さんがしていますが、実際に制作など手を動かしている方は1人だそうです。
「BtoB-ECサイトにおいて、デザイン性はそれほど必要ありません。商品を選んでから買うまでの流れに、バナーなど必要な情報をしっかり見せて使いやすいようにできていれば問題ありません」と泉さんが話されていたことが印象的でした。
少人数でも運営できる理由は、BtoB-ECカートの楽楽B2Bを利用していることもありますが、決済システムの掛払い.comを導入されていることも挙げられます。掛払い.comを導入すれば、決済業務がほぼゼロになります。また、新規口座開設時に必要な与信チェックの代行や、売掛金の未回収リスクを100%保証し、掛払い.comが立替払いしてくれるなど、業務の効率化ができます。
少ない人数でも、BtoB-EC事業で結果を出すことができる理由は、楽楽B2Bや掛払い.comといったシステムが裏で支えているからなのでしょう。
BtoB-EC事業を始めたいと思っている方は、楽楽B2Bを運営しているネットショップ支援室さんや、掛払い.comを提供しているキャッチボールさんに相談してみてはいかがでしょうか。
株式会社ネットショップ支援室
https://raku2bb.com/contact/
株式会社キャッチボール
https://www.kake-barai.com/form/
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