
2024年5月17日にコマースピック主催でEC・D2C交流会を開催しました。当日はShopify 日本初代エバンジェリストの河野貴伸さんをお招きし、これまでさまざまなEC・D2C企業を支援された中で、感じたことや思ったことをぶっちゃけていただきました。その内容の一部をまとめています。
投影資料と講演動画(一部)は下記からダウンロードできますので、合わせてご覧ください。
この記事の目次
はじめに:リアルイベントを開催した背景
コマースピックは、EC・ネット通販を中心とした物販ビジネスメディアです。「読者の皆さんと一緒に作るメディア」にしていきたいという想いで、運営しています。
一緒にメディアを作っていただける仲間は、オンラインよりオフラインのほうが見つかる、できると思い、リアルイベントを開催したいと常々思っていました。
とはいえ、オンラインよりオフラインのほうがコストもリソースもかかってしまうため、なかなか腰が上がらず……。そんなときに、いろいろなご縁でMMOL Holdingsの河野さんと「交流会&トークショー」を開催することになったのです。
わざわざ時間を割いて来ていただけた方が、「行って本当に良かった」と思っていただけるように、河野さんにはこのイベントでしか話せないぶっちゃけトークをしてほしいと無理難題な注文した中で、リクエストにお応えいただき、大変感謝しています。
会場はチャネルトークの西村さんにお願いし、ご提供いただきました。当日の運営にもいろいろとご協力いただき、チャネルトークの皆様にはこの場を借りて改めて感謝申し上げます。
そして、イベントの開催のきっかけを作っていただいた、Innovation & Communicationの吉村さんにもお礼申し上げます。
今回のイベントはリアルでの開催のため、予定が合わずに参加できなかった方もいると思っていました。そこで、河野さんにコマースピックの会員限定でレポート記事や動画を公開する旨を伝え、了承をいただいたのですが……。
あまりにも赤裸々な内容であるため、会員限定であっても河野さんにリスクしかないため、問題なさそうな部分をピックアップしました。ほんの一部ですが、今後の事業を運営するにあたって、参考になれば幸いです。


(チャネルトークの水野さん)
EC市場はもう伸びない!? その理由とは
倒産・破産するD2C企業が後を絶たないと騒がれていますが、それだけコロナ禍が異常な状況だったと河野さんは指摘します。
ECのピーク点はコロナ禍で、今後は衰退していく一方だとのこと。なぜなら、外出自粛で巣ごもり消費が増加したにも関わらず、EC化率は10%程度。もうこれ以上の成長は難しいのではないかと危機感を募らせていました。
さらに、物流費の高騰もEC市場の拡大を妨げる要因として挙げられていました。物流の2024年問題をはじめ、配送料は上がり続けており、今後下がる見込みはないだろうと河野さんは話します。
日本のほとんどの大都市圏には、それなりのブランドや商品が集まっているショッピングモールがありますが、そのような環境で、わざわざ高い配送料を払ってまでECサイトで購入する人はいるのだろうかと疑問を呈していました。
これらの理由から、今までのように右肩上がりでEC化率が伸長することはないとのことです。
EC市場が縮小する中、どうやって生き残るか
少し前までEC市場は急速に伸びていたため、急な縮小に実感が湧かない方が多いのではないかと河野さんは述べます。どの産業であっても縮小し始めは、当事者は気づかないものだそうです。
ただし、市場は成長しなくても格差は広がるとのこと。市場が縮小する状況では、スケールメリットを活かさないと生き残れないため、Amazonや楽天市場といった規模の大きいところにECは集約されてしまうと言います。
そんなEC市場で生き残るために、河野さんはいくつかポイントを挙げられていました。
- リアルとどうやって組み合わせるか
(いわゆるOMO・オムニチャネル) - お客様に使い続けていただける商品力
(マーケティングやブランディングだけではリピートされ続けない) - 越境EC
(市場を広げる。ただしマーケットに合わせて商品開発から行う必要あり) - AIの活用
(詳細は下記に)
鍵を握るAIのメリットとは
市場が伸びないと新たな投資環境は厳しくなり、必然的にコスト削減が重要になると河野さんは言います。人材の採用も難しくなるとのことです。
そのため、AIの活用が重要になってくると述べられます。AIは24時間365日稼働し続け、クリエイティブの作成であれば、何百・何千パターンも生成できます。また、修正の依頼にも制限なく対応できるため、人間だと難しい部分をカバーし、コスト削減にもつながります。
カスタマーサポートにもAIは適していると河野さんは説明します。お客様のクレーム対応でスタッフが精神的に疲弊することもなく、さらに多言語対応が可能なため、越境ECのハードルが大幅に下がるのもAIならではとのこと。
AIを活用するために大事なこと
これだけAIが話題になっているにも関わらず、使いこなせている人は少ないと河野さんは指摘します。
新卒社員にビジネスマナーや社内ルールを教えるように、AIにも前提条件を伝えないと実務に活かすことが難しいと言うのです。
アメリカ人がAIを使いこなせるのはローコンテクスト文化だからとのこと。普段から何か伝える際に、全てを明確に言葉で伝える習慣があります。一方、日本人はハイコンテクスト文化のため、空気感や、周囲の温度感に合わせて表現することが多く、言葉だけで伝えるのが苦手な傾向にあるとのこと。このため、AIを使いこなすのに苦戦していると人が多いと説明します。
だからこそ、最初にAIに対してしっかりとガイドラインを設けることが大事だと強調されました。ガイドラインを設定することで、AIはそれを前提とした回答を提供します。事業やブランドに関して、前提条件や考慮すべき点を事前にインプットしておくことで、AIは適切な回答を出せるようになります。また、AIの回答が一貫していることも利点です。
もし、現在AIを完全に使いこなせていないと感じているなら、AIに対して人間のように教えることで、期待する回答を返してくれるようになるとアドバイスされました。
トークイベントの最後には、河野さんからAIの活用にあたっての想いも話されました。こちらは動画にて配信しています。下記フォームからメールアドレスをご入力いただきますと、メールにて投影資料と合わせて動画をお送りいたします。ぜひご覧くださいませ。
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