
2024年問題を受けて荷主各社は業務の委託先である物流会社・配送会社との付き合い方に苦慮されている印象を受けます。物流業界では毎年一定額・一定率のコストダウンを行っていたのは過去の話で今やコストの上昇をどう抑制するかという考え方が主流になってきているのです。そうした社会環境の変化の中で荷主としては今後物流業務の委託先企業とどうやって付き合っていけばいいのかについて考えていきたいと思います。今回のコラムでは昨今の物流を取り巻く環境を踏まえて、いま荷主に求められている委託先企業との向き合い方のヒントを3つご紹介します。
この記事の目次
下請け企業ではなくパートナー企業という意識をしっかり持つ
これまで荷主は物流業務の委託先企業のことを下請けと呼び、業務を丸投げする、といったような表現で関係構築をすることが一般的でした。しかしこれからはそうした従来の下請けという意識を変えていく必要があります。下請けと呼ぶ意識からの脱却は、単に契約上の関係を越えた、深い信頼関係に基づいたパートナーシップの構築を意味します。
パートナー企業としての意識を持つことは、単なるビジネス取引を超えた共同作業と捉え、双方の利益と成長を目指す姿勢が必要です。これには、定期的なコミュニケーションの強化、共通の目標設定、そしてリスクや利益の共有が含まれます。
相互理解を深めることで、単に業務を委託するのではなく、一緒に問題を解決し、イノベーションを生み出す真のパートナーシップを築くことが求められています。なるべく安い費用で作業をやってもらえるところを探す、そこにお願いするという考えは過去のものになっていますので考え方をUpdateしていきましょう。
選ぶ側から選ばれる側になっていることを自覚する
一昔前までは荷主企業が物流企業を選ぶ、という時代でした。それは今も基本的には変わりませんが2024年問題や各種コストの上昇で物流事業を営む環境が変わり、委託先企業もこれまで通り仕事をどんどん積極的に受けられなくなっている状況です。
そうすると何が起きるかというと、「この荷主さんは良いお客さんだから頑張ろう!」「このお客さんは無理ばかり要求してきて全然評価してくれないから今回からはお断りしよう」といった、仕事やクライアントの優先順位付けを行わなくてはならなくなっているのです。そういった状況になっていることをしっかりと認識し、委託先企業からぜひお付き合いしたい、と言われるような振る舞いをするように心がける必要があります。
コスト削減だけを期待せず、どういう価値を共に創っていくかを考える
物流事業を行う上での各種コストが上昇している昨今、コスト削減という言葉自体が幻想化していっています。どういうことかというと、常日頃極限までコストコントロールをしている物流部門はただでさえコスト削減をすることが厳しい状況であるにもかかわらず、今は各社からの値上げ要請のラッシュでコストの上昇を抑制するのが精一杯でコストダウンは夢のまた夢という状況になっています。
そのような状況の中、物流企業との付き合いにおいてコスト削減の追求だけではなく、パートナー企業として共に新しい価値を創造することが、物流事業を持続可能にしていくうえでも極めて重要です。これは、単に既存のサービスを改善するだけでなく、新しいビジネスモデルの開発や、革新的な物流ソリューションの共同開発を意味します。
たとえば、データ分析を活用した効率的な物流プロセスの設計、環境に配慮したサステナブルな物流戦略の開発など、共に挑戦し、学び、成長することで、両社にとっての付加価値を高めることができます。このような共同の取り組みは、単なるコスト削減を超えた、長期的なビジネスパートナーシップへと発展する基盤となるでしょう。
うまくいっている荷主企業と物流会社の例
上記3点を押さえて委託先企業と良好な関係を既に構築していっている荷主企業も出てきています。その荷主企業に共通しているのは、委託先企業に対して細やかな配慮をされていたり、基本的な姿勢としてしっかりとリスペクトをされています。そうすると委託先企業もこの荷主企業のためなら頑張ろうとパフォーマンスが向上していたり、積極的な改善提案が出されていたりとても良い循環を生んでいます。
取引の商流上、荷主はどうしても立場的に上になり、色々と要望を伝達するだけの一方通行のコミュニケーションになってしまいがちです。普段から無理難題な要求ばかりをしていないかどうか、一度既存の委託先企業がある場合はそういうところから見直してみることもこれからは大切になってきます。
結び
2024年問題を始め、各種物流コストがどんどん高騰していく今の世の中において委託先企業とうまく付き合っていくことは、荷主企業にとって生命線となるものを届ける活動を継続していくうえでとても大事になります。本コラムをきっかけにこれから新しく委託先企業を探される際、あるいは既存のお取引先がある場合はその企業との関係を見直す際にぜひ参考にしていただければ幸いです。
▼株式会社CAPES
https://capes.jp/
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