「良質」なABテストアイデアを生み出すには?

デジタルで競合に打ち勝ち事業成長を加速させるためには、ABテストは非常に有効な手段のひとつです。ですが、OptimizelyというABテストソリューションベンダーの調査によると、ABテストの世界平均勝率は25%であると言われており、良質なテストアイデアを考え実行できるかどうかがABテストで成果を出す鍵となります。

本記事では、ABテスト担当者のお悩みでありがちな「いいアイデアが思いつかない」を解決するヒントをご提供すべく、良質なテストアイデアの出し方をご紹介します。

私たちギャプライズは、2024年で20期目となる会社です。世界的に最先端となるデジタルマーケティングテクノロジーを日本で提供・定着支援に尽力しており、デジタルマーケティング川上から川下ほぼ全般をカバーしています。また、テクノロジーは導入だけでなく定着に至るまでトータルでのご支援も行っているため、私たち自身でABテストを回すことも多く、年間1,600本ほど回しており、平均50%という世界平均の倍に相当する高い勝率を誇っています。

良質なアイデアを出すために

良質なテストアイデアを出せるかどうかは、一定量のアイデアを出せる土台が構築されていることが前提であり、その中から質の高いアイデアを選別して実施できるかにかかっています。

つまり、良質なアイデアを出すには以下の2点が重要な要素であり、「いいアイデアが浮かばない」という課題が生じる場合、いずれかが十分でない可能性があるのです。

  • アイデアの量を出す
  • アイデアの質を高める

次の項からは、この2点についてそれぞれ解説します。

アイデアの量を出す

アイデアの量が出ない原因は、大きく以下の2つに分けられます。

  • 十分なアイデアの蓄えがない
  • 適切なタイミングで引き出せない

量を出すためには日頃からアイデアのストックを溜めておく必要があります。そして、溜めたアイデアを必要なタイミングで適切に引き出せるようにしなければ、折角アイデアを溜めた意味がなくなってしまいます。

この項では、どのようにアイデアのストックを蓄積させるのか、アイデアを引き出せるようにするのかをお話します。

アイデアの蓄え方

参考にしたほうが良いお勧めサイト

ABテストのアイデアを考える際、競合企業のサイトを参考にしていることでしょう。それだけではなく、日頃ユーザーとして使用するサイトや、デジタルの競争が激しい業界のサイトも参考にすることをお勧めします。また、海外のサイトではありますが「GoodUI」というサイトにはさまざまなABテスト事例が掲載されていますので、一度目を通してみるといいかもしれません。

何故デジタルの競争が激しいサイトを参考にするのか 

デジタルの競争が激しい業界のサイトには、クオリティの高いアイデアが眠っていることが多いです。具体的には、転職や旅行業界、周囲に知られずに利用したくなるような業界が該当します。これらの業界に属する企業はデジタル広告に多額の費用を投下しており、かつウェブ広告のCPCが高いため、コンバージョン率をわずかに改善するだけでも大きなリターンが見込めるのです。このような理由から、これらのウェブサイトは最適化に注力するため、そこから得られる気付きはクオリティの高いストックとなるでしょう。

参考にするサイトを見極めるには

ただし、何でも参考にすればいいというわけではありません。自社のビジネスモデルと共通項が2つ以上存在する業界から参考にするのが望ましいです。例を挙げるとすると、アパレルECを運営している場合、「無数の商品の中から欲しいものを探す」という共通点でフリマサイトや不動産、旅行サイトは非常に参考になります。

一度のチェックで済まさない

ベンチマークしたサイトは、一回だけではなく定期的にチェックしましょう。なぜなら、ウェブサイトの最適化は繰り返し施策を行う必要があるため、競争が激しい業界のサイトは日々変化しているからです。そして、「なぜ変化したのか」を考えることは仮説構築のトレーニングになるのです。仮説構築のスキルは、後述の通りアイデアの質を高めるために重要な要素となります。ぜひお試しください。

適切なタイミングでの引き出し方

溜めたアイデアを、必要なタイミングで引き出しやすくするにはどうしたらいいのでしょうか。ただアイデアとして捉えるのではなく、以下の例のように、対象ページやデバイス、対象ユーザー、考えられる設定の意図などを分解してラベリングするのです。このラベリングこそが引き出せるようにするコツです。

適切なタイミングでの引き出し方

アイデアの質を高める

仮説と実験

まずはじめに、このABテスト事例をご覧ください。全国展開している自動車買取サイトで、「無料査定できる最寄りの店舗を案内します」という文言をフォームに追加するABテストを行いました。このABテストは、「車 売却 XX(地名)」というキーワードから多く流入していたことを踏まえ、「近場で査定したい」というニーズがあるのではないかという仮説のもとに行いましたが、フォーム完了率が3分の2まで低下したため、この仮説は大外れであることが判明しました。

仮説と実験

その後、次の「査定の時間を短くしたい」というニーズがあるかどうかを検証するABテストを行ったところ、コンバージョン率が1.4倍になり、この仮説はニーズと合致していることが判明しました。

では、1つ目のABテストは失敗で2つ目は成功だったと解釈して良いのでしょうか。私たちは、日頃「『テスト』ではなく『実験』しよう」という合言葉の下にABテストを行っています。

実験とは?

実験とは、先立つ仮説があり、それが正しいのか検証する行為です。確かに、フォーム完了率が悪くなったため一見すると失敗のように見えるかもしれません。ですが、この施策は「ユーザーは近場で査定したいと考えているのではないか」という仮説を検証するために行ったABテストです。この仮説が外れているということが判明したという観点で、このテストも成功だったと言えます。

仮説の立て方

仮説の立て方にはさまざまなやり方がありますが、ここではユーザーの声を聞く・ユーザーになりきる方法をお勧めします。詳細は弊社メディアにて記事を投稿しておりますのでそちらをご覧ください。

仮説の精度を高めるには

仮説を立てる段階で、商品ページや購入フォームなどページ単位で考えていませんか?心当たりのある方は、どうか今少しだけ立ち止まっていただけますと幸いです。というのも、ユーザーはサイトに訪問する前にやりたいことが既に決まっており、ウェブサイトに来た後どうするかだけ考えていては、精度の高い仮説は生まれず、ユーザーの態度変容は起こせないからです。時間の流れを意識すると仮説の精度は向上しますのでぜひお試しください。

アイデアの質が上がらない場合

ここまで仮説の立て方と精度について言及しましたが、少なからず「仮説自体は悪くないのにいい結果が得られない」というケースは存在し、それはABテストを多数重ねた状況で起こりがちです。その場合は、リスクを取ることを検討してみてください。

なぜABテストでリスクを取る必要があるのか、女性用下着メーカーのECサイトで行ったABテスト事例を交えながらご紹介します。商品ページで下着のサイズを選択した4割以上のユーザーが、商品をカートに投入せず離脱していました。

ABテスト案

この課題を解消するため、サイズ選択ボタンの下に「初回購入の方に限り返品交換が無料」という文章を追加するABテストを考案したところ、反対の声が数多く上がりました。「返品が増えるのではないか?」「既存顧客も新規になりすまして購入するのではないか?」というようなリスクを懸念する声が上がったのです。これらの反対意見を押し切ってABテストを実施した結果、コンバージョン率は11.3%向上したことに加え、懸念されていた返品率はほぼ変わりませんでした。

社内で多少反対意見が出る程度のリスクを伴う施策のほうが、ユーザー目線で生み出されており良い結果が出やすいのです。ABテストでの成果が伸び悩んでいる場合は、この視点を考慮に入れてみてはいかがでしょうか。なお、反対意見を無視しなさいという話ではありませんのでご注意ください。

まとめ

仮説をなくしては良質なアイデアは生まれず、仮説がアイデアの質を決めると言っても過言ではありません。良質なABテストアイデアを出してより良い結果を得るためには、アイデアのストックを溜め、繰り返し仮説を立てて実験することが不可欠です。そして、その仮説はユーザー目線で生み出されているものであればあるほど良い結果をもたらす可能性が高まるのです。

最後に

私たちギャプライズは、Google Optimize終了後に代替先候補としてGoogleより名前が挙がったABTasty、Optimizely、VWO3ツールの日本公式パートナーです。3ツールを一度にご案内できますので、ABテストツールの導入、切り替えをご検討の際はぜひご相談ください。

また、ソリューションの導入だけでなく、ABテストを活用したグロースハックコンサルティングも行っております。人手やノウハウが不足している場合でもUI/UX改善施策が機能するようにいたします。また、ご希望であれば内製化もご支援しております。

ABテスト含めUI/UX最適化について気になる点、ご相談ございましたらお気軽にご連絡いただけますと幸いでございます。

ギャプライズがご案内可能なABテストツールはこちら
https://abtest.gaprise.jp/ja/

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