どっちが高還元?楽天市場とYahoo!ショッピングのポイント制度を比較してみた

2023年12月1日より楽天グループ(以下、楽天)のSPU(スーパーポイントアップ)の特典内容が変更になりました。消費者がECモールを選択する際には、商品価格に加えて還元されるポイントも考慮している可能性が高いため、楽天市場に出店するEC事業者にとっても今回の変更がどのような影響をもたらすのか気になるところではないでしょうか。その一方、有料会員であるLYPプレミアム会員はじめ、Yahoo!ショッピングのポイント付与を強化するLINEヤフー。ここではSPUの特典内容の変更点を確認した上で、変更後の楽天市場とYahoo!ショッピングのポイント制度を比較します。

2023年12月に楽天市場のSPUが改悪?変更点は?

楽天は2023年12月1日より、SPUの特典内容を変更しました。楽天モバイルの利用者に対する還元が良くなった一方で、楽天カードや楽天証券、楽天トラベルなど楽天のサービスを多く利用しているユーザーにとっては改悪だという声も上がっています。

具体的な変更内容は下記の通りです。

出典:SPUの特典内容変更について

楽天は楽天モバイルの先行投資による大幅な赤字に苦しんでいることが知られていますが、今回のSPUの変更内容では、楽天モバイルの契約者向けの還元が良くなっていることから、楽天モバイルの契約回線数増加を目指した変更であることが推測されます。

なお、楽天市場で購入した際の楽天会員の通常ポイントについては、ポイント倍率、獲得上限ポイントのいずれにも変更はありませんでした。ただし、楽天カードの特典分の獲得上限が5,000ポイントから1,000ポイントに変更されているほか、楽天プレミアムカードの特典分の付与がなくなっています。楽天カードもしくは楽天プレミアムカードの所有者が、クレジットカードを利用して、楽天市場で購入する際に獲得できるポイント上限が大幅に減少されたため、楽天市場のヘビーユーザーやポイ活に敏感な方の利用に大きく影響を与えることが予測されます。

仮にSPUのすべての還元を活用しているユーザーがいた場合を考えてみると、変更前の獲得上限は105,000ポイント(会員ランク別に獲得上限が異なる場合はダイヤモンド会員として計算)でした。しかし変更後の獲得上限は21,500ポイントとなっており、実に83,500ポイントも減少しています。楽天のヘビーユーザー離れを懸念せざるを得ない変更と言えるでしょう。

Yahoo!ショッピングで付与されるポイントの特徴

楽天市場とYahoo!ショッピングを比較する前に、Yahoo!ショッピングを利用した際に付与されるポイントの特徴について確認しておきましょう。

Yahoo!ショッピングで買い物をした際に付与されるポイントは「PayPayポイント」で、有効期限が設定されていないPayPay残高として使用可能です。

また、2023年11月29日より、Yahoo!プレミアムが「LYPプレミアム」にリニューアルされました。LYPプレミアムはPayPayカードゴールドの所有者もしくは、会員費を支払ったユーザーを対象とするサービスです。Yahoo!ショッピングやLOHACO利用時のポイントがいつでも+2%されるなど、Yahoo!オークションの落札システム利用料がオトクになるなどの特典を受けられます。

その他、Yahoo!ショッピングにおいては期間限定の大型イベントの開催によるポイント還元や、ゾロ目の日キャンペーンに代表されるクーポン配布による割引の動きも以前より活発になっています。

ポイントで楽天市場とYahoo!ショッピングを比較

先述の通り、各社ポイント還元に関する動きが激しくなっている現状を受け、ECモール原資で還元されるポイントを改めて確認していきましょう。通常時の買い物や得日の買い物で付与されるポイント、またポイントの付与上限に注目して比較していきます。

通常時のポイントで比較

楽天市場Yahoo!ショッピング
楽天会員:1倍

SPU:最大15.5倍

ショップ個別ポイント:最大19倍(※1)
ストアポイント:1%

毎日もらえる:最大4%

LYPプレミアム:2%

上乗せポイント:最大14%(※2)
※1 楽天スーパーDEALを含まず店舗設定のポイント変倍で想定
※2 定期購入品であれば+29%まで設定可能

楽天市場では通常時に付与されるポイント1倍に加え、SPUで+15.5倍、ショップによるポイント変倍で+19倍と最大で35.5倍の還元倍率となっています。一方、Yahoo!ショッピングは通常1%還元のストアポイントに加え、決済手段に応じてポイント還元される毎日もらえるで+4%、LYPプレミアムで+2%、ストアが還元率を設定する上乗せポイントで+14%と最大還元率は21%です。

通常時に付与されるポイントの最大倍率は、楽天市場のほうが大きくなります。どちらのモールで購入する際にも決済手段の指定があり、楽天市場での購入においては楽天カードや楽天モバイルキャリア決済、Yahoo!ショッピングでの購入においてはPayPayを使用して購入することでポイントの還元率を高めることができます。

また、PayPayは毎月の利用状況で還元率が変わるPayPayステップで最大+2%還元率が増えたり、毎日もらえるではPayPay内の決済方法によって還元率が変わったりと、ユーザー側が還元率を高めるための情報が点在されている状態です。

特日のポイント還元で比較

楽天市場Yahoo!ショッピング
買いまわりイベント:最大+10倍
5と0のつく日:+1倍
毎月1日:+2倍
毎月18日:最大+3倍
5のつく日:+4%(※3)
プレミアムな日曜:+4%
肉の日キャンペーン:最大+6%

・不定期開催
買う!買う!サンデー:+4%(※3)
ハッピー24アワー:+4% など
※3 ヤフーショッピング商品券で還元

特日のポイント還元については楽天市場ではポイントとして還元されるのに対し、Yahoo!ショッピングではヤフーショッピング商品券での還元になるキャンペーンがあります。ヤフーショッピング商品券はYahoo!ショッピングでの購入時にしか利用できないほか、利用できるストアが限られているため、消費者としては使いづらい面があると言えるでしょう。

楽天市場では毎月ある程度同じ周期でイベントが行われていますが、Yahoo!ショッピングでは日付が固定されているイベントよりも不定期で開催されているイベントが多く、各インベントの流通効果などを検証しながら運用している印象です。また、ユーザーへの還元もポイントだけでなく、クーポンが付与されるケースも多数存在します。なお、Yahoo!ショッピングでは、上記に加え、下記のような期間限定のキャンペーンが開催されています。直近開催予定のキャンペーンは次のようなものがあります。

キャンペーン名開催スケジュール    条件還元内容
大型キャンペーン2024/2~・2024/3~詳細未公開最大27.5%付与
抽選キャンペーン(仮)2024/2/16 0:00~2024/4/15 23:59PayPay本人確認設定済のユーザーが対象対象の支払い方法で決済すると抽選を実施。
付与上限:10万ポイント/回および期間
はじめて・ごぶさたの方限定 最大半額クーポン2024/3/1 0:00~過去1年間にYahoo!ショッピングでご注文がないユーザーが100円以上の注文をする値引き率:50%OFF 値引き上限:1,500円
\毎月1日/ファーストデイ2024/3/1 0:00~2024/3/1 23:591注文あたり3,000円以上で決済した全員が対象付与率:+3% 付与上限:2,000円相当
対象者限定 最大1,000円OFFクーポン2024/3/1 0:00~対象者にのみ公開予定最大1,000円OFF
対象者限定 アプリでの注文で使える 最大1,500円OFFクーポン2024/3/1 0:00~対象者にのみ公開予定最大1,500円OFF
対象者限定 最大1,500円分ヤフーショッピング商品券2024/3/1 0:00~対象者にのみ公開予定付与額:最大1,500円分

なお、開催予定のキャンペーンスケジュールについてはこちらで確認できます。

ポイント付与上限で比較

楽天市場

キャンペーンポイント付与上限
楽天スーパーSALE(ショップ買いまわり)7,000ポイント
5と0のつく日1,000ポイント
毎月1日1,000ポイント
毎月18日1,000ポイント

Yahoo!ショッピング

キャンペーンポイント付与上限
毎日もらえる注文月ごとに5,000円相当
5のつく日1,000円相当
ボーナスストア10,000円相当

Yahoo!ショッピングの毎日もらえるキャンペーンには、注文月ごとでの上限が設けられています。ECモール上での購入金額が大きい消費者であれば、注文月での上限が設けられていない楽天市場のほうが還元されるポイントが大きくなる可能性があります。

ポイントサイト経由で比較

ポイントサイトを経由して、楽天市場やYahoo!ショッピングにアクセスし購入することで、ポイントの二重取りをすることも可能です。各ポイントサイトを経由した場合に還元されるポイントは以下の通りです。

ポイントサイト楽天市場Yahoo!ショッピング
ワラウ1%1%
ハピタス1%0.9%
モッピー1%1%
ポイントインカム1%1%
ちょびリッチ1%1%
ポイントタウン1%1%

ポイントサイトを経由して購入する場合には、1%程度加算されますが、利用するECモールやポイントサイトによる大きな差異がありません。

まとめ

楽天市場とYahoo!ショッピングにおけるポイント還元について比べました。還元率を見ると依然として楽天市場が優位に見えますが、SPUの獲得ポイント上限が大幅に下がったことにより、ヘビーユーザーが楽天市場で買い物をする月々の金額が減少することが想定されます。Yahoo!ショッピングや他のECモールでは無料、もしくは少ない固定費で店舗運営を行うことができるため、楽天市場を主軸に運営している方は、流動性の高いユーザーを確保するためにも店舗を複数構えることも重要かもしれません。

Yahoo!ショッピングのヤフーショッピング商品券はYahoo!ショッピング内でのみ利用可能な取り組みであるため、ユーザーにとって汎用性が低いサービスではある一方、流通量が増えることでYahoo!ショッピング内の売上のベースを作り得る販促施策といえます。

また、Yahoo!ショッピングはルーティンで行われるイベントが少ないことで、ユーザーが右往左往する可能性もありますが、「何かお得なイベントが行われていないかな?」とついつい訪れてしまう売り場にもなり得ます。楽天市場から他の売り場に流れ行く消費者をどう誘引していくかが、2024年の鍵になるのではないでしょうか。

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