
この記事の目次
- 1 はじめに
- 2 調査方法
- 3 サマリー
- 4 各設問の回答と考察
- 4.1 購入手続きで不満を感じた経験
- 4.2 購入手続きで不満を感じた経験(男女別)
- 4.3 不満を感じたショップでの再購入意向
- 4.4 不満を感じたショップでの再購入意向(男女別)
- 4.5 カート追加後に商品購入をやめた経験
- 4.6 カート追加後に商品購入をやめた経験(男女別)
- 4.7 カート追加後に商品購入をやめた理由
- 4.8 カート追加後に商品購入をやめた理由(男女別)
- 4.9 購入意欲を高めるショップからの提案
- 4.10 購入意欲を高めるショップからの提案(男女別)
- 4.11 カートに入れてから購入手続きまでの時間
- 4.12 カートに入れてから購入手続きまでの時間(男女別)
- 4.13 購入手続きまでに時間を空ける理由
- 4.14 購入手続きまでに時間を空ける理由(男女別)
- 4.15 カートリカバリーメールの認知度
- 4.16 カートリカバリーメールの認知度(男女別)
- 4.17 カートリカバリーメールからの購入経験
- 4.18 カートリカバリーメールからの購入経験(男女別)
- 5 おわりに
はじめに
多くのEC事業者はカゴ落ちに悩まされており、カートに商品が追加されても、実際に購入されるのは少数だというのがECを取り巻く現実です。
潜在的な売上の多くをカゴ落ちによって失っていることは確かですが、ユーザーはどのような理由でカゴ落ちしているのか、男女差はどれくらいあるのかなど、不明な点が多く具体策に取り組めていないのが現状ではないでしょうか。
本資料は、ECユーザーを対象として実施したカゴ落ちに関するアンケート結果を集計、考察したものです。
ECモールの運営にはもちろん、自社ECのカゴ落ち対策にも応用できる調査結果です。ECサイト改善に取り組む上で、参考データとしてぜひご活用ください。
調査方法
株式会社TOKYO GATEでは、2023年11月25日から2023年12月5日にかけて、オンラインショップで購入経験のある18~70歳の男女867人を対象に、オンラインショッピングにおける商品購入に関するアンケートを実施しました。
調査方法 Google Formを使用したインターネット調査
調査期間 2023年11月25日から2023年12月5日
調査対象 18~70歳以上の男女
サンプル数 867名
- 購入手続きで不満を感じた経験
- 不満を感じたショップでの再購入意向
- カゴ落ちの経験
- カゴ落ちの理由
- 購入意欲を高めるショップからの提案
- カートに入れてから購入手続きまでの時間
- 購入手続きまでに時間を空ける理由
- カートリカバリーメールの認知度
- カートリカバリーメールからの購入経験
サマリー
- オンラインショップの購入手続きにおいて、少なくとも1回以上不満を感じたことのあるユーザーは全体の8割弱を占め、不満を感じたユーザーの約7割は、「そのショップで商品をまた購入したいと思わない」と回答しました。
- オンラインショップ利用者の95.5%が、カートに入れた後に商品購入をやめた経験があり、理由は「送料や手数料などの追加費用がかかった」が最多の51.7%、次いで「他のオンラインショップのほうが安いことに気づいた」が47.6%を占めました。
- カートに入れた後に商品購入をやめた理由として、最も少なかったものは「他の用事があった」「ログイン情報がわからなかった」で2.9%、次いで「ログインに失敗した」が3.1%を占めました。
- 商品購入をやめたときに、ショップ側から提案されれば購入を検討する理由として、「送料無料が提案される」が最多の60.6%、次いで「商品の割引やポイント還元が提案される」が55.6%を占めました。
- 商品をカートに入れてから購入までの時間を調査した結果、約2割のユーザーがすぐに購入し、約5割のユーザーは、すぐには購入しないものの、カートに入れて1時間以内に購入を済ませます。
- 商品をカートに入れてから購入まで時間を空ける最も多い理由は「購入するかどうかを検討するため」で52.1% を占め、「他の商品と比較するため」が51% を占めました。
- 全体の35.8%のユーザーは、商品をカートに入れてから購入手続きまでに、ショップ内で他の商品を選ぼうとします。
- オンラインショップ利用者全体の約半数は、カゴ落ちメールを知りません。しかしカゴ落ちメールを知っているユーザーのうち、メールから購入経験のあるユーザーは41.3%に上ります。
各設問の回答と考察
購入手続きで不満を感じた経験

オンラインショップの購入手続きでの不満の有無を調査した結果、回答者の9.8%が「何度もある(5回以上)」、66.4%が「何回かある(5回未満)」、23.8%が「1度もない」と答えました。少なくとも1回以上不満を感じたことのあるユーザーは全体の8割弱を占めることから、ECサイトの決済プロセスや購入フォームなどに改善の余地があることを示唆しています。
購入手続きで不満を感じた経験(男女別)

男女別の集計では、オンラインショップの購入手続きでの不満が「何度もある(5回以上)」と回答した男性が女性よりもわずかに多く、「1度もない」と答えたユーザーは男性よりも女性が多い結果となりました。
不満を感じたショップでの再購入意向

購入手続きに不満を感じたショップでの再購入意向を調査した結果、回答者の56.6%が「また購入したいと思わない」、21.7%が「また購入したいと思う」、21.7%が「不満を感じたことはない」と答えました。
購入手続きに不満を感じたユーザーの約7割が「また購入したいと思わない」と回答していることから、購入手続きにおける一度の悪い体験が顧客のロイヤリティに大きな影響を与える可能性があることがわかります。
不満を感じたショップでの再購入意向(男女別)

男女別の集計では、男女いずれも半数を超えるユーザーが「また購入したいと思わない」と回答し、「また購入したいと思う」と回答したユーザーは女性に比べ男性のほうがわずかに多い結果となりました。
上記結果から、オンラインショップの購入手続きで不満を1度以上感じたことのあるユーザーは女性よりも男性に多いですが、不満を感じたショップで再購入したいと思わない傾向は女性のほうが強いと考えられます。
カート追加後に商品購入をやめた経験

オンラインショップのカートに入れた後の商品購入中止の経験、いわゆるカゴ落ちについて調査した結果、回答者の58.9%が「何度もある(5回以上)」、36.6%が「何回かある(5回未満)」、4.5%が「1度もない」と答えました。
この結果から、オンラインショップ利用者のほぼ全てのユーザーによって、カゴ落ちが実に頻繁に発生していることがわかります。
カート追加後に商品購入をやめた経験(男女別)

男女別の集計では大きな差は見られませんでしたが、「1度もない」と答えたユーザーは女性に比べ男性にわずかに多い結果となりました。
カート追加後に商品購入をやめた理由

オンラインショップのカートに入れた後の商品購入中止の理由について調査した結果、回答者の中で最も多かった理由は「送料や手数料などの追加費用がかかった」、次いで「他のオンラインショップのほうが安いことに気づいた」でした。
「その他」には、「入力項目が多かった」「個人情報の提供に不安を感じた」「個人情報の提供に不安を感じた」「ログインに失敗した」「ログイン情報がわからなかった」が含まれます。
消費者は予想外の費用に敏感であり、商品をカートに入れる前に費用総額を示すことが、カゴ落ちを防ぐ手段として有効であることが考えられます。また、カートに追加しても商品の比較やレビューの確認による検討が続く複雑な消費行動が伺えます。
カート追加後に商品購入をやめた理由(男女別)

男女別の集計では、多くの項目で男女間に大きな差はありませんが、会員登録やアカウント作成については男性のほうが女性に比べ寛容である可能性があります。
しかしながら、会員登録やアカウント作成が必要であること、希望する決済手段がないことはカゴ落ちの理由として大きく、ゲスト購入機能、決済手段の充実が必要であることを示唆しています。
購入意欲を高めるショップからの提案

商品購入をやめた際に、ショップからの提案で購入を検討する内容を調査した結果、最も多い回答は「送料無料が提案される」(60.6%)、次いで「商品の割引やポイント還元が提案される」(55.6%)でした。
消費者は支払うべき商品価格や送料が割り引かれることを求めており、通常有料のプレゼントや非売品のノベルティは、顧客を引き留める目的ではあまり有効ではない可能性があります。
購入意欲を高めるショップからの提案(男女別)

男女別の集計では、「送料無料が提案される」「商品の割引やポイント還元が提案される」を選択した割合が男性に比べ女性が多い結果となりました。
「通常有料商品のプレゼント提案」と回答した割合も女性に多いことから、男性に比べ女性のほうが割引やおまけが有効であると考えられます。
カートに入れてから購入手続きまでの時間

商品をカートに入れてから購入手続きまでの時間を調査した結果では、回答者の20.6%が「すぐに購入する」、35.9%が「30分以内に購入する」と答えました。
12.1%の「1時間以内に購入する」と回答したユーザーと合わせると、約半数のユーザーは、すぐには購入しないものの、カートに入れて1時間以内に購入を済ませます。また、全体の約2割のユーザーは、カートに入れてから購入までに1日より多くの時間をかけることを示唆しています。
カートに入れてから購入手続きまでの時間(男女別)

男女別の集計では、すぐに購入する、または30分以内に購入するユーザーは男性が女性に比べ多い結果となりました。しかし、1週間以内に購入するユーザーは女性が92.8%、男性が94.6%とほとんど差がありません。上記結果から、男女関係なくほとんどのユーザーは1週間以内に購入しますが、女性は男性に比べ購入決定までに時間をかける傾向があることがわかります。
購入手続きまでに時間を空ける理由

商品カートに入れてから購入手続きまでに時間を空ける理由を調査した結果で、最も多い理由は「購入するかどうかを検討するため」(52.1%)で、次に「他の商品と比較するため」(51%)が続きます。
商品をカートに入れたにも関わらず、商品購入自体がまだ検討段階であるユーザーや、他の商品と比較するユーザーが半数という結果から、消費者にとって「カートに入れる」という行為は必ずしも購入と結びつかないことがわかります。
注目すべき結果は、35.8%のユーザーが「ショップ内の他の商品を選ぶため」を選択した結果で、クロスセルの有効性を示すものとなりました。
購入手続きまでに時間を空ける理由(男女別)

男女別の集計では、「購入するかどうかを検討するため」「他の商品と比較するため」という2点において、男女間の大きな差が見られました。このことからも、女性は男性に比べ比較検討に費やす時間が長いことが考えられます。
カートリカバリーメールの認知度

カートに商品があることを知らせるメール(カートリカバリーメール)の受信経験を調査した結果、少なくとも1回以上受信した経験のある回答者は51.1%、「1度もない」「わからない」を選択したユーザーが48.9%と、ユーザーを大きく二分する結果となりました。
この結果から、カートリカバリーメール自体の認知が低く、まだ十分に活用されていないことがわかります。
カートリカバリーメールの認知度(男女別)

男女別の集計では、カートリカバリーメールの認知度に約10%の差があり、女性は男性よりもカートリカバリーメールを認知しているという結果になりました。
カートリカバリーメールからの購入経験

カートリカバリーメールをきっかけに購入した経験を調査した結果、「何度もある」と回答したユーザーはわずか2.8%、「何回かある」と回答したユーザーは18.3%、78.9%が「1度もない」と回答しました。
カートリカバリーメール自体はまだ十分に活用されておらず、認知しているユーザーは全体の約半数という結果でしたが、カートリカバリーメールを認知しているユーザーのうち、メール経由での購入経験があるユーザーは41.3%となります。
この結果から、カートリカバリーメールはある程度有効であり、送信数全体の約2割のユーザーにコンバージョンの可能性があります。
カートリカバリーメールからの購入経験(男女別)

男女別の集計では、購入経験のあるユーザーは女性にわずかに多い結果となりましたが、カートリカバリーメールの認知度ほど大きな差は生じませんでした。
おわりに
カートに商品を入れた後に商品購入をやめた経験のあるユーザーは9割を超え、カゴ落ちはごく一般的に起きることがわかります。
カートに商品を追加してから購入までに時間を空けるユーザーも多く、購入経路がそれほど単純ではない現状も明らかになりました。
本調査を御社のカゴ落ち対策にお役立ていただけますと幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
株式会社TOKYO GATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。
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