事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井上高志、東証プライム:2120、以下「LIFULL」)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、「宅配ボックスあり」物件の市況を調査し、発表します。

  • 「物流2024年問題」の緊急対策、“置き配ポイント還元”によって「宅配ボックスあり」物件の注目集まる

物流業界の人手不足が懸念されるなか、荷物の再配達を減らすために「置き配」にポイントを付与する緊急対策を10月6日に政府が発表しました。「置き配」とは、あらかじめ指定した場所(玄関前、置き配バッグ、宅配ボックス、車庫、物置など)に荷物を届けてもらうサービスを指しますが、マンションなどの場合、入口がオートロックになっていることも多く、不在時には場所の指定に悩むこともあります。そのような中、現在注目を集めるのが「宅配ボックスあり」物件。そこで、「宅配ボックスあり」物件の現在のニーズや賃料差異について調査しました。

  • 【調査1:「宅配ボックスあり」物件のシェア率】緩やかに増加中

一都三県の賃貸マンション/アパートの中で「宅配ボックスあり」の物件割合を月毎に調べたところ、2023年3月以降緩やかに増加し、2023年9月には直近一年で最高となる41.1%となりました。コロナ禍におけるネット購入・非対面受け取りの需要増で爆発的に普及が進んだ宅配ボックスですが、企業の出社回帰も相まってか、今現在においても引き続き普及が進んでいるようです。

  • 【調査2:「宅配ボックスあり」を「必須条件」にした割合】直近では6割近くまで上昇

LIFULL HOME'Sでは物件探しの検索条件を「できれば/必須」で優先順位づけをして検索できる『できれば検索』という機能を搭載しています。そこで、物件を探す際に、「宅配ボックスあり」が「必須」選択された割合を調査したところ、2023年6月以降伸びが大きく、直近では6割近くが「必須」選択をしていることがわかりました。

調査1のとおり「宅配ボックスあり」物件の割合は4割程度だったのに対し、「必須」としている人は6割近く、ニーズに対して供給はまだ足りていないということができそうです。

  • 【調査3:「宅配ボックスあり」物件の家賃相場】設備条件なしの家賃相場よりも月額13,000円上昇

一都三県における「設備条件なし」と「宅配ボックスあり」の家賃相場(※1)を出したところ、「設備条件なし」は70,000円だったのに対し、「宅配ボックスあり」は83,000円となりました。月額で13,000円、年間では156,000円の差となり、けして誤差ではありません。一方で、今後実施される置き配のポイント還元や再配達を依頼する手間、配達時間に在宅していなければという心理的負荷を鑑みれば今後も「宅配ボックスあり」物件の人気は続くと思われます。

※1:調査概要

<対象エリア>一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
<対象物件>LIFULL HOME'Sに掲載された築40年以内、駅徒歩20分以内、15平米以上40平米未満の居住用賃貸物件
<対象期間>2022年10月~2023年9月
<家賃相場>月額賃料の中央値

  • LIFULL HOME'S総研チーフアナリスト 中山登志朗 考察

コロナ禍の拡大~コロナ後の移動本格再開で、宅配ボックスの利便性が注目される

2000年以降分譲マンションに設置され始め、その利便性が注目されて短期間で“あって当たり前の設備”となった宅配ボックスですが、賃貸マンション・アパートには設置コストも相応にかかるため、新築時に設置するケースは増加しても賃貸物件全体にはなかなか普及が進みませんでした。

それがコロナ禍によって買物や飲食のための外出を控えるようになって以降、ネット通販や食品&日用品の宅配が爆発的に増加し、連動して宅配ボックスの設置も急速に進みました。しかし、宅配ボックス販売シェア大手のアンケート調査(※2)によれば、2022年末時点で宅配ボックスが設置されている物件に居住しているとの回答は39.2%、住居形態別では戸建て26.6%、マンション62.2%、アパート30.8%となり、依然として戸建てやアパートなどの宅配ボックス設置率は過半数を超えていません。

今回LIFULL HOME'Sでは、宅配ボックスが設置されている賃貸マンション・アパートがどれくらい掲載されているのか、そのシェアの変化を初めて調査したところ、時流を反映して直近41.1%まで拡大していることが明らかになりました。これはコロナ禍で進んだ宅配を前提とした生活様式の変化、さらにコロナ後の出社勤務の増加によって荷物が受け取りにくくなったユーザーが増えたことで、宅配ボックスへのニーズが切実なものになっていることの表れと見ることができます。

さらに、物流2024年問題への緊急対策として置き配ポイントが付与されることになり、これを契機として宅配ボックスの経済効果が高まることが見込まれるため、今後は分譲/賃貸、戸建て/マンション・アパートの別なく、安全に荷物を受け取ることができる宅配ボックスへのニーズがさらに高まることが確実視されています。

※2:「置き配に関する実態調査2022年11月第5回調査」(「ナスタ」調べ)
https://www.nasta.co.jp/news/2022/2022121201.html

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