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悦己消費とは?
中国の市場はコロナ解禁から大きく変化しています。2019年ごろから言われ始めた「悦己消費」という考えが更に浸透してきており、身近に体感できるまでになっています。
悦己(えっき)消費は、主に自己の満足感や幸福感を追求することを目的とした消費行動を指します。個々の人の好みや興味に基づいて、特定の商品や体験を選び、それを通じて心地よさや喜びを得ようとする消費の形態です。
例えば、高級なブランド品を購入したり、贅沢な旅行や体験を楽しんだりすることが悦己消費の一例です。これらの行為は、他人の評価や社会的地位よりも、自己の満足や幸福感を追求することに重点を置いています。
中国の場合は、好きなものにはお金を使い、そうでないものは何でも良いので安いものという傾向が増えています。特にZ世代など若い層に浸透しており、得物(POIZON)などの趣味嗜好品を中心に取り扱うようなプラットフォームは悦己消費にマッチしており、逆にそうでないものは安いほうへと流れるため、拼多多(Pinduoduo)やTikTokのライブコマース(平均単価1,000円以下)などの売上が増加しているのです。
多様化するプラットフォーム
中国のEコマースでは悦己消費という言葉が広がり、一昔前まではタオバオやTmall、JDに出店していればよかったのですが、この悦己消費の考えからプラットフォームごとに得意なカテゴリーや人によっては好き嫌いが出てきており、プラットフォームが多様化してきています。
このプラットフォームの多様化は地域や年齢などでも分散化していますが、同じ地域、同じ場所にいる弊社のスタッフ内で統計を取ってみても、服を買うのはここ、靴を買うのはここ、お菓子はここ、タクシーはここ、出前はここと、かなりバラバラな結果が出ました。一つの地域でもこの結果なので、中国全土ではさらにバラバラになると思われます。
SNSの検索方法に変化
悦己消費は、自己満足のため、他人がどういう結果だったとしても、自分に対して良い結果が生まれなければなりません。つまり以前までは有名なKOL(キーオピニオンリーダー)が配信していれば「買う」、Tmallでおススメされていれば「買う」と言った行為に結びついていたかもしれませんが、今は自分にとってどうなのかが重要視されます。
あるSNSが発表していた情報によると、2021年は商品やブランド名で検索する人が多かったのですが、2022年は、ブランド名で検索するよりも目的や効果効能で検索する人のほうがそれを上回ったというデータが出ています。
問合せ内容にも変化?知識がついた消費者
SNSで効果効能での検索が増えたとありますが、それは店舗への問合せの内容にも見て取れます。数年前までは基礎化粧品の販売店への質問は、「化粧水と美容液はどちらを先につけますか?」などの質問が多かったのですが、今は、「美白効果が一番高い商品はどれですか?」などかなり具体的な質問が増えています。
悦己消費時代のアプローチ方法
続いて、悦己消費時代に事業者が購入者に向けて取っているアプローチのトレンドをご紹介していきます。
その① IPの利用
中国のインターネット業界で流行している言葉でIPという言葉があります。元々IP(Intellectual Property)は知的財産権の意味で使われることが多いですが、中国での流行言葉のIPは、コラボのような使い方をされています。
あるAブランドが、何か別のBブランドとコラボして商品をつくることで、Aの顧客とBの顧客にも興味を持たせることができます。日本では数十年前からあったかもしれませんが、中国ではここ何年かで急増しています。IPを利用することにより、そのブランドがより特別な商品と認識されます。
その② 顧客対象に特化したプラットフォーム
悦己消費を利用して成長している企業のひとつが得物です。得物はZ世代を対象にし、商品の鑑定や、その買いやすさなどZ世代が好むようなプラットフォームの特徴と商品ラインナップを行い、急激に成長しています。
自社の商品で自社が定めるペルソナに対して、得物のようなその対象に特化したようなプラットフォームで取り扱うことができれば、成功確率はグッと上がるでしょう。
その③ 自社のコンテンツを充実
悦己消費時代では自分の好きなコンテンツを常に探しています。自分たちがこうありたい、こうなりたい、こうしたいという要望に対して、そこに興味のあるようなコンテンツが作れたとしたら、そのユーザーはそのコンテンツからその企業やブランドのファンになってもらえる可能性が高いです。
以前はこの商品といえばこのメーカーのように決まっていたものが、自分にあったものを自分で探そうという時代になってきています。要するに自社が対象としたペルソナが好きそうなコンテンツ、情報を配信していき、それに沿った商品の提供ができれば、長期的なリピーターを作ることができ、長期的に売上も安定させていくことができるのです。
その④ 企業の姿勢や商品のストーリー
悦己消費時代では購入者にとっての特別感が大切になります。ですから、その商品が開発された背景、開発者の熱意や志、そのメーカーの背景など商品の価値だけではないものも重要視されてきています。例えば、世界的に見ればSDGsのような取組みは企業として評価され、それを指示した人がその商品を購入するケースがあると思います。中国ではSDGsはさほど浸透しておりませんが、被災地に大量の物資を送った企業が支持されることは良くあります。
また、商品については、この商品はこういう困っている方のために長い年月をかけて開発したなど、その商品そのものの価値とは別にその背景を支持して購入するというケースもあります。こういったものは通常の販売では伝わらないことが多いため、中国ではSNSを利用した販促マーケティング活動がかかせないものとなっているのです。
まとめ
以前の中国では、人を多く集めて販売する手法が主流でした。ところがコロナから徐々に変わっていき、コロナ明けから一変。
今後は以下のようなことが重要となっています。
- 商品の特徴を出しそれを表現すること
- 商品にあった販売方法を選ぶこと
- 商品にあったターゲットを選ぶこと
- 商品に合った販促方法を選ぶこと
- 顧客を大事にし、ファンを育成し、リピートしてもらうこと
変化を体験するのが一番だと思います。中国ビジネスをお考えの際は是非一度中国へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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