
2022年に世界観とジャンルが異なる2つのブランドを立ち上げた株式会社クリエイターボックス(以下、クリエイターボックス)。ドット専門のファッションブランド「dodot.(ドドット)」とノンアルコールのジントニック「GINO(ジノ)」と尖った商品を扱っています。2つのブランドの立ち上げ背景やコンセプトについて伺いながら、ECによる販売ならではの工夫を、代表取締役である篠﨑友徳さんにお話しいただきました。
この記事の目次
異なるジャンルのブランドを立ち上げた背景
――2022年に、クリエイターボックスでは2つのブランドを立ち上げられました。3ヶ月という短い期間で連続して異なるジャンルのブランドを立ち上げたことに理由はあるのでしょうか。それぞれのブランド立ち上げの背景と合わせてお伺いしたいです。
篠崎さん:ブランド立ち上げの時期が近くなったのは、実はタイミングがたまたま近くなっただけなのです。クリエイターボックスはジャンルや業種にこだわらず、クリエイターマッチングによって、広告制作・リノベーション・教材制作・飲食メディアなど、幅広く事業を手掛けています。ですので、「dodot.」と「GINO」はそれぞれが全く違った背景から誕生したブランドです。
ファッションブランド「dodot.」立ち上げの背景
――では、まず「dodot.」について教えていただけますか。
篠崎さん:「dodot.」が始まることになったきっかけは、私がドットの服が好きだということから始まっています。ドットの服を買おうとすると、有名なブランドとしてコム・デ・ギャルソンやポール・スミスに偏ってしまい、手元にあるアイテムも似てきてしまいます。ドット好きとして物足りなさを感じていて、もう少しインパクトのある、好きなドットのデザインを選べるブランドがあればと思って立ち上げました。
ドットにおいてはアートであれば草間彌生さん、洋服ではコム・デ・ギャルソンのイメージが強いですが、ドットだけのブランドはありません。そして、普遍的な柄として、ドットはとても昔からあり、これからも恐らくなくなることがないといえます。
また、例えば私の知り合いも白のTシャツだけを販売するお店を運営していますが、ファッションに限らず、あらゆる業界でニッチな市場を取ってから徐々に大きな市場へ向かう動きが増えています。こういった戦略は中小企業がシェアを広げる戦い方として有効だと思います。
乱暴な計算になりますが、7兆円あるアパレル市場において、通行人の100人に1人以上はドット柄の服を着ています。つまり、ドット柄には700億円の可能性があるのです。「dodot.」のサイト内にはオリジナルブランド以外にセレクトアイテムも取り扱っているため、この700億円の市場を作るドッター(ドット柄が好きな人)の通り道になれば面白いと思いました。

ノンアルジンの「GINO」立ち上げの背景
――市場のポテンシャルに加え、ドットが好きという篠崎さんの想いが本日の服装からも感じられて、今後の成長に期待が持てるように思えます。続いて、「GINO」についてはいかがでしょうか。
篠崎さん:以前は夜になるとお酒を飲みながら仕事をしていたのですが、歳を重ねるにつれて飲むと仕事が手につかなくってきました。そこでノンアルコールのビールを飲むようになってから、だんだんお酒を飲むこと自体も少なくなりました。
これは私に限った話ではありません。アルコール飲料の味に近い、ノンアルコールドリンクを楽しみたい人は増えていて、実際に市場は伸びています。N1(※1)の力を信じるタイプとしてノンアルの選択肢が増えることは大きなニーズがあるだろうと思ったのです。
※1…特定の1顧客を深掘りするN1分析から、N1は篠崎さん自身を指している。

ニュースの見出しから逆算!ブランドづくりはコンセプトから
――どちらも異なるバックグラウンドから生まれたブランドですが、篠崎さんがブランド立ち上げに際してどのようなことを意識しているのでしょうか。
篠崎さん:ブランドのコンセプトが1秒で伝わるくらいわかりやすいことが大前提です。世の中でみんなが当たり前だと思っているところからあまりズレないように、ありそうでなかったくらいのズレでコンセプトを作っています。また、コンセプトを作るときは、ニュースに取り上げられる見出しや一枚絵のイメージから逆算しています。
例えば、「dodot.」がドット柄ではなく、新しい柄を!となると、まず柄の理解から入るため商品の理解まで遠くなってしまいます。新しすぎるものは、浸透するまでとても時間がかかってしまうのです。「dodot.(ドドット)」はみんなでドットしようというコンセプトからDo dot(ドゥー ドット)の意味合いを持っています。「GINO(ジノ)」はアルコール0%のGINなのでGINOになっています。
商品名で3~4割を理解でき、営業が詳細を話さなくても見た目だけで5割は伝わることがコンセプトづくりのポイントだといえるでしょう。
ECのみの販路がゆえの工夫とこだわり
――ブランド立ち上げの考え方は実際に立ち上げているブランドのわかりやすさ、斬新さからも他の事業者様の参考になると感じました。どちらのブランドもECで販売していますが、ECのみで販売されているからこその工夫やこだわりがあれば教えていただけないでしょうか。
篠崎さん:販路がECに限られていることから、お客様が物理的に「WOW!」と感動できる瞬間は作りづらいと思っています。洋服の場合は触りたい、着てみたいという気持ちを叶えるため、展示会やポップアップストアなどリアルの場が重要です。
しかし、常設店を設けていないので、「WOW!」の瞬間をどこに作るかが勝負だと思いました。その瞬間を商品が届いてから箱を開けるまでの体験で表現しています。例えばZOZOTOWNの箱です。黒い箱にZOZOTOWNと書いているだけなのに、圧倒的な存在感があります。でも、黒い箱なんてなかなかないので、お客様は一目見るだけで「ZOZOTOWNから商品が届いた!」となるのです。
届いた瞬間のワクワクを感じていただけるよう、「dodot.」ではドットで埋め尽くされた箱でお送りしています。商品は透明のPP袋に入れているので、箱を開いたら購入いただいたアイテムのドット柄がよく見えるように梱包し、お客様が箱を開けた瞬間に写真を撮りやすい工夫を施しました。そうすることで、SNSなどでシェアされるきっかけにもなります。

篠崎さん:少人数での運営のため、お客様から注文を受けた後の受注業務や物流対応は外部に委託することは決めていました。コストはもちろんですが、届いた瞬間のワクワクを感じていただけるよう梱包にかなりこだわっていたので、柔軟に対応できるところが条件としては外せなかったです。
複数社とお話をしましたが、配送の柔軟性やご対応いただける幅の広さと見積もりのバランス、利用しているカートシステムのShopifyと連携しやすいことを理由にトランスコスモスのスピードロジにお願いすることになりました。
何より、初めてのECサイト運営で、Shopifyを利用して商品を送ることが初めての中、初心者にもわかりやすい説明をしていただいたことが印象的です。
スピードロジの導入時には、梱包についてのこだわりを具体的な梱包指示書をお出ししながらすり合わせしました。オリジナルのアイテムだけでなく、セレクトもやっている「dodot.」では立ち上げから半年足らず150以上の品番を扱っています。先に立ち上げた「dodot.」はSKUが多く、梱包方法や資材に工夫をしているため、相談をする前は少し不安もありましたが、快くスムーズに対応いただけました。そのため、3ヶ月後に立ち上がった「GINO」も安心してスピードロジにお願いしています。
商品のお届けに欠かせない物流の役割と今後の展望
――商品のコンセプトからお客様の手元に届くまでの設計など、ブランドづくりに余念がないかと思います。EC中心のブランドを伸ばすにあたって、物流・ロジスティクスに求める点はありますか。
篠崎さん:スピード・正確性・柔軟性の3点が必要だと思います。注文から発送までの速さと、誤発送などを起こさない正確性、そしてやりたいことに対応するための柔軟性です。「dodot.」の梱包についてもそうですが、スピードロジはこの3点を満たしています。
ドットは海外からも愛されている柄なので、今後は海外向けの販売を行う予定です。それにともない、海外発送も必要になるため、スピードロジとは密にコミュニケーションを交わして実現しようと思います。
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――海外展開を視野に入れているとのことですが、最後に今後の展望を教えていただけますか。
篠崎さん:日本のプロダクトを世界に出すことです。世界から見ると「日本製」の勢いはないように思います。例えば、ものづくりでは中国、エンタメでは韓国に遅れを取っているのが現状です。まだまだ、日本のアパレルブランドが海外で成功している事例は少ないと感じています。ただ一方で一昔前と比べ、ECによって世界を狙える環境は整っています。
他にはない、人目を引くようなデザインの洋服を用意しています。実際にポップアップストアで外国の方々から良い反応を頂いているため今後の展開をぜひ期待していただきたいです。
インタビューを通して:ジャンルを問わず受けいれられる商品のコンセプトづくり
過去、総合広告代理店で働いていた篠崎さんはあらゆるジャンルのクライアントと対面し、課題と解決法をセットで考えることで鍛えられてきました。マーケティングやコミュニケーション、ITの力を活用して、数々の案件に向き合ってきた経験が今回の「dodot.」と「GINO」のブランド立ち上げにも現れているように思います。 自分自身の好きをブランド化し、消費者にとってわかりやすい形で伝えること。その実現に必要なパートナーと着実に前進していることが今回の取材からわかりました。
スピードロジでは事業の立ち上げや倉庫の移転など、幅広い物流業務を柔軟に対応しています。お客様に商品をお届けするときの感動体験を作っていきたい事業者様は相談してみてはいかがでしょうか。
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