
D2C事業、とりわけ定期通販・単品リピート通販の領域で事業を拡大する中で、様々な課題が発生すると思います。今回は株式会社バイモソフトでECAIサポートをしている野田 優(まさる)さんに、過去事業者として通販事業を年商30億円以上に成長させた際に生じた課題と、当時を振り返って今ならどのように課題を解決するのか、経験に基づいたお話を伺います。
この記事の目次
EC事業の立ち上げと成長
――過去、事業者としてEC事業を運営していたときのご経験についてお話を伺っていきます。まず、いつ頃にどのような商材を販売していたのでしょうか?
野田さん:2017~2018年頃、男性向けのボディメイク商品としてサプリメントを販売していました。当時は男性向けの美容市場が今ほど成熟していませんでしたが確かなニーズがあると思っていました。
私が元々広告屋だったこともあり、ASPサービス(アフィリエイターを管理して事業者との仲介をする)は利用せずに、個人のアフィリエイターと直接つながりを持って販売していました。初月は100件ほどしか売れませんでしたが、インフルエンサーによって紹介されたことで月間3,000件以上売れるようになります。
販売件数が伸びるにつれて、口コミなど噂が広がり、5,000件、8,000件、10,000件と右肩上がりで売上が伸びていったのです。このとき、私を含めて4名で運営していましたが、年商で10億円ほどの規模を外部に業務を委託することなく、全員がオールラウンダーとして全ての業務を社内で完結させていました。受注件数が増えると、身近な友人に手伝ってもらいながら自分たちで梱包をし、佐川さんにマンションの一室に集荷に来てもらい、毎日入る数百件の注文を発送していました。
急激な成長に対し、全業務の内製化を目指す
――オールラウンダーが4名いたとしても、10,000件を超える注文を自分たちで対応するのは非常に負荷の重い業務だったと思います。その後、人員の拡大や業務の外部委託は行ったのでしょうか?
野田さん:とにかく人を増やさないといけないと思いました。まず、発送や梱包など物流業務に関しては倉庫の一角を間借りして、フルフィルメント周りの業務を担当する社員に常駐してもらいます。
また、年商で100億円を目指していたため、通販分野に特化した人材エージェントからの紹介で経験者をどんどん採用していきました。3~4ヶ月で元々4名だった社内はアルバイトを含めて100人を超える規模になり、売上は年商30億円規模へと伸びていきます。全部自分の目の届く範囲でやりたかったので、外部の企業に業務を委託するという発想が当時はありませんでした。しかし、急激に人を採用したことで、人が機能していなかったり、事実と異なる情報が社内に共有されたりと、色々なところでトラブルが発生していました。

体制崩壊によるトラブルと見えた課題
――4人だった組織が急激に100人規模になり、具体的にどのようなトラブルが発生したのでしょうか?
野田さん:まずトラブルが顕在化するまでの流れをお伝えします。即戦力人材として採用した大手通販企業でCRMの責任者をしていた方がいました。大手企業で実務やマネジメント経験があったため、社内向けの報告や資料作成が上手く、経営陣に納得感のある状況説明などのレポーティングができていたと思っていました。
しかし、報告を受けていた実績は実際の数字とは乖離があるものだったことが後々判明したんです。あくまで決済ベースの売上しか把握できておらず、入金状況や返品・キャンセル、不正注文やチャージバックなど、売上に計上すべき金額や、1件あたりの販売コストがどの程度かかっているのか全く把握できていませんでした。
気づいたきっかけは、新しく作った女性向けの商品が1週間で20,000個売れたときに、アフィリエイト報酬が6億円になったので、全ての数字を計算し直したところ全然数字があっていないことからです。幸い資金的に十分な体力があったため、大事には至りませんでしたが気づくまで4ヶ月かかりました。
その直後に、一度落ち着いて誰が何をしているのか部署ごとの数字を細かく見直しました。特に費用の割合を大きく占めていたのは広告とコールセンターです。広告は止めれば費用が掛かりませんが、コールセンターは人材を雇用していたため止めようがありませんでした。
規模を拡大する中で、当時は自分の目に見えるところでやろうと思って、とにかく雇用する形で人員を増やしていました。今思うと物販やECのことをよく知っている財務経理部門の管理人材がいれば、その他の業務は外部に委託して最初の頃の4人でも十分業務が回って効率化できていたと思います。
また、経験者にこだわって採用をしていましたが、企業の規模や扱う商材などによって知見やスキルのレベルは異なります。そのため、経験者であっても決められたルールに沿って運用していた方だと、新しい環境で能力や知見を発揮できないことがあるとわかりました。未経験者・経験者にこだわらず、目的に向かってしっかりと取り組めるような、ガッツのある人を採用する方が良かったかもしれません。
当時を振り返り必要だと感じること
――EC・ネット通販に関する業務は商品の在庫の仕入れや返品・キャンセル処理、広告販促費など、複数の軸でキャッシュフローをコントロールしなくてはなりません。大事に至る前に事態が発覚して良かったと思います。当時のご自身の経験を踏まえて、あのとき客観的にどういった運営ができたら良かったでしょうか?
野田さん:今思うと広告周りの集客に関する業務は私が責任を持ってやるとして、他の業務はどんどん外部に委託して良かったと思います。当時から外部に依頼できる企業はありましたが、今はEC市場が更に活気を帯びているので依頼しやすい環境が整っているのではないでしょうか。
最近ではP2C(インフルエンサーによるD2Cブランド運営)を始める人が増えていて、個人の集客力で売上をメキメキと伸ばしています。特にこういった方々は数字の管理に強い人が1名いれば、その他の業務はどんどん外部に委託するべきでしょう。
私が苦労した当時の経験から、これがあれば良かったのにと思えるサービスを今は作っています。具体的には、運営する中で最もコストが掛るコールセンターに置き換わるサービスです。CRM施策や休会・解約対応として安定した接客体制を整えるのは大変ですし、広告と違って費用のコントロールができないという課題があります。

経験を元にできたサービス『ECAI』
――野田さんが今手掛けているサービスは事業者様のどういった課題を解決できるものになっているのでしょうか?
野田さん:ECAI(イーシーアイ)というサービスでは、従来コールセンターによって行われていたお客様対応やアップセルやクロスセルなどのCRMをLINE公式アカウントで実現できます。また、商品販売後のお客様とのコミュニケーションは一括で当社におまかせいただけます。
お客様対応はLINE公式アカウントのみで行うのではなく、当社でご用意するコールセンターによる電話対応も可能です。お客様の中には、電話対応を望まれる方もいらっしゃるからです。加えて、コールセンターの対応数が増えると事業者様の費用負担が増えてしまうため、利益を最大化するためにLINEからコールセンターへ繋ぐためのフローの設計やQ&Aの拡充など、お客様が不便にならず事業者様が運営しやすい環境構築をするお手伝いをしています。
当社に目標となる継続率や利益率などをお伝えいただければ、その達成に向けて動いていきます。利用いただいた事業者様の利益率が向上し、1社でも多くのブランドが長く続いてもらえるようにご支援いたします。
インタビューを通して:失敗を糧に事業者に役立つサービスを
売上が伸び、増員により組織を拡大させたものの、全ての業務を思い描いたとおり内製化させるには大きなハードルがありました。一昔前の総合通販的な販売方法であれば、徐々に売上が伸びていき、それに合わせて人員を増やすことができるでしょう。しかし、インフルエンサーの起用やインフルエンサー自身が商品を宣伝・販売することで瞬間的に売上を伸ばし、一躍有名な商品になるケースが続々と増えています。
急激に売上を伸ばし、お客様対応に追われる場合や少人数でEC運営を行い、利益率を高めたい場合など、安定的なお客様対応を実現するためにECAIの導入をご検討いただいてはいかがでしょうか?
▼ ECAIに関するお問い合わせはこちら
https://lp.ecai.jp/contact/
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