
2021年11月29日(月)に「LINEギフト」事業戦略発表会が開催されました。LINEギフトの事業戦略について、LINE株式会社(以下、LINE)のギフト事業部で事業部長を務める米田昌平さんから発表がありました。その発表内容について、まとめましたので参考にしていただければと思います。
この記事の目次
LINEギフトの利用動向と今後の事業戦略
「2015年から始まったLINEギフトですが、これまでどうしたら多くの方に利用していただけるかをLINEとして考えてきました。LINEギフトは、LINEで友だちにギフトを贈ることができるサービスです。ほとんどの方がギフトをもらったり、贈ったりしたことがあるのではないでしょうか。ギフトは私たちの生活に深く浸透しています。LINEギフトも日常の当たり前の行動になってほしいと思っています」と米田さんは話します。
最新のユーザー属性や利用動向
LINEが行った調査によると半数以上の方がLINEギフトを既に認知しており、特に20代女性の認知度は87%となっています。実際の利用率は、20代が46%、女性が65%と多い比率になっています。ただ次点で30代が25%、40代が15%と多く、今後は50代の方にも利用されることが増えるだろうと米田さんは話されます。LINEギフトは家族間や同性の友だち間で利用されることが多く、どちらも利用理由として全体の50%以上を占めています。
LINEギフトで商品を購入したことがあるユーザーの累計数は、2021年10月時点で1,000万人を突破しました。また、月間で約270万回のギフトがLINEギフト経由で購入されています。LINEギフトで商品を「購入した or もらった」ことがあるユーザーの累計数は、2021年11月29日時点で1,980万人を超えています。

LINEギフトのサービスと出店店舗
LINEギフトは、eギフトと配送ギフトの2種類があります。eギフトはスマートフォン上で表示される電子チケットを利用して、実店舗でギフトを受け取ることができます。送料がかからないため、コンビニのスイーツやカフェのドリンクなど、日常のちょっとしたお礼や労いとして気軽に贈れるような価格帯の商品が多いです。
一方、配送ギフトは配送受取であるため、住所情報を知らないユーザーの手元に商品をお届けできます。ライフイベントやシーズナルイベントといった特別な日に贈ることを目的とし、商品も幅広いカテゴリと価格帯を揃っているのが特徴です。
2021年11月29日には、eギフトに「セブン-イレブン」と「ebookjapan」が出店を開始しました。「一休.com」も年内に出店する予定です。「11月1日からバーバリーが配送ギフトに期間限定で出店していますが、今後もラグジュアリーブランドをもっと増やしていく」と米田さんは言います。
LINEギフトの事業戦略
2021年度の第2四半期は、前年比+184%の成長となりました。販売手数料モデルであるLINEギフトは、初期費用や月額費用がかかりません。出店者は商品が売れたときのみ費用がかかるため、LINEとしては流通額を増やさなければ売上となる販売手数料は増えません。つまり、流通額の成長=事業の成長といえます。
「2022年度以降の成長戦略としては、認知ときっかけを作るためのマーケティングに力を入れます。LINEギフトは、一般的なECと違って、買い手1人では完結しません。ギフトを贈る人と受け取る人の2人がいて初めて成り立ちます。LINEギフトを通して、ギフトを受け取った方が良い体験ができたと感じたら、他の方にLINEギフトを贈ろうと思うでしょう。そうやって、LINEギフトの体験が連鎖していくのです。だから、認知ときっかけを作ることが重要になってきます」と米田さんは話しました。
認知獲得と利用のきっかけ作りとしては下記になります。
認知獲得の施策
- 2021年12月1日からみちょぱさんと狩野英孝さんを起用したテレビCMを開始。
- YouTubeやTwitterのようなソーシャルメディアでの施策も継続的に行う。
利用のきっかけ作り
- LINEギフトの新規ユーザー向けに90%オフクーポンの配布などキャンペーンを実施。
- 既にLINEギフトを利用したことがあるユーザーの方に対しても、継続的に利用してもらえるようにキャンペーンを行う。
- 2021年12月1日から12月25日にかけてキャンペーンを開始。
① LINEギフトにアクセスするだけで最大10,000円割引の20%オフクーポンを配布
② 各クリスマス特集で利用できる20%オフクーポン×22個を配布
③ 抽選で支払い金額の最大100%が還元されるキャンペーン
「特にクリスマスやバレンタインデー、母の日といったシーズナルイベントは、既にプレゼントを贈る習慣が浸透しているので、ここでしっかりとキャンペーンを行い、LINEギフトを使ってもらえるきっかけを作っていきたいです。直近でいうと、クリスマスに向けて12月1日から大きなキャンペーンを実施しますが、現在発表している3つの内容以外にも、様々なキャンペーンを準備中です」と米田さんは言います。
ヤフーとのグループシナジーで品揃え強化
認知獲得と利用のきっかけ作りの他に、品揃えの強化についても力を入れていくとのことです。現在、LINEギフトの出店ストア数は380店舗あります。そのうち配送ギフトは350店舗で、取扱商品点数は約4万点となっています。
「ギフトは様々なシーンや人間関係で使われるので、品揃えの充実が不可欠だと考えています。特に配送ギフトの拡大に力を入れています。百貨店やブランド、専門店などバリエーション豊かなブランド、事業者様に出店いただいていますが、今後もカテゴリと商品の充実を加速していきたいです。そのためにも、Zホールディングスとのシナジーを活用する必要があります」と米田さんは話します。
2021年10月25日からYahoo!ショッピング・PayPayモールの管理画面を通して、LINEギフトの運用ができるようになったことで、運営の工数が大幅に削減できるようになりました。現在、開店準備中の店舗を含めて600店舗以上がLINEギフトと連携しています。また、Yahoo!ショッピングとLINEギフトの営業チームと一緒になって、新規出店の開拓を行っているとのことです。
「日本のギフト市場は10兆円といわれていますが、私たちはLINEギフトでその市場をDX化していこうとは考えてはいません。もちろんDXの側面はあるかもしれませんが、LINEギフトがあったからこそ、生まれるギフトの機会、新市場の創造をしていきたいです」と米田さんは締めくくりました。
「LINEギフト」事業戦略発表会に参加して

「LINEギフト」事業戦略発表会には、ゲスト登壇としてヤフー株式会社(以下、ヤフー)の執行役員である畑中基さんも登壇されました。ヤフーとLINEのグループシナジーとして、無限の可能性があると畑中さんは言います。
「Yahoo!ショッピングやPayPayモールに出店されている企業様は、LINEのユーザーにアプローチをしたいと強く希望されています。LINEの1対1におけるコミュニケーションにより、顧客と強い絆を築けることが理由だと思います。もともとヤフーはメディアを中心に事業を行ってきたので、ソーシャルの分野は強くありませんでした。この統合を機に、『品揃え・探しやすさ・配送・マーケティング』というグループの力で、LINEギフトの事業を拡大させ、日本にソーシャルギフトの文化を根付かせていきたいです」とコメントされました。
米田さんも話されていましたが、LINEギフトにより新たな市場が創出されることで小売業界が活性化することを期待しています。
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