
広告やSNS、コンテンツなどを活用して、ようやくECサイトを訪れてくれた新規顧客。商品にも興味を持ち、カートにも入れてくれた。それでも、購入には至らない……。その原因は、商品や価格ではなく、最後の「買いにくさ」にあるかもしれません。
「ECの未来」は、EC業界のキーパーソンを迎え、これからのECや小売について掘り下げるYouTube番組です。今回は、アマゾンジャパンでAmazon Pay(Amazonアカウントを使ったID決済)事業を担う山本泰嗣さんをゲストに迎え、ワイシャツ専門店「ozie」を運営するMCの柳田敏正さんとともに、ECにおける決済の役割や「買いやすいECサイト」について語り合いました。
本記事では、対談で紹介されたデータや議論をもとに、せっかく集めた新規顧客を購入直前で取りこぼさないために、EC事業者が見直したいポイントを紹介します。
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「Amazon Payを取り巻くEC決済の動向と実態 2026年版」
集客の難易度が上がるほど、「購入直前の離脱」の価値は高くなる
新規顧客との接点をつくる方法は増えています。広告やSEOだけでなく、SNS、コンテンツ、ライブ配信、リアルでの顧客接点など、EC事業者が取り組める施策はさまざまです。
集客の接点が多岐に渡る一方、柳田さんはECサイトを運営する立場から、新規顧客に購入してもらうこと自体が難しくなっているという実感を語ります。広告の効率を上げる難易度が年々高くなる中、複数の接点を組み合わせながら顧客との関係をつくる必要があるといいます。
時間や費用をかけてECサイトまで来てもらい、商品に興味を持ってもらう。そこまでできたとしても、購入直前で離脱されれば、集客にかけた努力は売上につながりません。
では、購入者はどこで買うのをやめているのでしょうか。
カートまで進んだ顧客の約70%が、購入を完了していない
対談で使用した調査レポート「Amazon Payを取り巻くEC決済の動向と実態 2026年版」では、ショッピングカートに商品を追加した顧客のうち約70%が購入を完了していないというデータを紹介しています。
購入をやめた理由を見ると、「Webサイトにクレジットカード情報を入力したくない」が19%、「会員登録を求められた」が19%、「購入完了までのステップが複雑・長すぎる」が18%となっています。
つまり、商品に魅力がなかったから離脱しているとは限りません。「買いたい」と思った後の手続きが、その気持ちを止めてしまうこともあるのです。

柳田さんにも、その違いを実感した経験があります。実店舗(ショールーム)を訪れた顧客にECサイトから商品を購入してもらった際、通常の会員登録では5分ほどかかることもあった一方、Amazon Payを利用すると1~2分ほどで購入まで進められたといいます。
Amazon Payでは、Amazonアカウントに登録されている氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを利用できるため、購入時にそれらを一から入力する必要がないのです。
重要なのは、単純に数分短くなることではありません。購入者が「欲しい」と思った瞬間から、気持ちを途切れさせずに注文完了まで進んでもらえるか。その視点で購入フローを見直す必要があります。
「買いやすいECサイト」をつくる3つの視点
では、購入者にとって「買いやすい」とは何なのでしょうか。対談では、「安心」「早い」「迷わない」という3つの視点から話が広がりました。
初めてのショップでも「安心」して買えるか
初めて訪れたECサイトで、クレジットカード番号や個人情報を入力する。EC事業者にとっては当たり前の購入フローでも、購入者にとっては心理的なハードルになる可能性があります。
Amazon Payであれば、普段使っているAmazonアカウントを利用できるため、ECサイトごとに新たにカード情報を入力する必要はありません。山本さんによると、知名度がまだ高くない事業者からも、サイト上にAmazon Payのロゴがあることが購入者の安心につながっているという声があるそうです。
柳田さんも、初めて利用するショップであっても、普段から知っている支払い方法を利用できることは安心材料になるのではないかと話しました。
「買いたい」と思ったときにすぐ買えるか
次は「早さ」です。会員登録をして、住所を入力し、カード情報を登録する。その間にも購入者の気持ちは変化します。
Amazon Payでは、Amazon.co.jpに登録済みの情報を利用できるほか、実装方法によっては商品詳細ページから購入手続きへ進むこともできます。対談では、「今すぐ購入」のように購入までのステップを減らす考え方についても紹介されました。
特に限定商品や先着販売など、「今すぐ欲しい」という気持ちが強くなる場面では、購入までのスムーズさがより重要になります。
決済方法を増やすほど「買いやすくなる」とは限らない
3つ目の「迷わない」は、少し意外な視点かもしれません。購入者のニーズに応えようとすると、できるだけ多くの決済方法を用意したほうが親切に見えます。
しかし柳田さんは、自身のECサイトでは新しい決済方法を追加するときに、既存の方法を減らすこともあるといいます。選択肢が増えすぎると、「どれを使うのが一番良いのか」と考え始め、かえって購入の手が止まる可能性があるためです。
山本さんも、決済方法が増えることで手数料だけでなく、返品時の対応など事業者側のオペレーション負担が増える可能性に触れています。つまり、「決済方法を増やす=買いやすくなる」とは限りません。
自社の顧客が迷わず購入できる状態になっているか。決済環境を考えるうえでは、決済手段の「数」よりも、購入者にとっての「わかりやすさ」を見る必要がありそうです。
Amazon Pay利用者のデータから見えるEC利用の実態
今回の対談では、Amazon Pay利用者が普段どのようにECを利用しているのかについても、調査レポートのデータをもとに紹介しました。
調査レポートによると、Amazon Pay利用者はECの利用頻度が全体より高く、1か月に1回以上ECを利用する人は80%以上となっています。また、購入カテゴリーを見ると、Amazon Pay利用者はすべてのカテゴリーで全体平均より利用率が高い結果となっています。

「Amazon Payを取り巻くEC決済の動向と実態 2026年版」
ここで紹介したいのは、個々の数値そのものではありません。Amazon Pay利用者には、ECを頻繁に利用し、幅広いカテゴリーで買い物をしている人が多いということです。
では、実際にどのカテゴリーで差が大きいのでしょうか。性別や年代によって、ECで購入する商品にはどのような違いがあるのでしょうか。
調査レポートでは、Amazon.co.jp利用者の属性、ECサイトの利用頻度、性別・年代別の購入カテゴリー、Amazon Payを利用する理由など、EC利用者の実態をより詳しく確認できます。
決済は「最後に代金を払う場所」だけではない
広告やSNSで商品を知る。ECサイトを訪れる。商品を比較する。欲しいと思う。そしてカートに入れる。決済は、その一連の流れの最後にあります。
その最後の場面で、「入力が面倒」「カード情報を入れるのが不安」「どれを選べばいいかわからない」と感じさせてしまえば、それまで積み重ねてきた顧客との接点が購入につながらないこともあります。
山本さんも、既存の決済手段からAmazon Payへ利用を移してもらうこと自体を目的とするのではなく、購入途中で離脱してしまう顧客の受け皿となり、注文完了までつなげることを重視していると説明しました。
EC事業者が見るべきなのは、「どの決済サービスを導入しているか」だけではありません。購入者がどこで不安を感じ、どこで手間を感じ、どこで迷っているのか。決済を含めて購入体験全体を見直すことが、「買いやすいECサイト」を考えるうえで重要になります。
Amazon Payを導入する側が気になることは?
ここまでは、購入者の視点から「買いやすさ」を見てきました。一方、EC事業者が決済サービスを導入するときには、別の疑問も出てきます。
Amazon側には、どのような取引情報が渡るのか。不正利用やチャージバックには、どのように対応するのか。売上金は、いつ入金されるのか。対談後半では、こうしたEC事業者だからこそ気になるポイントについて、柳田さんが山本さんに質問しています。
調査レポートでも、不正取引対策として、Amazonが24時間365日アカウントやカードの不正利用を監視していることや、事業者向けの支払い保証ポリシーについて紹介されています。記事では触れきれない具体的な仕組みややり取りについては、動画本編で確認できます。
▼「ECの未来」アマゾンジャパンの山本さんの対談を動画で見る
せっかく獲得した顧客を、最後の数クリックで失っていないか
新規顧客を増やすための施策は、もちろん重要です。ただし、広告やSNS、コンテンツに投資して顧客をECサイトまで連れてきても、購入直前の数クリックで離脱されているのであれば、その効果を十分に生かせていない可能性があります。
今回の対談で出てきたのは、「安心・早い・迷わない」という3つの視点でした。
1.初めて訪れた人でも安心して買えるか。
2.欲しいと思ったときに、すぐ購入できるか。
3.決済画面で迷わせていないか。
新しい集客施策を一つ増やす前に、一度、購入者になったつもりで自社のECサイトを商品選びから注文完了までたどってみる。せっかく獲得した顧客を、最後の数クリックで取りこぼしていないか。そこを見直すことが、「買いやすいECサイト」をつくる第一歩になるかもしれません。
今回の対談でも使用した調査レポート「Amazon Payを取り巻くEC決済の動向と実態 2026年版」では、EC市場や決済を取り巻く環境、利用者の属性や購買行動、ECサイトから離脱する理由などを詳しく紹介しています。
▼EC決済と利用者の実態をデータから確認する
「Amazon Payを取り巻くEC決済の動向と実態 2026年版」
対談の詳しい内容を知りたい方は、「ECの未来」の動画本編もあわせてご覧ください。
▼「ECの未来」アマゾンジャパンの山本さんの対談を動画で見る
https://youtu.be/54SFLntOoo8
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