Google(グーグル)、2026年第2四半期決算:AI検索から購入まで、コマース領域への展開を加速

Googleの親会社であるAlphabetは、2026年第2四半期(4~6月)の決算を発表しました。売上高は前年同期比24%増となり、広告収益は14%増、法人向けのクラウド事業は82%増と大きく伸びています。

生成AIを活用した検索や広告に加え、AIとEC事業者、決済事業者などをつなぐ共通規格「Universal Commerce Protocol(UCP)」や、異なる店舗の商品を一つのカートで管理できる「Universal Cart」など、コマースに関する取り組みも紹介されました。

本記事では、GoogleのAI戦略が検索や広告、商品発見、購入体験をどのように変えようとしているのかを読み解きます。

売上高は24%増、広告とクラウドが成長を牽引

売上高は、前年同期の964億2,800万ドルから1,197億9,600万ドルへ24%増加しました。営業利益は30%増の407億7,000万ドルとなり、営業利益率は32%から34%へ上昇しています。

広告収益は14%増の816億2,900万ドルでした。内訳は、Google検索をはじめ、GmailやGoogle Maps、Google Playなど、Googleが運営するサービス上の広告を含む「Google Search & other」が17%増の632億7,100万ドル、YouTube広告が13%増の110億5,500万ドルです。一方、AdSenseやAdMobなどを含むGoogle Networkは1%減の73億300万ドルでした。

「Google Search & other」の有料クリック数は13%増え、1クリックあたりの単価も3%上昇しました。検索利用や広告主の支出の増加、広告形式と配信技術の改善などが収益の拡大につながったとのことです。

法人向けのクラウド事業「Google Cloud」の売上高は82%増の247億6,800万ドル、営業利益は3倍超の88億1,400万ドルとなりました。

Googleの生成AIが検索と広告を変える

Googleは、自社の生成AI「Gemini」を、質問に回答するアプリだけでなく、検索内容の理解や広告配信、商品選びを支える技術として活用しています。

「AI Overviews」と「AI Mode」の連携

Google検索では、生成AIを使った「AI Overviews(AIによる概要)」と「AI Mode」を展開しています。AI Overviewsは、検索内容に応じて情報を整理し、要点と関連サイトへのリンクを検索結果に示す機能です。AI Modeは、AIと会話するように質問を重ね、情報を詳しく調べたり、複数の商品やサービスを比較したりできる検索機能です。

Googleは両機能を連携させ、AI Overviewsで概要を確認した後、その内容を引き継いでAI Modeで深掘りできるようにしています。AI Modeの月間利用者数は10億人を超え、AI機能は検索回数全体の増加にもつながっているとのこと。また、検索内のAI機能から外部サイトへ毎週数十億回のクリックを送っているといいます。

AI検索が広告機会を広げる

AI検索では、利用者が単語だけでなく、用途や条件、悩みなどを文章で詳しく伝えられます。Geminiでこうした長く具体的な検索内容を読み取り、従来は広告を表示しにくかった検索にも、関連性の高い広告を提示できるようにしているとのことです。

ショッピング広告では、Geminiを使った検索意図の理解により、関連性の高い広告を表示する性能が20%改善したといいます。また、Google検索などの広告収益の成長には、小売が最も大きく貢献し、金融が続きました。

ただし、広告収益が17%増えた要因を、すべてAIによるものと捉えることはできません。検索利用や広告主の支出、広告形式、配信技術など複数の要因が影響したと説明しています。

「AI Max」の導入が50万社に

「AI Max」は、Google検索広告に追加できるAI機能です。広告主が登録したキーワードだけでなく、ウェブサイトや広告文の内容もAIが分析し、関連する検索への配信や広告表現を最適化します。

AI Maxはベータ版を終了し、50万社の広告主が導入しました。AI Maxや、検索やYouTubeなど複数の広告枠への配信をAIで最適化する「P-MAX 」を利用した広告主は、同程度のROASを維持しながら、検索におけるコンバージョン数またはコンバージョン価値が平均15%増加したとしています。

AIによる広告配信が広がるほど、キーワードや入札額の調整だけでなく、商品名、説明文、画像、価格、在庫、配送条件、購入データなど、AIに提供する情報の質が重要になるでしょう。

Googleが商品発見から購入までを支援

AIが利用者に代わって商品を探し、比較や購入を支援する「エージェントコマース」の基盤づくりも進めています。

AIとECをつなぐ「Universal Commerce Protocol」

「Universal Commerce Protocol(UCP)」は、商品を探すAI、EC事業者、決済事業者などが、共通の形式で情報をやり取りするためのオープンな標準規格です。商品の発見から購入、購入後のサポートまでを対象とし、AIサービスごとに個別の接続方法を構築する負担を減らすことを目指しています。

Shopify、Etsy、Wayfair、Target、WalmartなどとUCPを共同開発しました。また、TargetとSteve MaddenがUCPを利用した仕組みを稼働させているとのことです。

複数店舗の商品をまとめる「Universal Cart」

「Universal Cart」は、販売元の異なる商品を一つのカートで管理する仕組みです。値下げや在庫の復活、価格履歴、決済手段の特典などを確認でき、異なる店舗から選んだ商品の組み合わせに問題がないかをAIが確認する使い方も想定されています。

購入時には、対応する商品をGoogle Payで決済するか、小売事業者のサイトへ移動して手続きを完了します。いずれの場合も、販売主体はブランドや小売事業者です。2026年夏に米国のGoogle検索とGeminiアプリから順次展開され、YouTubeとGmailへの対応も予定されています。

AIによる回答の中にも広告を表示

AI検索内の広告形式も増えています。「Direct Offers」は、購入する可能性が高い利用者に限定の割引や特典を提示する機能です。「Highlighted Answers」では、AI Modeが候補を一覧で示す回答の中に、スポンサーであることを明示した広告を表示します。

これらには実証中、または今後導入される機能も含まれます。従来の検索結果の上部や下部だけでなく、AIとの会話や回答の流れに沿って商品や特典を示す広告が増えていくとみられます。

YouTubeも商品を購入できる媒体へ

YouTube広告収益は13%増の110億5,500万ドルとなりました。インターネットに接続されたテレビでYouTubeを視聴する利用者が、テレビ画面上から2回の操作で商品を購入できる「Buy with Google Pay」を発表しています。

また、YouTube Shoppingのアフィリエイトリンクが付いたクリエイター動画を、ブランドが広告として広げやすくする機能も発表しました。YouTubeは認知を得る媒体だけでなく、クリエイターによる紹介から比較検討、購入までをつなぐ場へと変化しています。

まとめ:EC事業者は商品情報と購買導線の再設計を

今回の決算から見えるのは、AIが検索結果の表示方法を変えるだけではないということです。Googleは、利用者の意図を理解し、条件に合う商品や広告を提示し、比較、カートへの追加、購入まで支援する仕組みを整えています。

EC事業者にとっては、検索順位や広告の入札価格だけでなく、AIが商品を正確に理解できるようにする情報整備の重要性が高まります。商品に関するよくある質問への回答、対応するアクセサリー、代替商品などをMerchant Centerへ登録できるようにする方針を示しています。

商品名や説明文だけでなく、画像、価格、在庫、バリエーション、配送、返品、会員特典などを正確かつ最新の状態に保つことが求められるでしょう。Google検索やGemini、YouTube上で商品が比較され、購入まで進める仕組みが広がれば、自社ECサイトへの流入だけでなく、Google上での商品表示や購入体験も確認する必要があります。

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