A.T. カーニー、製造業のアフターマーケット・サービス市場で年6.5%成長と分析した論考を公開

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷武文氏)が、製造業におけるアフターマーケット・サービスの成長機会および価格戦略について分析を行った論考「アフターマーケット・サービス拡大機会の取り込み」(英題:Tapping into the growing opportunity in aftermarket services)を発表しました。

同論考では、高水準の資本コストを背景として、顧客企業が新規設備への投資を延期し、現有設備の性能向上へと支出を移行させる動きが見られる中、アフターマーケット・サービスが製造業における成長と収益性を下支えする重要な領域となることが示されています。グローバルの産業サービス市場は2024年から2030年にかけて年平均6.5%の成長が見込まれており、アフターマーケット・サービスにおける平均EBITマージンは27%と、新規設備販売における11%を大幅に上回る水準となっています。

その一方で、多くの自動車メーカーおよび産業財メーカーにおいては、価格設定に関する能力が依然として基礎的なレベルに留まっており、顧客や製品ライン、市場間におけるセグメンテーションや価格の整合性が十分に取れていない状況が指摘されています。同論考では、販売チャネル間での価格の不整合、粗雑または不正確なアップセル提案、キット化やバンドル化された提案の欠如といった課題が重なることで、10%を超えるマージンの流出を含む大幅な価値の取りこぼしが発生する可能性があると警鐘を鳴らしています。そして、価格戦略、価格設定、価格実行、価格モニタリング、およびこれらを支える推進基盤という5つの領域が提示されています。

北米の新規機械・設備市場は年1.12%成長、世界の産業サービスは年6.5%成長の見通し

北米における機械および新規設備市場は、高金利や経済の不確実性の影響を受けて、2025年から2029年における年平均成長率が1.12%に留まる見通しとなっています。これに対して、保守サービス、スペアパーツ、その他の付加価値サービスに対する需要に支えられることで、世界の産業サービス市場は2024年から2030年にかけて年平均6.5%で成長すると予測されています。また、世界の航空機アフターマーケット部品市場においては、同期間における成長率が8.5%に達すると見込まれています。

予測の対象となる地域や期間は異なっているものの、アフターマーケット領域における成長率は多くの市場におけるGDP成長率を上回る水準となっています。米国の経済成長率は2027年から2035年にかけて年平均1.8%と見込まれています。さらに、平均EBITマージンについては、アフターマーケット・サービスが27%であるのに対し、新規設備販売は11%となっており、OEMにとって大きな成長機会が存在していることが示されています。

図表1 アフターマーケット・サービスの成長・収益性に関する主要指標

アフターマーケット・サービスの成長・収益性に関する主要指標

価格の不整合などにより10%以上のマージン流出も、価格能力は5つの領域で改善可能

市場環境が追い風となっている状況であっても、OEMがその恩恵を利益へと転換できるとは限りません。ネットワークの拡充、複雑性の管理、サプライヤー供給品向けサービスの開発など、複数の施策が存在する中で、同論考では、最も取り組みやすく、かつ大きなインパクトが期待できる領域として価格設定が挙げられています。

典型的な課題としては、販売チャネルごとに価格が異なっていること、顧客や製品の価値差を十分に反映できていないこと、アップセル提案が粗雑または不正確であること、補完部品やサービスをキット化・バンドル化した提案が不足していることなどが挙げられます。これらの課題が重なり合うことで、10%以上のマージン流出を含む大幅な価値の取りこぼしにつながる可能性があります。

改善を実現するためには、外部市場と顧客を踏まえた「価格戦略」と「価格設定」、社内プロセスを変革する「価格実行」と「価格モニタリング」、そして4つの価格領域を支える「推進基盤」を連動させる必要があります。個別の施策として実施するのではなく、価格決定から現場での実行、継続的な改善に至るまでを一つの仕組みとして設計することが重要となります。

図表2 アフターマーケット・サービスの価格設定能力を高める5つの領域

アフターマーケット・サービスの価格設定能力を高める5つの領域

価値ベース価格、自動化、バンドル・アップセルにより収益機会を確実に取り込む

価格設定においては、コストに一定の上乗せを行う「コストプラス」方式、競合他社の価格を基準とする「市場基準」方式、顧客が認識する価値と支払意思額を起点とする「価値ベース」方式を、製品の特性や競争環境に応じて使い分けていく必要があります。独自性が高い部品やサービスにおいては、初期価格、運用コスト、保守要件、信頼性などの価値ドライバーを競合他社と比較し、顧客価値に基づいて価格を設計することが利益の最大化につながります。

価格の実行段階においては、権限委譲と値引き承認のガバナンス、契約管理、交渉力を整備することで、価格支配力を維持することが求められます。モニタリングにおいては、数量と価格だけではなく、製品別や顧客セグメント別のマージン、営業担当者ごとの価格乖離まで追跡することによって、市場の変化への迅速な対応が可能となります。

価格チームの育成、価格実現度とマージンに連動した営業インセンティブ、堅牢なデータ基盤と高度な価格ツールは、4つの価格領域を支える推進基盤となります。自動価格ツールがデータの取り込み、価格計算、承認、価格管理、分析・最適化をつなぐことによって、手作業を削減し、価格判断の一貫性を高めることができます。

バンドリングとアップセルで顧客をOEMのエコシステムへ取り込む戦略

複数の部品やサービスを一体として提供するバンドリングは、補完商品の購入を促進し、販売量とマージンを向上させるとともに、競合他社との差別化や顧客満足度の向上につながります。より高価値な部品や追加コンポーネントを提案するアップセルは、マージンを損なうことなく注文額を引き上げ、競合他社の市場シェアを取り込む手段となります。

市場や顧客の嗜好が変化していく中で、OEMは価格戦略を継続的に評価・精緻化し、社内外で価格を整合させていく必要があります。定期的な価格最適化は、利益率の防衛・拡大に加えて、既存顧客の維持、新規顧客の獲得、長期的な競争優位の構築を支えることになります。

論考の詳細について

論考名:「アフターマーケット・サービス拡大機会の取り込み」(英題:Tapping into the growing opportunity in aftermarket services)

監修者のプロフィール

竹村文伯氏 シニアパートナー

東北大学工学部を卒業後、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にて修士号を取得されました。松下電器産業(現パナソニック)を経てA.T.カーニーに入社されました。日本の大手製造業、主にエレクトロニクス、機械メーカーを中心として、経営戦略、組織、事業戦略、新規事業展開、M&Aなどのコンサルティング業務に従事されています。

西川覚也氏 シニアパートナー

東京大学工学部を卒業されました。特許事務所を経て、A.T.カーニーに入社されました。現在の技術軸に新しい技術軸を加えて、需要を創造するM&A戦略、IoTを梃にした新しい価値の創造(ビジネスモデル、オペレーションモデル)を支援されています。

出典元:A.T. カーニー株式会社プレスリリース(PR TIMES)

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