株式会社帝国データバンクは、「飲食料品卸売」業界における経営事業者の倒産動向に関する調査・分析結果を発表しました。

調査結果の概要

2026年上半期における飲食料品卸売業界の倒産件数は133件に達しており、年間ベースでは前年の実績である257件を超える見通しとなっています。このペースで推移すれば、3年連続で倒産件数が250件を超える可能性があり、新型コロナウイルス感染症流行以前の水準にまで倒産が増加している状況です。倒産増加の背景には、各種資材価格の高騰や人件費の上昇に加えて、農畜産物および水産物卸売業界においては気候変動などに起因する収穫量や水揚量の変動が影響を及ぼしています。価格転嫁が十分に進まない状況が続く中、特に小規模企業を中心として倒産件数は高い水準で推移していくことが予想されています。

集計期間:2007年1月1日〜2026年6月30日
集計対象:負債1000万円以上、法的整理による倒産

2022年以降は半期で100件を超える倒産が継続

2026年上半期における飲食料品卸売業界の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は133件となり、前年同期の126件から7件、率にして5.6%の増加となりました。この数値を年間換算すると266件に達し、2024年以降の倒産件数は新型コロナ禍以前と同じ水準である250件超で推移していることが明らかになっています。負債総額については、258億6200万円と前年同期の約185億5600万円と比較して約4割上回る結果となりました。

2026年上半期の代表的な倒産事例としては、水産物の通信販売サイトを運営する株式会社北国からの贈り物(埼玉県、2026年4月、民事再生法適用、負債約17億円)や、水産加工品の卸売を手掛ける株式会社メリータイムフーズ(東京都、2026年5月、破産、負債約12億円)などが挙げられます。

規模別で見ると、負債5000万円未満の小規模倒産が59件(構成比44.4%)、資本金1000万円未満の企業が62件(同46.6%)発生しており、価格転嫁が進んでいない小規模事業者の苦戦が続いている状況が浮き彫りになっています。ただし、2026年上半期においては、負債額が5億円以上の倒産が16件(前年同期は10件)と増加したことが、負債総額を押し上げる要因となりました。

生鮮魚介卸や食肉卸など農畜産・水産物卸売業界が苦境に

業種細分類で分析すると、「生鮮魚介卸」が37件(前年同期24件)となり、半期集計としては過去10年間で2025年下半期と並び最多の件数を記録しました。気候変動に起因する水揚量の減少に加えて、海外における魚介類需要の拡大を背景として魚価が上昇している一方で、国内需要の低迷により販売価格への転嫁が進まないことが主な要因となっています。また、高価格帯の牛肉から安価な豚肉や鶏肉への需要シフトに加えて、アフリカ豚熱や鳥インフルエンザなどによる供給問題も抱える「食肉卸」は13件(同13件)となりました。「野菜卸」についても天候不順で相場の値動きが大きいため、21件(同25件)と高い水準で推移しています。

商品の販売価格がある程度定まっている「食品・飲料品卸」と比較して、商品相場の値動きが存在する「農畜産・水産物卸」は価格転嫁が難しく、上記の業種以外においても苦戦が継続しています。なお、「食品・飲料品卸」の中でも、特に特売品などで利用される日配品を取り扱う事業者は、ギフト商材や高額商材と比較して価格転嫁が進まず、事業環境が悪化している企業が多い状況です。

価格転嫁の遅れが倒産増加の主要因

新型コロナ禍以降、倒産が高い水準で推移している背景には、食品価格の上昇に対して販売価格への転嫁が進んでいない現状があります。地球温暖化や天候不順により農畜産物や水産物の収穫量や相場が不安定であることや、円安の影響による輸入食材の仕入価格の上昇、さらには包装資材や運送コストの上昇など、近年はさまざまな価格上昇要因が存在しています。一方で、消費者の節約意識の高まりから、安価な商材へのシフトや購入量を控える動きがあり、販売価格への転嫁が抑制されることで利益幅が減少するケースが見られ、倒産件数を押し上げる結果となっています。

今後についても中東情勢の影響によって各種資材の価格上昇が懸念されるなど、業界を取り巻く不透明な要素は依然として多い状況です。小規模事業者を中心に厳しい事業環境が続くと見られており、倒産件数は今後も高い水準で推移することが見込まれています。

出典元:株式会社帝国データバンク

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