ギブリーとニトリ、生成AI活用のコンタクトセンター改革で約30人分の業務工数削減を実現

株式会社ギブリー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:井手 高志)は、株式会社ニトリ(本社:北海道札幌市、代表取締役会長兼社長:似鳥 昭雄)と協力し、2024年5月から生成AIを駆使した「コンタクトセンター改革プロジェクト」を推し進めていることを発表しました。

今回、本プロジェクトにおける一連の施策の成果として、約30人分に相当する業務工数の削減を達成し、削減によって生まれたリソースを遠隔接客などの付加価値の高い業務に振り向けることで、顧客利便性と業務生産性の双方の向上を同時に実現したことが明らかになりました。

ニトリにおけるコンタクトセンター改革プロジェクトについて

ニトリでは、人とシステムの役割分担を見直し、顧客対応における満足度の最大化を目指して、ギブリーと協働で2024年から「コンタクトセンター改革プロジェクト」を展開しています。

このプロジェクトでは、コンタクトセンターにおいて生成AI技術と次世代ナレッジベースを導入することで、顧客からの問い合わせに対し、24時間365日(有人での対応が困難な時間帯においても)解決可能な未来志向のカスタマーサービス体制の構築を目指しています。ギブリーは、このプロジェクトにおいて構想の設計から基盤の構築、業務オペレーションの設計までを担当しています。

ニトリの顧客向け生成AIチャットボットの設計内容

ギブリーは、顧客向けのFAQ、チャットボット、ビジュアルIVR、メール、問い合わせフォームの回答における参照データとなるQ&Aや商品データベースと、従業員向けのQ&A、業務ルールを統合管理する「ナレッジベース」を構築しました。これにより、従来は分散していたナレッジを整理・統合し、一回の更新で複数のチャネルの回答を変更できる体制が整えられました。

また、整備されたナレッジをベースに、FAQサイトおよびニトリネットの各商品ページ上において、顧客からの問い合わせに生成AIが回答するチャットボットが構築されました。回答の精度を向上させるため、参照するナレッジのフォルダ階層化やタグ付けが実施され、RAGで使用されるナレッジを適切にコントロールしています。

さらに、AIが質問内容を事前に仕分けして、生成AIで対応可能な問い合わせと有人対応が必要な問い合わせを判別することで、適切な窓口への案内やエスカレーションが実現されています。

現在、生成AIチャットボットは、「ニトリネット(購入・サービス)」および「会員・ログイン関連」の問い合わせを対象としており、「ロングテール問い合わせ」と「商品問い合わせ」の2つの領域に対応しています。

これらの施策により、ナレッジの整備・改善を継続的に推進しながら、顧客の自己解決率向上と顧客対応業務の効率化が進められています。

ロングテール問い合わせへの対応について

課題の内容

ロングテール問い合わせは、問い合わせ頻度は多くないものの、コールセンター全体では無視できない件数が存在し、回答に必要な情報の検索や管理者への確認に時間がかかることが課題となっていました。

課題に対するアプローチ

  • 生成AIチャットボットの設置
  • 回答できなかった質問の抽出とナレッジの改善・拡充

顧客は電話やメールでは質問しにくい内容でも、チャットボットであれば気軽に質問することができます。そのため、顧客の些細な疑問や不明点を明確にすることができます。ニトリ側はその疑問点に対するナレッジ(Q&Aや業務ルール)を一度整備するだけで、今後はチャットボットが生成AIで回答することにより、大幅な時間短縮を実現しました。

チャットボットの設計内容

  • 定型質問:ルールベースの選択式でよくある質問の回答(Q&A)が準備されています。顧客の入力の手間を省き、頻出する質問に回答します。
  • ロングテール質問:顧客が「生成AIに質問する」か、「有人オペレーターに問い合わせる」かを選択します。有人オペレーターの対応は時間帯により回答を待つことがありますが、生成AIでは待つ必要がなく、24時間365日回答が可能です。
  • 生成AI回答:
    • RAG対象テキストの制御:ナレッジ参照フォルダを限定することで、ハルシネーションリスクが抑制されます。
    • AIによる事前振り分け:クレーム対応や商品提案など、生成AIによる回答が適切ではない問い合わせについては、AIが事前に判別し、適切な窓口へ誘導します。
  • 回答ログの解析:問い合わせ経路ごとの自己解決率を分析することで、改善すべき経路が明確化されています。顧客の質問から不明点を洗い出し、ナレッジの改善だけでなく、ニトリネット上のUI/UXの改善にも活用されています。

商品問い合わせへの対応について

課題の内容

ニトリネットは16万点以上の商品を取り扱っており、商品に関する問い合わせが多数寄せられています。一方で、商品の入れ替わりも頻繁に発生するため、すべての商品ごとに個別のQ&Aやナレッジを整備することは現実的ではなく、有人オペレーターでしか対応できない問い合わせが大半を占めていました。

課題に対するアプローチ

  • 商品ページごとに生成AIチャットボットを設置
  • ニトリネット及び商品データベースとのデータ連携開発
  • 回答できなかった質問の抽出とナレッジの改善、拡充

チャットボットの設計内容

  • 商品特定:ニトリネットで表示している商品の商品コードを自動取得します。
  • 定型質問:ルールベースの選択式でよくある質問の回答(Q&A)が準備されています。回答は商品マスタから提示されます(例:送料、組み立て有無など)。
  • 生成AI回答:
    • RAG対象テキストの制御:商品マスタ、カテゴリナレッジ、共通ナレッジの順にナレッジを参照することで、特定商品、特定カテゴリ、一般的な問い合わせまでを幅広くカバーしつつ、ハルシネーションリスクが抑制されます。
    • AIによる事前振り分け:商品提案など、生成AIによる回答が適切ではない問い合わせについては、AIが事前に判別し、適切な窓口へ誘導します。
    • 回答ログの解析:顧客の質問から不明点を洗い出し、不足している情報や説明内容が特定されます。その内容をニトリネットの商品説明欄に反映するとともに、店舗従業員が参照するナレッジにも追記することで、店舗での問い合わせ時の回答にも活用されています。

※ビジュアルIVR:Webサイト上で問い合わせ内容に応じた選択肢を表示し、適切な情報や問い合わせ窓口へ案内する仕組み
※ロングテール問い合わせ:発生頻度は低いものの、FAQでは対応しきれない多様な問い合わせ
※ハルシネーション:生成AIが事実に基づかない不正確な回答を生成する現象

プロジェクトの成果について

この取り組みにより、コンタクトセンターでは以下の成果を上げています。

  • 電話、メール、有人チャットの有人化対応件数を前年比10%削減
  • 生成AIチャットボットによる24時間365日の問い合わせ対応を実現し、夜間を含めて顧客が自己解決できる状態へ
  • 約30人分の業務工数削減を実現し、創出されたリソースを遠隔接客などの高付加価値の接客業務へ再配置
  • 顧客から寄せられる自由入力の質問を基に、ニトリネットのUI・UXを改善

今後の展望について

ギブリーとニトリは今後も、生成AIを活用した無人対応と有人対応の最適な連携を進化させ、「より便利に、より安心して」利用できる仕組みを追求していくとのことです。また、AIエージェントを活用したナレッジ資産の活用により、顧客だけでなく、従業員向けのDX・AXを推進し、従業員がより付加価値の高い接客に集中できるよう、さらなる機能拡充と運用改善を進めていく予定です。

プロジェクト担当者のコメント

株式会社ニトリ 札幌コールセンターマネジャー 岩谷 博通氏のコメント

ニトリはお客様に「お、ねだん以上。」の価値を提供するため、24時間365日対応できる体制にまた一歩近づくことができました。検索エンジンのAI要約などにより、お客様に誤認させてしまうリスクもあるため、生成AI回答には自ら取り組む必要があると考えていました。調べて回答するといった簡単な問い合わせはシステムで回答できるようになった反面、人間は高付加価値を提供する仕事の割合が増えてきました。次のステップでは、人間が対応すべき業務を効率化するための仕組みづくりに支援をいただきたいとコメントしています。

株式会社ギブリー 取締役CMO 兼 マーケティングDX部門COO 吉田 将輝氏のコメント

ギブリーは、生成AIとナレッジマネジメントを組み合わせることで、従業員の生産性向上と顧客満足度向上を両立し、人とAIがそれぞれの強みを活かせる顧客対応を実現できると考えています。今後もニトリ様と共に、デジタル技術を最大限に活用した新しい顧客体験の創出を進めてまいりますとコメントしています。

出典元:株式会社ギブリー

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