ファインディ、新規事業開発における課題と生成AI活用の実態調査を実施 約8割が市場投入段階で課題に直面

エンジニアプラットフォームを運営するファインディ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:山田 裕一朗)が、新規事業開発および商品企画における課題と、生成AIの活用実態に関する調査を実施し、その結果を公表しました。

調査結果のポイント

新規事業のGo-to-Market段階で約8割(79.9%)の組織が課題を抱えている

最も大きな課題となっているのは「営業・マーケティング部門との連携・引き継ぎが円滑に進まない」(34.6%)および「PoCは完了しているものの事業化の方針が定まらない」(33.1%)であり、いずれも社内における組織間の連携に関する課題が上位となっています。

意思決定プロセスの複雑さと根拠情報の散逸が構造的な課題に

「2段階以上の承認が必要」「2回以上の会議が開催される」「差し戻しが常態化している」という回答がいずれも6割を超えています。また、約9割の回答者が過去の意思決定の根拠を探しても見つからなかった経験を持っていることが判明しました。

AI導入率は76.2%に達しているものの、判断の質への貢献は限定的

AIの活用は議事録の文字起こしや要約といった定型的な業務が中心となっています。全社レベルでAI活用の標準化を進めている組織においても、期待される効果を十分に実感できている割合はわずか14.1%に留まっています。

調査の概要

調査対象は、新規事業開発・商品企画に関わるビジネスパーソン(新規事業開発、商品・サービス企画開発、R&D企画、IT/DX/AI推進、プロダクトマネジメント、UXリサーチ・デザイン等)となっています。

調査方法はインターネット調査(スクリーニング→本調査)で、2026年3月17日から3月23日にかけて実施されました。調査実施機関は株式会社インテージです。

対象業種は製造業、情報通信業、卸売・小売業、運輸業、消費財メーカーで、従業員100名以上の企業が対象となっています。有効回答数は622名で、調査主体はファインディ株式会社です。

なお、本調査はファインディ株式会社の利用ユーザーに対する調査ではありません。

Go-to-Market課題の実態

約8割の組織が市場投入段階で壁に直面、最大のボトルネックは社内連携

新規事業開発・商品企画に携わるビジネスパーソンを対象として、新規事業・新商品を市場に投入する段階で直面している課題について複数回答で調査を実施したところ、79.9%の組織が何らかの課題を抱えていることが明らかとなりました。

最も多かった回答は「営業・マーケティング部門との連携・引き継ぎが円滑に進まない」(34.6%)で、「PoCは完了しているものの事業化の方針が定まらない」(33.1%)が僅差で続く結果となっています。特筆すべき点は、上位2つの項目がいずれも市場環境や顧客獲得といった外部要因ではなく、社内の組織間連携に関する課題である点です。新規事業開発の現場では、新規事業部門と既存の営業・マーケティング部門の間の隔たりが最も深刻で、意思決定や組織間連携の停滞が事業化を妨げている実態が浮き彫りになりました。

市場投入時の課題(複数回答・上位5項目)

市場投入時の課題(複数回答・上位5項目)

業種によってGo-to-Market課題の重点が異なる傾向

業種別のクロス分析を実施した結果、新規事業開発担当者が直面するGo-to-Market課題の構造は、業種によって異なることが確認されました。

製造業(n=234)においては「PoCは完了しているものの事業化の方針が定まらない」が37.2%で最も高い数値を示し、要素技術の開発からビジネスモデル構築への移行に困難を抱える構造が顕著となっています。一方で、情報通信業(n=314)では「スケールアップ(横展開・量産)の見通しが立たない」が32.5%と相対的に高く、初期のプロダクト開発から市場拡大への移行に課題を抱えている傾向が見られました。

業種別:Go-to-Market課題の保有率(複数回答)

業種別:Go-to-Market課題の保有率(複数回答)

意思決定プロセスの課題

承認2段以上が6割超、差し戻しも常態化、新規事業のスピードを構造的に阻害

新規事業の企画提案が実施決定に至るまでのプロセスは、依然として重い状況であることが明らかになりました。承認に2段階以上を要するという回答が62.4%、承認までに会議が2回以上必要という回答が63.4%、さらに差し戻しが「ときどき」から「ほぼ毎回」発生するという回答が61.2%に達し、いずれも6割を超える結果となりました。

複数段階の承認、複数回の会議、高頻度の差し戻しが重なることで、新規事業のスピードを構造的に押し下げている状況が明らかになっています。

企画書・稟議などが実施決定されるまでに必要な承認の段階

企画書・稟議などが実施決定されるまでに必要な承認の段階/関係者調整や説明のために必要な会議の回数/差し戻し(修正依頼)発生頻度

半数の組織で意思決定の根拠が散逸、約9割が必要な情報に辿り着けない経験を持つ

調査結果や意思決定の根拠(出典・議論の経緯)を後から第三者が追える形で記録できていない組織は50.0%でした。また、過去の根拠情報を探しても最終的に辿り着けないことがある(「たまにある」から「ほぼ毎回ある」)と回答した割合は88.1%に達しています。

このような根拠の散逸は、差し戻し・やり直しを引き起こす要因であると同時に、Go-to-Market課題の背景にある組織的な情報分断の一因でもあると考えられます。

意思決定の根拠を、後から第三者が終える形で残せているか

意思決定の根拠を、後から第三者が終える形で残せているか/過去の調査結果や意思決定の根拠を探すとき、必要な情報に「最終的にたどり着けない」頻度

企画書・資料作成に週5時間以上が3割超、情報探索にも半数以上が週3時間以上を消費

新規事業開発に携わる担当者の業務時間について調査したところ、企画書・稟議・資料作成に週3時間以上を費やしている割合は61.8%、週5時間以上は31.6%と、業務の中でも特に大きな時間を占めていることが明らかになりました。社内事例・過去調査の探索にも54.6%が週3時間以上を費やしていることが分かりました。

週あたり業務時間(3時間以上/5時間以上の割合)

週あたり業務時間(3時間以上/5時間以上の割合)

生成AI活用の実態と限界

AI導入は76.2%が実施済み、どのように使いこなすかのフェーズに

組織における生成AIツールの業務導入状況を調査したところ、部門または全社レベルで標準化済みとの回答が55.0%でした。試行中を含めると76.2%が何らかの形でAIを導入済みとなっています。新規事業開発の現場では、AI活用は既に「導入するか否か」という段階ではなく、「いかに活用するか」が問われるフェーズに入っていることが窺えます。

AI導入ステージ

AI導入ステージ/部門/全社で標準化済み/何らかのAI導入済み(試行中含む)

AIが効果を発揮しているのは定型業務、情報探索は任せたいものの解決できていない業務課題として残存

業務プロセス別に見たAI活用状況では、文字起こし・要約が最も浸透しており、約3割が本格的に活用しています。一方で、PoC計画・仕様化やインサイト分析など判断を要する上流工程では限定的で、浸透の遅れが見られます。

業務プロセス別のAI活用状況

業務プロセス別:「AIを頻繁に活用+完全に組込み」 vs 「まったく活用なし」

また、AI活用による時間短縮の実感を調査したところ、文字起こし・要約については51.3%が「短縮実感あり」と回答した一方、社内事例・過去調査の探索は43.0%に留まりました。その一方で、今後AIに任せたい業務では社内事例・過去調査の検索が32.1%で3位に入っており、ニーズが高いにも関わらず、現状では十分に解決できていない業務課題が存在することが窺えます。

AIによる時間短縮実感

AIによる時間短縮実感あり vs 短縮実感なし

全社でAI標準化済みの組織においても、AIの効果を十分に実感できているのは14.1%に留まりました。一方で、一部実感に留まるとの回答が59.6%で最も多い結果となりました。この結果から、AI投資のROIを十分に回収できている組織はごく一部であり、特に事業化判断、営業連携、根拠の蓄積といった開発以降のフェーズにはAI単体では十分に対応しきれていない状況です。こうした領域は、AIを補完する仕組み、たとえばリサーチやインサイトの管理・共有基盤によってカバーすることが重要です。

出典元:ファインディ株式会社

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ