博報堂DYホールディングス「メタバース生活者定点調査2025」発表 利用者は約670万人で定常期へ

株式会社博報堂DYホールディングス(東京都港区、代表取締役社長:西山 泰央)が、全国の15~69歳を対象に実施した「メタバース生活者定点調査2025」の結果を公開しました。本調査は、メタバースに関する生活者の現状意識や動向を把握することを目的としたもので、今回は新たにメタバースユーザーの行動・嗜好特性を分析した「メタバース6ペルソナマップ」も作成されています。

総務省が発表した「令和7年版 情報通信白書」では、国内メタバース市場が2024年の2,750億円(見込み)から2028年には1兆8,700億円規模へと急成長することが予測されています。市場が着実に拡大する中で、バーチャル空間での活動を行う生活者の意識も、コミュニティの成熟に伴って変化を続けています。このような背景から、同社は、メタバース利用者の動向を把握しメタバース関連ビジネスを展開するための手がかりを得るため、2022年から本調査を継続的に実施しています。

今回で4回目となる「メタバース生活者定点調査2025」から得られた主な調査結果が公開されました。

認知層は約37%を維持、利用層は約8%で定常期に突入

国内でメタバース関連サービスを認知している層は37.3%となり、推計で約3,039万人という結果が得られました。前年調査の38.4%と比較すると1.1ポイントの減少となっています。また、メタバースに興味はあるものの利用していない層は前年と同じ5.8%でした。一方、メタバース関連サービスの利用経験がある人は全体の8.0%(推計約670万人)となり、前年の8.7%とほぼ同水準であることが明らかになりました。メタバースの認知から利用に至るファネルの推移が年間でほぼ見られないことから、メタバースは現在「定常期」の状態にあると考えられます。

なお、本調査では約60のメタバース関連サービスを提示し、認知度や利用経験・頻度が聴取されています。2~3ヶ月に一度以上いずれかのメタバース関連サービスを利用している人がメタバース利用層として定義されています。

孤独感の解消とチャレンジ精神を育む場として機能

メタバースサービスが利用者に与えた影響について経年比較を行った結果、「孤独感が減った」と回答した利用層は全体の15.3%となり、前年の12.1%から3.2ポイント増加しました。さらに、「リアル・現実世界がポジティブになった」という項目も前年比で1.9ポイント増加しており、メタバースは単純な現実逃避の場ではなく、現実生活における精神的な安定を支える「心のインフラの場」としての役割を果たし始めていると言えます。

加えて、「リアル・現実世界で、チャレンジ精神が強くなった」という回答は12.9%となり、前年から3.4ポイント上昇しました。「自分自身のやりたいことを改めて始めたいと思った」も3.2ポイント増加しており、メタバースでの体験が現実世界における積極的な行動を促進していることが確認されました。

メタバース利用による影響の調査結果

自己表現と可能性発見の場として、SNSとは異なる役割を担う

「自分にとってのメタバースの存在」について経年比較を実施したところ、「自分の別の可能性を見つけられる場」が66.4%(前年比+5.7ポイント)、「現実世界の自分とは違う自分になれる場」が74.6%(前年比+5.0ポイント)と増加しました。さらに「リアル・現実世界の知人・友人とは関係ない人たちと交流する場所」も74.3%(前年比+5.3ポイント)と上昇しており、メタバースで出会った人々との交流や活動が、新しい自分の可能性を発見するきっかけとなっていることが示されています。

メタバースの存在意義に関する調査結果

また、メタバース認知層(興味層・利用層含む)を対象に、SNSとメタバースの存在を比較したところ、両者の役割の違いも明確になりました。SNSは「現実の知人・友人との交流の場(36.1%)」「遠く離れた知人・家族と交流する場(32.7%)」として利用されている一方で、「不安を感じる場(30.9%)」のスコアが比較的高い傾向が見られます。

これに対してメタバースは、「完全な仮想世界であり、現実とは異なる場(59.1%)」、「ゲームやエンターテインメントの延長の場(59.7%)」「現実世界の生活の息抜きに訪れたい場(48.3%)」「自分の作りたいものを表現できる場(45.5%)」として認識されています。SNSと比較すると、生活者にとって「エンタメの延長としての場所や自己表現もできる解放の場所」として機能していることが分かります。

SNSとメタバースの比較調査結果

実用的コミュニケーションの場へと重視点がシフト

メタバース利用層がサービス利用で重視する点について前年と比較したところ、「日本のユーザーが多い」が18.2%(前年比+4.2ポイント)、「趣味として楽しめる」が26.1%(前年比+2.4ポイント)、「サービス内で友達が作りやすい」が12.3%(前年比+2.4ポイント)と伸長しました。

メタバースは当初、様々な国籍のユーザーが集まり、デジタルな身体(スキン)を使用し、共通の動作(エモート)を行うことで「グローバルな友達作りやコミュニケーション(異文化との出会い)」や「仮想現実への冒険」ができる場として注目されていました。しかし現在は、日本国内において「日本語で友達作りができる日常空間」としての実用性が求められ始めていることが明らかになりました。ただし、AIによるリアルタイム翻訳が一般化すれば、メタバース空間でのグローバルコミュニケーションが増加する可能性があり、この傾向は今後変化する可能性があります。

メタバース利用の重視点に関する調査結果

メタバース内の広告体験が現実世界での行動を促進

利用層を対象に、メタバース空間内で企業や商品と接触した後の態度変容を調査したところ、前年比較で「その企業について検索した」が21.5%(前年比+5.9ポイント)、「その企業の名前を知った」が37.5%(前年比+4.1ポイント)とそれぞれ増加しました。メタバースというメディアが企業認知や関心醸成効果を促進するとともに、検索行動などの現実世界におけるアクションにもつながっていることが示されています。

企業接触後の態度変容に関する調査結果

現実世界での消費欲求も刺激、高額課金の傾向も

利用層のメタバースをきっかけとした有料消費行動と年間課金額を調査した結果、「アバター/スキンの改変に関する有料ソフトウェア/プラグインの購入」が11.1%(年間6,521円)、「現実世界での漫画、アニメ、映画などのエンタメ関連の購入」が10.7%(年間12,562円)となり、メタバースをきっかけに現実世界で消費行動を起こしていることが確認されました。

特に注目すべきは、「現実世界での旅行体験への参加」が8.2%(年間33,676円)、「現実世界でのスポーツ観戦」が6.5%(年間24,162円)など、年間課金額がメタバース空間内でのどの有料消費行動よりも高額であった点です。メタバース利用層は、メタバースでの活動をきっかけにメタバース空間内だけでなく、現実世界でも消費行動を行っており、ジャンルによっては現実世界での課金額が非常に高額になることが分かりました。

メタバースをきっかけとした消費行動の調査結果

生成AIを積極的に活用する実践層

メタバース利用層のAIやNFT/暗号資産などの利用実態を調査したところ、「AIを有料で利用する」は11.5%(全体平均4.5%)、「AIについて話すオンラインコミュニティに所属する」は9.7%(全体平均2.4%)、「暗号通貨を投資・投機目的で購入する」は23.3%(全体平均11.8%)と、いずれも全体平均を大きく上回る結果となりました。メタバース利用層は最新技術を単なる知識としてではなく、実益や創作活動のためのツールとして積極的に投資・活用している層であることが明らかになりました。

今後、現実世界での生成AIサービスと同様に、メタバース空間内で使用できる生成AI機能が実装されれば、メタバース利用層はアバター衣装やワールド装飾などの生成・共有・販売など、メタバース内でのクリエイティブ活動や経済活動の発展に大きく貢献する可能性があると考えられます。

AIやNFTの利用実態に関する調査結果

新たに「メタバース6ペルソナマップ」を作成

「メタバース生活者定点調査2025」では、新しい取り組みとしてメタバースサービスのユーザークラスタをまとめたレポート「メタバース6ペルソナマップ」が作成されました。これは各メタバースサービスのユーザー層について、年齢や性別などのデモグラフィック情報、好きなコンテンツなどの趣味、サービス重視点や有料サービスへの支出カテゴリ、サービス利用のきっかけや活動ジャンル、よく遊ぶワールドなどに至るまで詳細に分析を行ったものです。クラスター毎にユーザーの特徴が大きく異なることが確認されています。

メタバース6ペルソナマップの概要

「メタバース6ペルソナマップ(クラスター5:メタバース・リーダーの事例)」では、メタバース空間におけるリーダー的存在の特性が詳細に示されています。

メタバース・リーダーのペルソナマップ

調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査時期:2025年11月
  • 調査地区/対象者:全国の15~69歳の男女
  • 調査機関:株式会社マクロミル
  • 有効回収サンプル数:事前スクリーニング調査(79,416サンプル)、本調査(3,600サンプル)
  • 分析/集計期間:エム・アール・エス広告調査

※集計結果は事前スクリーニング調査結果出現率により算出されています。

<N数について>

  • N=79,416:スクリーニング調査で聴取したサンプル数
  • N=3,600:本調査での有効回答サンプル数
  • N=750:本調査におけるメタバース利用層

出典元:株式会社博報堂DYホールディングス

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