本格焼酎・泡盛の2025年度輸出額が15.6億円に到達、前年比116%増で過去最高単価を記録

全国およそ1,600の酒類製造企業(日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)が所属する日本酒造組合中央会(以下、中央会)は、2025年度(1月~12月)における単式蒸留焼酎(主に本格焼酎・泡盛)の輸出総額が15.6億円(前年比116%)、輸出数量が1,752kL(前年比116%)に達したことを発表しました(2025年財務省貿易統計)。さらに1Lあたりの輸出単価については、単式蒸留焼酎単体での統計を開始した2022年度以降で最高額を記録し、2022年と比較して16.5%の上昇となったということです。中央会が単式蒸留焼酎の輸出実績を公表するのは今回が初めてで、本格焼酎・泡盛の輸出促進活動における重要な取り組みの一つとなっています。

今期については、主要な輸出先における景気後退への懸念や国際物流コストの高止まりといった厳しい状況にありながらも、輸出金額・数量の両面で成長を実現したとのことです。

輸出金額・数量ともに中国、アメリカ、韓国、台湾が上位4位を占める

本格焼酎・泡盛の輸出総額15.6億円は、日本酒の輸出総額459億円のわずか3.4%、輸出数量1,752kLは日本酒の33,549kLの5.2%にとどまっており、本格焼酎・泡盛の海外における認知度の低さが課題となっています。

国別の輸出金額を見ると、中国が4.3億円(前年比103%)で第1位となり、輸出数量も571kL(前年比112%)と伸びを見せ、金額・数量の両面で本格焼酎・泡盛の輸出を牽引する存在となっています。中国国内では蒸留酒である「白酒(バイジュウ)」が広く普及している一方で、よりアルコール度数が低く風味に富んだ本格焼酎・泡盛への関心が徐々に高まっていることが要因として挙げられます。

アメリカについては、輸出金額が4.1億円(前年比135%)で第2位、輸出数量も395kL(前年比119%)と前年に引き続き第2位の地位を維持しました。2022年のニューヨーク州、2023年のカリフォルニア州におけるアルコール飲料管理法の改正により、アルコール度数24%以下の本格焼酎・泡盛がビールやワインと同様の「ソフトリカーライセンス」で取り扱うことが可能となり、「Shochu」と明記した販売が正式に認められたことで、取り扱いしやすい環境が整備され市場拡大へとつながっています。

韓国については、輸出金額が2.3億円(前年比133%)、輸出数量も316kL(前年比138%)と前年から大幅に伸長し、存在感を増しています。韓国ではソジュが有名ですが、観光を通じて本格焼酎・泡盛を知る機会が増えたことや、日本式居酒屋の人気上昇により提供機会が拡大していることが需要増加を後押ししています。

このほか、台湾や香港、東南アジア地域においても安定的な需要が継続しています。また、世界的に日本酒が受け入れられている市場を中心として日本産酒類全体への関心が高まっており、その流れが本格焼酎・泡盛へも波及しているとのことです。

国別 輸出金額/輸出数量


輸出単価が過去最高を達成、国内では蔵元のチャレンジを促す仕組みもスタート

本格焼酎・泡盛の1Lあたり輸出単価は2022年から16.5%上昇し、2025年には890円/Lと過去最高額を記録しました。

海外市場への対応力を向上させる取り組みとして、蔵元では海外市場向けの品質やデザインを考慮した商品開発が進められています。また、日本産酒類の輸出促進を支援する熊本国税局では、2025年度の酒類鑑評会(本格焼酎の品質評価を実施する公的鑑評会)から「チャレンジの部」を新設しました。この部門は、アルコール度数35度以上で一般酒とは異なる特別な製法を用いた本格焼酎を対象とし、香味の複雑性や余韻などを高度な基準で評価するものとなっています。

国別輸出単価

※表中の金額は四捨五入して表示されています。増減率(R7/R6)は四捨五入前の原数値で算出されているため、表示値から再計算した場合と一致しないことがあります。

本格焼酎・泡盛の国際展開を支援する中央会の活動

日本酒造組合中央会では、本格焼酎・泡盛の輸出拡大に向けた取り組みを着実に推進しています。認知度向上については、世界的な酒類見本市への出展や国際空港での國酒キャンペーンを通じて、「日本発のクールな蒸留酒」としてのブランドイメージ確立に尽力しています。また、日本食レストランへの飲み方提案に加えて、バーをターゲットとした蒸留酒専門家の育成と情報発信強化を目的として、これまでに米国で5回、英国で4回、フランスで2回のカクテルコンペティションを開催しています。すべての国では参加者に対して基礎知識やテースティングの機会を提供するなど、専門家層(バーテンダー)の理解促進と訴求の幅を拡大しています。コンペティションの最終審査では、バーテンダー自身が原料・銘柄を選定し、コンセプトを解説しながらカクテルを披露するなど、現地の創造的な発信力を高める取り組みを強化しています。

販路拡大に向けては、日系以外の流通業者開拓支援、海外展示会・商談会への参加促進を通じて、商流の多様化を進めています。さらに米国・中国・台湾・EUに海外サポートデスクを設置し、現地事情に対応したPR活動や相談体制を整備することで輸出基盤の強化を図っています。

今後は、ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」登録を契機として文化的価値の訴求を一層強化するとともに、SNS等デジタル発信を拡充し、中長期的な輸出拡大につなげていく方針だということです。

2026年2月フランス 酒類見本市(WineParis)

世界の蒸留酒が並ぶ Infinit Bar 出展

2026年2月フランス

本格焼酎・泡盛 カクテルコンペティション

中長期的な今後の本格焼酎・泡盛 輸出見通し

本格焼酎・泡盛の輸出は、中長期的に成長が期待される市場環境が整いつつあります。世界的にクラフトスピリッツへの関心が高まる中、麹菌を使用し、単式蒸留機を用いた日本独自の伝統的な製法は、国際市場における差別化要素として強みを発揮しており、令和6年に「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことも、文化的価値訴求の強化につながっています。

日系流通による日本食レストランへの販売拡大のみならず、今後は日系以外の流通を含む本格的な現地市場への浸透が重要となっています。

バーテンダーを中心としたコアファンが育ち始めており、カクテル領域での活用拡大や専門家ネットワークの形成が将来的な需要拡大に寄与することが期待されています。

政府は2030年輸出額50億円の目標を掲げており、中央会としても認知度向上、商流拡大、教育強化、文化的価値訴求を一体で進めることで、安定的かつ持続的な輸出成長を実現していく方針です。市場特性に応じた地域別戦略を継続的に磨き上げることで、国際市場における本格焼酎・泡盛の存在感をさらに高め、中長期的な輸出量の着実な増加につなげていくとしています。

海外トップバーテンダー 国内蔵元への招聘ツアー

泡盛蒸留機の見学

麹造り体験

出典元:日本酒造組合中央会

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