
日本唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務(本社:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)が、全国の総務担当者157名を対象に実施した「企業のファンづくりに関する調査」の結果を公表しました。
この記事の目次
- 1 調査結果のサマリー
- 2 調査結果の詳細
- 2.1 7割以上がファンづくりの必要性を実感、意識と行動に乖離
- 2.2 企業の約半数がファンづくりに未着手、取り組みはまだ過渡期
- 2.3 ファンづくりの目的は「信頼」「採用」「ブランド価値」、中長期視点が中心
- 2.4 顧客・地域・次世代まで、ファンづくりの対象は多層化
- 2.5 情報発信と社会貢献がファンづくりの主軸に
- 2.6 未実施の理由は優先順位とリソース不足
- 2.7 ファンづくり実施企業の約6割が次世代向け施策に着手、検討段階も多い
- 2.8 次世代向けファンづくりの主目的は「将来の採用」
- 2.9 認知度向上や地域との関係強化に一定の効果
- 2.10 次世代施策も最大の壁は人員不足
- 2.11 ファンづくり全体の課題は「リソース不足」と「効果測定」
- 2.12 社内巻き込みは情報共有と参加型が鍵
- 2.13 専任・兼任体制は限定的で、担当者未定の企業が半数近くを占める構図
- 2.14 次世代ほどSNS活用が限定的、チャネル選定は模索の段階か
- 3 総評
- 4 調査概要
- 5 『月刊総務』について
調査結果のサマリー
・企業の約半数がファンづくりに未着手、取り組みはまだ過渡期
・ファンづくりの目的は「信頼」「採用」「ブランド価値」、中長期視点が中心
・顧客・地域・次世代まで、ファンづくりの対象は多層化
・ファンづくり実施企業の約6割が次世代向け施策に着手、検討段階も多い
・情報発信と社会貢献がファンづくりの主軸に
・次世代向けファンづくりの主目的は「将来の採用」
・専任・兼任体制は限定的で、担当者未定の企業が半数近くを占める構図
調査結果の詳細
7割以上がファンづくりの必要性を実感、意識と行動に乖離
企業としてファンづくりへ取り組む必要性を感じているかという質問に対し、「とても感じている」との回答が34.4%、「やや感じている」が38.2%という結果になりました。合計で7割超が必要性を認識している状況が明らかになっています。しかし、実際に取り組んでいる企業はそれより少なく、意識と実行の間に乖離がある実態が浮かび上がっています(n=157)。
企業の約半数がファンづくりに未着手、取り組みはまだ過渡期
企業としてファンづくりへの取り組み状況を質問したところ、「積極的に取り組んでいる」との回答が21.0%、「少し取り組んでいる」が33.8%となりました。その一方で、「全く取り組んでいない」という回答が45.2%に達しています(n=157)。

ファンづくりの目的は「信頼」「採用」「ブランド価値」、中長期視点が中心
企業としてファンづくりへ取り組む目的について質問したところ、「顧客・地域からの信頼向上のため」という回答が66.3%で最多となり、「採用力の向上のため」と「企業ブランド価値の向上のため」がいずれも59.3%で続く結果となりました。短期的な売上拡大よりも、信頼関係や人材確保といった中長期的な価値を重視する傾向が見られます(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

顧客・地域・次世代まで、ファンづくりの対象は多層化
ファンづくりにおいて意識している層を質問したところ、「顧客・取引先」が55.8%で最多となり、「地域住民」が48.8%、「大学生など就職を控えた世代」が46.5%と続きました。将来の人材となる若年層も視野に入れた取り組みが展開されている様子がうかがえます(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

情報発信と社会貢献がファンづくりの主軸に
ファンづくりのために実際に実施している取り組み内容を質問したところ、「SNSや自社サイトなどでの情報発信」が55.8%、「社会貢献・環境活動への参加・発信」が51.2%、「イベント・展示会の開催・出展」が46.5%という結果になりました(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

その他、独自の取り組みとして以下のような事例が挙げられています(一部抜粋)。
・社員食堂の一般開放。
・地元の企業とのコラボを通じて自社ブランドの知名度をアップする。
・自社の駐車場に毎月一回キッチンカーを呼んで地域住民と従業員との交流の場にしている。
・ファンや社員が、「10年後の会社はどうなっていてほしいか」「そのために自分は何を貢献したいか」という手紙や動画を作成し、厳重に封印したタイムカプセルに保管する。カプセルは会社の歴史的な場所に展示し、10年後に開封イベントを大々的に実施。
・通常よりお得感を感じてもらうための、会員制度の活用。
・特に理系女子向け見学会・DEI他社交流勉強会などDEI推進を意識した取り組み。
未実施の理由は優先順位とリソース不足
ファンづくりへ取り組んでいない理由について質問したところ、「優先順位が低い」が38.0%、「リソース(人員・時間)が足りない」が36.6%、「必要性を感じていない」が36.6%という結果になりました。必要性への認識と実務上の制約との間にギャップが生じていることが分かります(n=71/ファンづくりに取り組んでいない企業)。
優先順位が低い:38.0%
リソース(人員・時間)が足りない:36.6%
必要性を感じていない:36.6%
明確な目的や効果が見えにくい:35.2%
経営層の理解が得られない:23.9%
その他:7.0%
ファンづくり実施企業の約6割が次世代向け施策に着手、検討段階も多い
特に次世代を意識した取り組みの実施状況を質問したところ、「積極的に取り組んでいる」が22.1%、「少し取り組んでいる」が37.2%となりました。その一方で、「取り組んでいないが、今後検討したい」も36.0%を占めており、模索段階にある企業が多い状況であることが分かりました(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

次世代向けファンづくりの取り組み内容として、以下のような事例が挙げられています(一部抜粋)。
・地元小学校等からの工場見学を積極的に受け入れ。
・スポーツチームのスポンサー。
・SNSで企業での活動内容の他、従業員の日常や代表取締役をマスコット的存在にして発信し、親しみやすさをアピールしている。
・若者のインフルエンサーとのコラボや「ファン投稿のシェア」。
・学校への出前授業の実施。
・子ども・学生が参加できるワークショップや体験会の開催。
次世代向けファンづくりの取り組みについて、工夫していることや難しさを感じることとして、以下のような声が寄せられています(一部抜粋)。
・子ども記者や学生アンバサダー制度を設け、自分ごと化させる。
・自社や製品のPRにフォーカスしないこと。
・その先も持続させるためのチャネル等の開拓手法。
次世代向けファンづくりの主目的は「将来の採用」
次世代向けファンづくりを実施する目的を質問したところ、「将来的な採用・人材確保につなげるため」が72.5%で最多となりました。続いて「自社や業界への理解を深めてもらうため」が62.7%となり、人材戦略と認知向上の側面が強く現れています(n=51/次世代を意識したファンづくりに取り組んでいる企業)。

認知度向上や地域との関係強化に一定の効果
次世代向けファンづくりの効果について質問したところ、「企業認知度の向上」が74.5%、「地域社会との関係強化」が56.9%という結果になりました。その一方で、採用への直接的な効果は限定的であり、長期的視点での評価が求められることが示されています(n=51/次世代を意識したファンづくりに取り組んでいる企業)。

次世代施策も最大の壁は人員不足
次世代向けファンづくりへ取り組んでいない理由を質問したところ、「リソース(人員・時間)が足りない」が65.7%で最多となりました。目的や効果の不明確さも、着手を妨げる要因になっていることが分かります(n=35/次世代を意識したファンづくりに取り組んでいない企業)。
リソース(人員・時間)が足りない:65.7%
明確な目的や効果が見えにくい:45.7%
優先順位が低い:42.9%
経営層の理解が得られない:11.4%
必要性を感じていない:2.9%
ファンづくり全体の課題は「リソース不足」と「効果測定」
ファンづくりを推進する上での課題について質問したところ、「リソース(人員・時間)が不足している」と「効果を測定しにくい」がいずれも51.2%で最多となりました(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

社内巻き込みは情報共有と参加型が鍵
社内の巻き込みにおいて工夫していることを質問したところ、「社内報や社内SNSなどによる情報発信・共有」が50.0%で最多となりました。社員を初期段階から関与させる工夫も一定数見られます(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

社内の巻き込みについての悩みとして、以下のような声が挙げられています(一部抜粋)。
・新しいことを始めるときの反発が強く、なかなか理解を得られない。
・時間内であっても報酬を望まれて巻き込み切れていない。
・社員自らの働きかけを希望した制度を試作運用したが、実態としてぼんやりとした活動に終始してしまった。
社内の巻き込みで工夫していることとして、以下のような取り組みが挙げられています(一部抜粋)。
・健康に関するニュースペーパーを通行回数の多い社員通用口に掲示することで反応は良い。
・企画・開発・経理など、普段お客様と接しない部署の社員が、営業やカスタマーサポートの業務を体験したり、ファン交流イベントにスタッフとして参加したりする機会を制度化している。
専任・兼任体制は限定的で、担当者未定の企業が半数近くを占める構図
ファンづくりの専任または兼任チームの有無について質問したところ、「専任チームがある」は9.3%にとどまり、「決まった担当者はいない」が48.8%という結果になりました(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

次世代ほどSNS活用が限定的、チャネル選定は模索の段階か
ファンづくりのために各ターゲット層に向けて使用しているSNSについて質問したところ、大学生など就職を控えた世代では「Instagram」と「YouTube」がいずれも31.3%と比較的高く、求職者・転職希望者でも「YouTube」が31.3%、「Instagram」が29.2%となりました。その一方で、小学生など子供世代やアルムナイでは「あてはまるものはない」が6割を超えており、ターゲットによってSNS活用が十分に行き届いていない状況がうかがえます(n=48/SNSや自社サイトなどでの情報発信をしている企業)。

SNSの運用で難しさを感じていることとして、以下のような声が寄せられています(一部抜粋)。
・いかに閲覧数を増やすか。
・掲載する内容の判断。
・どの周知方法を利用してどのように展開していくか。
総評
今回の調査結果からは、企業におけるファンづくりについて、その重要性が広く認識され始めている一方で、実行・定着のフェーズにはまだ至っていないことが明らかになりました。信頼構築や採用力強化、ブランド価値向上といった目的があるものの、リソース不足や効果測定の難しさ、体制未整備が取り組みを限定的なものにしています。
特に次世代向け施策については、将来を見据えた投資として期待される一方で、短期的な成果が見えにくく、優先順位が下がりやすい領域となっています。だからこそ、単発のイベントや施策にとどめず、企業としてどのような関係性を築きたいのかという設計視点が求められるとされています。
総務部門には、ファンづくりを「広報」や「CSR」の延長として捉えるのではなく、経営戦略や人材戦略と接続し、目的や指標を整理する役割が期待されるとのことです。ファンづくりは目的ではなく手段であり、その先にある組織の持続的成長をいかに構想し、経営と接続できるかが、これからの総務に求められる視座となっていくとまとめられています。
株式会社月刊総務 代表取締役社長 豊田 健一 プロフィール
調査概要
調査名称:企業のファンづくりに関する調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法:Webアンケート
調査期間:2025年11月5日〜2025年11月13日
有効回答数:157件
『月刊総務』について
創刊62年の日本で唯一の総務専門誌です。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供しています。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読されています(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)。
出典元:株式会社月刊総務 プレスリリース













