湘南・辻堂発の和食器専門店「うちる」の地域に根ざしたEC運営から世界へ【ECのお仕事×ローカル】
インタビューの概要

本連載「EC×働き方」では、EC業界における多様な働き方をテーマに、現場での取り組みや課題に向き合う声をお届けしています。

第3回となる今回は、「ECのお仕事×ローカル」を切り口に、株式会社ユーチルの相澤さんにインタビュー。同社は、オフィスの移転はありながらも、創業以来ずっと辻堂(神奈川県藤沢市)を拠点にEC事業を展開しています。

本記事では、株式会社ロジレスの森本さんが聞き手となり、ユーチル社のEC事業の特徴や、「ローカル」な拠点だからこその働きやすさなどを伺いました。

多くの人におうちで「陶器市」気分を味わってほしいという想いからの多店舗展開

和食器通販「おうちで楽しむ陶器市 うちる

森本さん:はじめに、ユーチルさんの事業について教えてください。ユーチルさんではどのようなECサイトを運営されているのでしょうか?

相澤さん弊社では3つのECサイトを運営しています。

最初に運営を始めたのが自社ECサイト「うちる」です。ここでは、和食器を中心に、日本国内の窯元や作家さんの器を扱っています。次に、楽天市場に「かくち」という店舗を出店しました。自社ECサイトとは違い作家さんの器は扱っていませんが、日本国内の窯元さんの器のほかに、北欧食器も販売しているのが特徴です。

さらに、2年ほど前から海外向けに「UTSUWABI」というECサイトの運営も始めて、日本国内の窯元さんの器や食器メーカーの商品を中心に海外へ販売しています。

森本さん:すでに自社ECサイトがあるなかで、楽天市場へ出店したのはどういう狙いがありましたか?

相澤さん楽天市場に関しては、「買う人」も「見る人」も自社ECサイトとは層が違うと考えていました。「うちる」では30~50代の女性のお客様が多いのですが、それ以外の方にも弊社が扱う器を見ていただきたいという気持ちがありました。

森本さん:海外向けのECサイトについてはいかがですか?海外からのお問い合わせなどがあったのでしょうか。

相澤さん海外の方も日本の器に興味を持ってくださっているということは、以前から感じていました。「UTSUWABI」を立ち上げる前に、「うちる」をもとにしたミラーサイトで海外向けのテスト販売を行ったこともあります。

森本さん:より多くの人に届けたいという想いから、多店舗展開をされていったんですね。始まりである「うちる」は、どういったコンセプトで立ち上げられたのでしょうか。

相澤さん「うちる」のコンセプトは、「おうちで楽しむ陶器市」です。「陶器市」は、春や秋に器の各産地で開催されるお祭りのようなイベントです。その「陶器市」に行ったような感覚で、おうちで買い物ができるようなECサイトにしたいと考えました。

スタッフの働きやすさを重視したローカル拠点とシフト制が、会社にもメリットをもたらす

森本さん:今回、「ECのお仕事×ローカル」というテーマがあります。

ユーチルさんは辻堂(神奈川県藤沢市)で事業を始めて、途中でオフィスは移転されていますが、場所は辻堂から変わっていないんですよね。それは何か理由があったんですか?

相澤さんスタッフの多くが、このエリアで働くことを前提にしていたことが大きいですね。意図したわけではないのですが、弊社には辻堂に住んでいる主婦や子育て中のスタッフが多く、「家の近くで働きたい」という希望を持つスタッフが大半です。

また、食器の検品や出荷は、普通の商品とは違い、専門的な知識が必要です。弊社としても、そういった特徴を理解している、慣れているスタッフにそのまま働いてもらいたいと考えていました。

森本さん:オフィス兼倉庫として、検品や出荷も同じ場所で行われているんですよね。それは何名ぐらいの体制で運営されているんですか?

相澤さん出荷や検品、お客様対応を行うチームは、私を含めて12名ほどになります。シフト制で、常時稼働しているのが4~6名です。他に、撮影やページ制作を行うチームもあり、こちらは5名の体制となっています。

森本さん:子育て中のスタッフさんが多いということは、お子さんの体調不良などで急な休みも発生しやすいでしょうし、システムを組むのも大変そうですね。

相澤さん大変さはありますが、お子さんの体調不良はもちろん、学校行事なども大事だと考えているので、できる限りお休みを取ってもらうようにしています。

同時に、業務が止まらないよう、シフトを組むときはリスクヘッジを意識しています。特に、この人しかできないという業務を担当しているスタッフが4名いるので、4名のうち2名は必ず毎日いるシフトにして、もう1人が急に休んでも対応できるようにしています。

森本さん:そういう点で、「職住近接」という環境はメリットが大きいですよね。万が一学校などから呼び出しがあってもすぐに向かうことができますし。

相澤さんそうですね。スタッフの半分以上は、自転車で通勤できる距離に住んでいます。電車が止まっても自転車で出社できるスタッフが多いので、業務が完全にストップすることを避けることができ、会社としてのメリットもあります。

森本さん:辻堂というエリアならではのエピソードはあったりしますか?

相澤さん弊社代表の竹澤はサーファーなので、朝サーフィンをしてから出社することがあります。スタッフ間でも「今日は海に行ってるのかな」なんて話をしたり(笑)。

システム導入で実現した、多店舗の在庫管理や倉庫間の在庫移動

森本さん:ユーチルさんには弊社の物流システム「LOGILESS(ロジレス)」をご利用いただいていますが、導入を考えられたのはどのタイミングだったのでしょうか?

相澤さん楽天市場へ出店する話が出たタイミングだったと思います。それまでは在庫管理に自社ECサイトのカートシステムの機能を使っていたのですが、多店舗展開での在庫管理や、親会社の倉庫との在庫連携となると難しかったので、システムを導入することになりました。

森本さん:現在、検品や出荷はどのような業務フローで行われていますか?

相澤さん朝一番にLOGILESSからピッキングリストや出荷指示書、送り状などを発行して、午前中は出荷作業を行います。日によって出荷量は異なりますが、少ないときで60件ぐらい、多いときで130件ぐらいです。

出荷量が少ないときはお昼頃には出荷作業が終わりますし、多いときは15時ぐらいまで作業を続けています。その後、入荷検品作業に移ります。

基本的に自社のオフィス兼倉庫からの出荷ですが、一部は楽天の倉庫(RSL)からも発送しています。主に北欧食器などの売れ筋商品を楽天の倉庫に入れている形です。

また、東海地方にも別に倉庫があり、そちらで検品・保管している商品もあります。この倉庫にしかない商品に対して注文が入ると、LOGILESS上で「受注伝票が引当待ちステータス」の状態になり、在庫を取り寄せることになります。

森本さん:LOGILESSの倉庫間移動機能が役立っているようですね。

相澤さんはい、本当に助かっています。この機能がなかったら今のような在庫管理はできないと思います。

私はユーチルに勤めて6年ほどになりますが、途中、産休・育休で1年半ほどお休みした時期があります。当時ちょうどLOGILESS導入を進めていて、その設定をしてから産休・育休に入ったのですが、戻ってきたらかなり機能が進化していたんです。特に、倉庫間の在庫移動により「自社の倉庫にない商品を売る」という運用ができる点に驚きましたね。

森本さん:そのほかに、物流まわりの業務に関して、御社ならではの特徴やLOGILESSの活用方法はありますか?

相澤さん主に作家さんの作品については、手作りのために形や色に個体差があり、非常にデリケートな検品となります。そのため、外部の倉庫に任せることはせず、辻堂のオフィス兼倉庫で入荷検品を行っています。

個体差があまりにも大きく、お客様が注文したものと違う商品だと認識するおそれのある場合は、型番を変えて管理を分け、ECサイト上ではプルダウンで選べる形にしています。

森本さん:そのあたりは、入荷検品で把握した個体差を、ECサイトの撮影やページ制作のチームに連携や出荷検品時に確認するなど、入荷から出荷までの業務を社内メンバーの方で行っているからこそ、スムーズに連携できるのが強みですね。

最後に、ユーチル様の今後の展望や課題について教えてください。

相澤さん海外サイト「UTSUWABI」をもう少し強化したいですね。現在は国内向けの商品をそのまま販売していますが、海外のお客様に向けた商品開拓や、売上の拡大を目指していきたいと思っています。

和食器通販「おうちで楽しむ陶器市 うちる」
https://uchill.jp/

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