ビジネスパーソンの生成AI活用実態調査、20〜30代の約半数が週3回以上利用で著作権懸念も明らかに

アドビ株式会社(本社:東京都品川区、社長:マニンダー ソーニー)は2025年12月23日、国内のビジネスパーソン1,000名を対象とした「生成AIの業務活用実態調査」の結果を公表しました。

今回の調査では、利用頻度に違いはあるものの、回答者全員が何らかの形で生成AIを業務に取り入れていることが判明しました。画像生成AIに関しては約60%の人が業務で利用しており、社内業務の効率向上やアイデア創出など、創造性と生産性の両面を支えるツールとして浸透しつつある状況が確認されました。その一方で、著作権や情報管理に対する不安も根強く残っており、安全に使用できる環境づくりが求められています。加えて、生成AIで制作したコンテンツの来歴情報の公開に興味を持つビジネスパーソンが多数を占め、信頼性や透明性を求める意識の広がりが浮き彫りになりました。

20〜30代を中心に生成AIの活用が日常業務に定着

今回の調査において、生成AIを「業務で活用していない」と答えた回答者は全体でゼロという結果になりました。特に20代から30代では約半数が「ほぼ毎日」もしくは「週3〜4回」使用していると答えており、若い世代を中心として生成AIが日常的な業務に深く根付いていることが明らかとなりました。主な使用目的は業務の効率化や時間の削減であり、多様な業務場面で幅広く活用されている実態が見えてきました。

画像生成AIは約6割が社内業務で活用中

画像生成AIの使用頻度については、「ほぼ毎日」「週1〜2回以上」を合計すると約6割に到達し、日常的な業務の中で実用的に使われていることがわかりました。主な活用方法としては「アイデア出し(40.7%)」「社内向け資料の挿絵・デザイン(38.0%)」といった回答が多く、社内での業務効率化と表現力の向上を目的とした利用が中心となっています。一方、社外向け資料での使用は約2割程度にとどまっている状況です。

画像生成AIを活用する業務
図2:画像生成AIを活用する業務

画像生成AI利用の主な懸念は著作権侵害リスクと情報漏洩

画像生成AIを活用している人々が感じている懸念事項として、「著作権侵害リスク(30.9%)」「肖像権・プライバシー侵害(30.4%)」「情報漏洩リスク(27.7%)」などが挙げられました。さらに、約7割の回答者が「著作権侵害に対するリスクがなくなれば、業務で画像生成AIを使用する機会や用途が現在よりも増加すると思う」と回答しており、安全に利用できる環境整備の必要性が強く示唆される結果となりました。また、画像生成AIを使用していない層の約4割も「著作権侵害に対するリスクがなければ使いたい」と回答しており、潜在的な利用意向が存在することも明らかになりました。

画像生成AIを利用する上での懸念点
図3:画像生成AIを利用する上での懸念点
著作権リスクがなければ業務での画像生成AI利用は増えると思う
図4:著作権リスクがなければ業務での画像生成AI利用は増えると思う

生成AIコンテンツの来歴情報開示に約6割が関心

生成AIで制作したコンテンツに関して、制作経緯や利用したAIツールなどの来歴情報の開示が必要だと回答した人は約6割に達しました。その主な理由としては「信頼性と透明性の確保(54.3%)」「著作権・知的財産保護(54.8%)」「偽情報・フェイクコンテンツ対策(45.7%)」が挙げられ、ビジネスパーソンの間で生成AIを使用する際に信頼性と透明性を重視する意識が高まっていることがうかがえます。

生成AIで作成したコンテンツについて来歴情報を開示する必要がある理由
図5:生成AIで作成したコンテンツについて来歴情報を開示する必要がある理由

アドビによる安全性・透明性確保への取り組み

今回の調査結果から、画像生成AIは既に多くの職場で活用が進展している一方で、著作権や情報漏洩リスクに対する懸念も依然として存在することが明らかとなりました。同社では、AI倫理原則に基づき責任を持って生成AIツールの開発に取り組んでいます。

Adobe Fireflyのトレーニングには、Adobe Stockをはじめとする適切な使用許諾を取得したコンテンツおよび著作権の保護期間が終了したパブリックドメイン素材のみを使用しており、顧客の個人コンテンツをトレーニングデータとして利用することはないとのことです。また、Adobe Fireflyは著作権や知的財産権を侵害するコンテンツを生成しないよう開発されており、安心して商用利用できるように設計されているとしています。

さらに同社では、デジタルコンテンツに「成分表示ラベル」のような改ざん防止メタデータを付与する「コンテンツクレデンシャル」を製品に実装し、コンテンツの出所や制作過程の可視化を推進しています。また、暗号技術を活用した来歴証明の標準化を目指す「コンテンツ認証イニシアチブ」を設立し、現在では5,000を超える企業や組織に支持されています。同社は今後も信頼性と透明性の高いデジタルエコシステムの実現に向けて取り組んでいく方針です。

調査概要

調査方法:インターネット調査

調査対象:日本全国の20〜60代のビジネスパーソン男女1,000名

調査期間:2025年10月29日〜2025年10月31日

※構成比(%)は小数点第二位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

出典元:アドビ株式会社 プレスリリース

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ