
株式会社WonderPaletteは、2025年12月22日より、デジタル広告運用のすべてのプロセスを複数のAIが自律的に連携して完結させるマーケティングAIエージェント「AdLemon(アドレモン)」の事前登録およびβ版の提供を開始したことを発表しました。
この記事の目次
自律型マーケティングAIエージェントの概要
従来の広告運用では、人間が管理画面に常駐し、膨大な手作業による数値確認、原因特定、改善対応を実施する「労働集約型」の手法が主流となっていました。今回発表された自律型マーケティングAIエージェントは、こうした構造を根本的に変革するものとなっています。
完全自律型ワークフロー
戦略の策定から入札の調整、クリエイティブの差し替えに至るまで、AIエージェントが人間に代わってすべての実務プロセスを自律的に完結させます。
担当者の役割は意思決定に集中
担当者は、AIが提示する複数の戦略案から「GO」の判断や修正指示を出すのみとなります。現場の作業者ではなく、意思決定者としての役割に集中することが可能です。
リアルタイムでのPDCA実行
24時間365日体制で、1分1秒単位でマーケットの変化を捉え、即座に改善アクションを実行します。人間には不可能な速度での「高速なPDCA」を実現します。

開発の時代背景
これまでのマーケティングAI活用は、キャッチコピーの案出しや画像の素案作成といった「局所的な作業(点)」にとどまっていました。しかし、2025年に入ってから、以下の3つの技術革新により、マーケティングの全工程を「線」で繋ぐ自律運用が実現可能になったとのことです。
推論能力の飛躍的向上
AIが「なぜこの数値が動いたのか」を自律的に考察し、次の施策を立案できるようになりました。
実行力の獲得
「ブラウザエージェント」技術の登場により、APIの有無を問わず、AIが人間と同じようにブラウザ上で広告管理画面を直接操作することが可能になりました。
制作の完全自動化
最新の「Nano Banana Pro」「GPT Image 1 Model」などにより、日本語テキストを含めた4K品質の広告クリエイティブをわずか30秒で生成可能になりました。
自律型マーケティングAIエージェントに関連する技術の変遷
自律型マーケティングAIエージェントの実現を支える技術は、以下のように進化してきました。
2022年11月30日にChatGPT(GPT-3.5)が公開され、2024年9月12日には推論特化型モデル「OpenAI o1」がリリースされました。同年10月22日にはAnthropic「Computer Use(ブラウザ操作)」が発表され、2025年11月20日には最新画像生成AI「Nano Banana Pro」がリリース、同年12月16日には画像生成モデル機能を搭載した「CPT Images」がリリースされています。
現在の広告運用が抱える課題
従来の広告運用は、実務を人間が担う以上、避けることのできない「物理的な限界」が存在しています。
「情報の停滞」が招くPDCAの限界
人同士の伝達ラグ、深夜・休日の監視空白、制作に伴う物理的な作業時間がボトルネックとなり、検証の回数と速度を阻害しています。
「細分化」による費用対効果のジレンマ
市区町村単位のローカルマーケティング、多チャネル同時運用は管理工数が膨大です。「手間はかかるが費用対効果が見合わない」という構造的課題が発生しています。
「属人化」による成果の不安定さ
運用の成果が個人のスキルに依存しており、担当者の離職によってCPAが急騰するなど、ノウハウが組織に残らないリスクが常態化しています。
「AdLemon」が提供する価値
「AdLemon」は、広告運用のすべてのプロセスを複数のAIが自律的に連携して完結するAIエージェントです。属人性を排除し、従来では実現できなかった速度で高速にPDCAを回すことで、上記の課題を解消し、広告効果の最大化と安定化を実現するとしています。
事前登録とβ版提供の詳細について
2026年春の正式リリースに向けて実現を目指す「1.CPAの改善」、「2.PDCAサイクルの高速化」、「3.運用コストの削減」のうち、「1.CPAの改善」の定量データ検証を目的として、β版の提供を20社限定で開始されます。
参画する企業には、先行導入メリットとして「2.PDCAサイクルの高速化」、「3.運用コストの削減」の完全保証として以下の条件が保証されます。
募集枠:20社
運用手数料:現在支払っている代理店手数料率の「半額」を保証
特典の継続:本契約を継続する限り、将来的にプロダクトを正規版としてリリースされた後も、β版利用時の特別料率を永続的に維持
また、このβ版の提供においては、同社が「AdLemon」を内部ツールとして活用し、専門チームがその挙動を監督しながら運用を代行します。これにより、AIの圧倒的スピードと、人間の確かな判断を両立した次世代の運用品質を、代理店手数料の半額で体験できるとしています。

サービス開始の背景
代表の尾上氏は、会社員時代の1社目において急成長スタートアップのマーケティング現場を経験されました。月間1億円を超える広告予算、毎月2倍に拡大する過酷なフェーズの中で専任のマーケターはわずか1〜2名。膨大な仮説検証、シナリオ設定、分析作業を1人が行い、クリエイティブ制作は外部のクラウドワーカーへ依頼するという、極めて属人的かつ不安定な構造だったといいます。
週に平均20件以上のクリエイティブテストを行っていましたが、その後キーマンであるマーケティング担当者の離職によってCPA(顧客獲得単価)が30%以上高騰するという「属人化の代償」を身をもって体感されたそうです。
その後、スタートアップのCMO(最高マーケティング責任者)としてマーケティング全体を統括する立場となり、さらなる困難に直面されました。エリアごとの細かなクリエイティブ調整や数値の可視化といった「比較的単純だが膨大な工数を要するタスク」に忙殺され、ファネルの異常値を特定し、全体最適化に向けた本質的な意思決定を行うための時間が奪われていく毎日だったといいます。
その後、現在の株式会社WonderPaletteを創業し、生成AIコンサルティングおよび開発を手掛ける中で、2025年に入り、AIエージェント技術は「自律的にタスクを遂行する」フェーズへと劇的な進化を遂げました。さらに、最新の画像生成AI「Nano Banana Pro」を筆頭とする技術革新により、かつて人間が苦労していた高品質なクリエイティブ制作や、緻密な運用調整の自動化が現実のものとなる技術基盤が整ったと感じ、β版の開発に至ったとのことです。
「AdLemon」は、単なる効率化ツールではありません。データの蓄積と複数業種での検証をさらに加速させ、企業のマーケティング業務における「なくてはならない、最も信頼できる選択肢」となることを目指し、改善を続けていくとしています。
今後の展開について
同社は今後、以下の機能開発を予定しています。
1. SNS・WEB広告の運用AIエージェントの本番リリース
現在のβ版を基盤に、戦略策定からクリエイティブ生成、入札調整までを完全自律化したエージェント機能を正式公開します。
2. 自律型ヒートマップ・LPO機能の開発
ユーザーの離脱ポイントをAIが自律的に解析し、見出しやボタン配置を自動でABテストし続けることで、「接客(コンバージョン)」を最大化します。
3. CRMエージェント(LINE生成AI Chatbot等)の開発
獲得したユーザーへの「追客(CRM)」をAIが担い、個々の属性に合わせたパーソナライズメッセージを自律送信することでLTVを最大化します。
4. SNS運用のAIエージェント機能の開発
5. WebメディアのAIエージェント機能の開発
D2C、EC、ゲーム、メディアなどあらゆる業種の広告(集客)→LP(接客)→CRM(追客)までをAIエージェントが「線」で繋ぎ、全体最適に向けた改善を行う機能を強化していくとしています。
株式会社WonderPaletteについて
社名:株式会社WonderPalette
所在地:〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1−8−1 茅場町一丁目平和 insビル7階
代表者:代表取締役 尾上 寿明
事業内容:マーケティングAIエージェント「AdLemon(アドレモン)」の開発・運用、マーケティング支援
出典元:株式会社WonderPalette プレスリリース












