Google「AIによる概要」の表示傾向が明らかに、Ahrefsが1億4,600万件の検索結果を分析

SEO分析ツールを提供するAhrefsは、1億4,600万件にのぼる検索結果ページの分析を実施し、Googleの「AIによる概要(AI Overviews)」がどのような検索クエリで表示される傾向にあるのかを解明しました。

調査で判明した主な結果

全検索の約5回に1回でAIによる概要が表示

今回の分析により、AIによる概要は全検索結果の20.5%において表示されていることが分かったということです。これは約5回に1回の割合で、Googleが生成したAIコンテンツがユーザーの目に触れていることを示しています。

YMYLクエリでも32.2%でAIが表示される

YMYLクエリでのAI表示率

慎重な判断が必要とされるお金や健康に関わるYMYLのカテゴリーにおいても、32.3%でAIによる概要が表示

お金や健康といった重要な判断を伴う情報クエリであるYMYL(Your Money or Your Life)においては、32.3%でAIによる概要が表示される結果となっています。さらに特筆すべき点として、医療系のYMYLクエリにおいては44.1%でAIによる概要が表示されていました。この数値は全体の平均値の2倍以上であり、誤った情報を生成するハルシネーションのリスクが存在するにもかかわらず、Googleが医療に関する重要情報をAIに任せている現状が浮き彫りになったとしています。

理由を問うクエリの60%近くでAIが回答を提供

クエリカテゴリー別表示率

クエリをカテゴリー別に分類して表示率を分析

Ahrefsの内部クエリ分類システムによる分析では、「理由」を尋ねるクエリにおいて59.8%という最高の表示率が記録されました。また、「はい・いいえ」で回答可能なブール型クエリでは57.4%、定義を求めるクエリでは47.3%と、いずれも高い数値を示しています。

これらの結果は、ユーザーが「なぜこうなっているのか」「これはどういう意味か」といった説明を求める際に、Googleが従来型の検索結果よりもAIによる直接的な回答を優先的に表示する傾向にあることを意味しています。教育系コンテンツや解説記事を運営するウェブサイトにとっては、この変化に適応した戦略の構築が求められるということです。

検索クエリが長くなるほどAI表示率が上昇

検索クエリの語数とAIによる概要の表示率の間には、はっきりとした相関関係が確認されました。1語のみのクエリでは9.5%の表示率に留まる一方で、7語以上の長いクエリになると46.4%まで急上昇します。また、質問形式のクエリでは57.9%でAIによる概要が表示され、非質問形式の15.5%を大幅に上回る結果となりました。

この傾向から、ユーザーがより具体的で複雑な質問を投げかけるほど、GoogleがAIに回答を委ねる傾向が強まることが読み取れます。ロングテールキーワードを対象とした詳細なコンテンツ戦略を展開している企業にとって、AIとの競合は避けられない状況になっていると言えます。

業界によって大きく異なるAI表示率

AIによる概要の影響を大きく受ける業界と、ほとんど影響を受けない業界がはっきりと分かれる結果となりました。科学分野(43.6%)、医療・健康分野(43.0%)、ペット・動物分野(36.8%)といった情報提供を主とする業界では表示率が高い一方、ショッピング(3.2%)、不動産(5.8%)、スポーツ(14.8%)、ニュース(15.1%)といった取引や最新性が重視される業界では低い数値となっています。

この結果は、Googleが商業的意図の強い検索や、最新情報が求められる検索においては、AIによる概要ではなく従来の検索結果を優先的に表示していることを示唆しています。ECサイトやニュースメディアにとっては、比較的影響が限定的であると考えられます。

情報収集型クエリに集中

AIによる概要が表示されるキーワードの99.9%は、「情報収集型(Informational)」および「Knowクエリ」に分類されています。対照的に、案内型クエリではわずか0.9%、商用型では4.3%、取引型では2.1%と非常に低い表示率にとどまっています。

この明確な偏りは、GoogleがAIを「情報を提供する」用途に特化させており、ナビゲーションや購入といった他の検索意図に対しては慎重なアプローチを取っていることを示しています。情報提供型のコンテンツマーケティングを実施している企業は、AIとの共存あるいは差別化の戦略を検討する必要があります。

調査結果のまとめ

今回の大規模調査により、GoogleのAIによる概要は情報収集型のクエリ、特に医療・科学・理由を問う分野において積極的に展開されている一方、ショッピングやローカル検索ではほとんど表示されないことが明確になりました。

また、AIによる概要は頻繁に変化するものの、そのコアとなるメッセージには一貫性があり、従来のSEOとは異なる「トピック全体における権威性の構築」が重要になることが示されています。

企業は自社のビジネス領域がAIによる概要からどの程度の影響を受けるかを把握し、それに応じた対応戦略を構築することが必要となるということです。

調査の概要

主要調査内容:クエリ特性の詳細分析

分析対象データ:1億4,600万件のSERPデータ

分析項目数:86種類のキーワード特性(YMYL、CPC、クエリの長さなど)

調査時期:2025年9月時点のデスクトップSERP

補足調査内容:コンテンツ変動の追跡分析

追跡期間:1ヶ月間

調査実施者:Ahrefsコンテンツマーケティング・ディレクター ライアン・ロー氏

Ahrefs(エイチレフス)について

Ahrefs

独自クローラーと高精度なデータ技術で、データドリブンなマーケティング戦略を支援するAhrefs(エイチレフス)

Ahrefs Pte. Ltd.が提供する「Ahrefs(エイチレフス)」は、SEO分析を中心に、AI可視化、競合分析、コンテンツ作成支援、ウェブ分析、SNS投稿機能など、マーケターに必要な機能を包括的に提供するマーケティング・オールインワンツールです。世界中で60万人以上のマーケターに利用されています。大規模なウェブクローリングインフラストラクチャーにより、毎日80億以上のページをクロールし、Googleに次ぐ規模のインデックスを構築しているとのことです。

出典元:Ahrefs pte. ltd. プレスリリース

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