GA4を使って売上を増やしたいなら、まずパソコンを閉じましょう

こんにちは、Webアナリストの連と申します。(連と書いてムラジと読みます)

皆さんはご自身のオンラインショップの売上アップのために、うまくGA4を活用できていますか?

私はWebアナリスト業務の傍らでWebマーケティングスクールの講師をしておりまして、2025年10月現在、9年の間に約350人の生徒さんに対して、マンツーマンでマーケティングスキル向上のサポートをしてきました。

このスクールの生徒さんとお話すると、約9割の方から「どうGA4を使えば売上が増えるのかわからない」というご意見を頂きます。この中には、GA4の画面を難なく操作できる方もたくさんいらっしゃいますし、項目を指定すれば探索レポートの作成ができる方もいらっしゃいます。

実は、こういった方は『GA4を使う前の頭の準備運動』が十分できていない方が多いです。

今回は上述のような「GA4をどう使えばいいかわからない」というお悩みを持つ方向けに、GA4を使う前の準備方法について解説していきます。

本記事ではGA4の設定の仕方やレポートの作成方法についてはあまり触れませんが、この記事を読んでいただいた後にご自身でGA4を操作していただくと、売上アップのヒントを見つけることができるようになると思います。

この記事の執筆者

連 久実子

広告代理店を経て、メーカーEC運用部門にてサイト構築運用・カスタマーオペレーション・ロジスティクスと広く経験した後、ブランディング及び販促戦略企画に従事。現在はフリーランスのWebアナリストとして、事業会社のWebマーケティング支援やWebマーケティングスクールの講師を務める。

https://shuhu-marketing.com

GA4を使う前の頭の準備運動方法

『GA4を使う前の準備』のほとんどはパソコンを使いません。(データを確認するときだけ少し使います)

むしろ顧客対応やWebページの制作とは異なる部分の脳みそを使うので、いつもパソコンで作業されている場所とは違う、気分転換できる場所で行っていただくとよいでしょう。

ちなみに私は、散歩しながら思いついたことを音声メモに残すことが多いです。ウォーキングは脳を活性化させる効果が期待できるそうで、座っているより考えがまとまりやすくなる傾向にあるため、皆さんにもぜひおすすめします。

考えが煮詰まったときこんな風景を見ると、美しさに胸を打たれると共に今まで思いつかなかった新しい視点が見つかることが多いです

最重要目標を決めましょう

GA4を使う前に、まずは最重要目標を1つ決めましょう。

なぜ目標を決めるかと言うと、アクセスが増えたからといって必ずしも購入数が増えるとは言えないからです。購入する確率の高いお客様がどういった特徴なのか?どこからオンラインショップに来ているかを見極めるために、必ず目標を決めましょう。

オンラインショップであれば『購入』が最重要目標になるかと思います。これをGA4で『キーイベント』として設定しましょう。

『キーイベント』の設定は、GA4の左メニューにある管理(歯車マーク)をクリックして プロパティ設定>データの表示>イベント と進んだ先の下記のような画面で設定ができます。

イベント名『purchase』の右側(赤枠部分)にプロパティ名が記載されていれば、正しくキーイベントが設定されています。(キーイベントとして『purchase』以外が表示されている場合は、イベント名の頭についている星マークをクリックし、キーイベントの設定を解除しておきましょう)

一方『purchase』の右側(赤枠部分)が「ストリーム データが検出されませんでした」という表記になっている場合は、画面上部の「イベントを作成」をクリックして、次の画面のような設定をしましょう。

① 「purchase」と入力
② 「コード無しで作成」を選択
③ 初期設定のまま変更なし(プロパティ名が表示されていると思います)
④ 「page_view」を選択
⑤ 注文完了ページのURLを入力(注文ごとに異なる文字列がURLに付随する場合は付随した文字列部分は除くURLを入力しましょう)

ここまで設定できたら、右上の「作成」ボタンを押すことで設定が完了します。

価格の異なる複数商品を取り扱うオンラインショップでは『eコマースイベント』という設定をすることで、さらに売上をアップさせるための詳細な分析ができるようになります。ただし『eコマースイベント』の設定は複雑なため、この設定を行う場合はGA4の専門家に依頼しましょう。

ボトルネックを見極めましょう

オンラインショップの売上アップの方法を大別すると、『アクセス数を増やす』と『購入率を上げる』の2つに分類できます。

上記を念頭におきながら、次は上記の2つの取り組みのうち、どちらを優先的に取り組むかを見極めましょう。

理想はどちらも同時に取り組むことですが、時間も人手も限られているため、取り組みにかかる時間が同じであればよりリターンの大きいほうから取り組むことが大事です。

見極め方は、商圏の広さや直近の目標売上件数・平均購入単価などによりけりではあるのですが、目安としては1か月間の『アクティブユーザー数』が3,000ユーザー未満の場合は、アクセスを増やす取り組みを優先したほうが良いとお伝えしています。

というのも、オンラインショップの購入率は平均で1%〜3%であることが多く、いきなり10%まで上がるといったような大きな変化は望めないからです。

一方で、アクセスは1,000ユーザーから3,000ユーザー、10,000ユーザーと増やすことも実現可能です。(すごく頑張っていただく必要はありますが⋯)

仮に、安定して1か月間に3,000ユーザーにアクセスしてもらえれば購入率1%で月30件、10,000ユーザーにアクセスしてもらえれば購入率1%で月100件と、大きな売上アップを見込めます。

『アクティブユーザー数』はGA4のホーム画面で確認できますので、1か月間でどれくらいのお客様が来店しているかを確認した上で、どちらの取り組みを優先すべきかを決めてみてください。

お客様の特徴について調べてみましょう

次に、お客様の特徴について調べましょう。

「いやいや、お問い合わせや注文の際にお客様とやり取りしているから、調べなくてもお客様の特徴はわかっているよ」と思われるかも知れませんが、肌感覚だけだと印象に残りやすいお客様の特徴に引っ張られてしまいます

(私がオンラインショップの運用会社に勤務していたときは、商品情報の説明に関する改善点を毎日問い合わせからお送りいただく方がいらっしゃいまして、その方の印象=お客様全体の印象と捉えてしまいがちでした⋯)

お客様の中には、購入を検討したものの不明点をお店に問い合わせるのが面倒で買わなかったという方もいらっしゃいます。こういった方々に購入していただくためにも、GA4を使って定量的な分析を行うことをおすすめします。

まずは、お客様のどんな特徴を知りたいかを考えてリストアップしましょう。例えば私なら、アクセスが多かったり購入率の高い『性別』『年齢』『所在地』を分析することが多いです。

これらは、GA4の左メニューにあるレポートをクリックして ユーザー>ユーザー属性>ユーザー属性の詳細 と進んだ先の画面で、赤枠部分のプルダウンを変更することで確認ができます。

お客様の年齢や性別・所在地がわかると、広告配信の際の設定条件を決めやすいですし、どういった人かを想像しやすくなるので、お客様を想像しながら特集ページを作成したりメルマガを書いたりしやすくなります。

プルダウンの項目を変更することで『性別』『年齢』別のデータが表示されます

他にも、アクセスが多い時間や曜日などを確認することもありますが、少し設定が難しいため、確認したい場合はGA4の専門家に依頼しましょう。

お客様はどのように店内を見て回っているか調べてみましょう

次に、お客様のオンラインショップ内での行動について調べましょう。今回も最初に行うのは、どんな行動を知りたいかを、あなたの頭で考えることから始めましょう

SNSや検索エンジンなど『どういった手段で来店しているか』や『どのページをきっかけに来店したか』は、難しい設定をしなくても確認できます。

『どういった手段で来店しているか』は、GA4の左メニューにあるレポートをクリックして ライフサイクル>集客>トラフィック獲得 と進んだ先の画面で、赤枠部分のプルダウンでセッションの参照元/メディアを選択することで確認ができます。

来店手段が多様化している現状では、各種SNSを運用したりSEOを行ったりGoogle Merchant CenterやLINE Merchant Systemに商品情報を登録したりなど、来店の可能性があるすべての手段に尽力するのが理想ですが、やはり時間も人手も限られています。

お客様の利用が多い来店手段がわかると、どの手段から優先的に尽力すべきかの判断がしやすくなります。

『どのページをきっかけに来店したか』は、GA4の左メニューにあるレポートをクリックして ライフサイクル>エンゲージメント>ランディングページ と進んだ先の画面で、赤枠部分のプルダウンでセッションの参照元/メディアを選択することで確認ができます。

来店したきっかけとなったページで扱われている内容は、お客様が「このお店良さそう!」と感じられたということになりますので、更に詳しい情報を掲載したり似た情報をサイト内に増やすことで、アクセス増加を期待することができます。

他にも、『何回目の来店で購入したか』や『購入しなかったお客様がつまづいているページ』なども、(少し設定が難しいですが)確認することができます。

調べた結果になった理由を考えてみましょう

ここまで分析できたらもうパソコンは使いません。あなたの想像力が一番強力なツールになります。

次に行うのは、分析した結果がなぜそうなったかを想像することです。

例えばアクセスが多い時間で20〜21時の来店が多かったとしましょう。なぜ20〜21時の来店が多いのかを想像します。ご自身や近しい人の生活スタイルを思い浮かべてみてください。

「会社から帰宅してまったりしながらオンラインショッピングしているのかな?」などのように、お客様が20〜21時に来店する理由が想像できると思います。

この想像が正解か不正解かは気にしなくてよいので、考えられる限りたくさんの理由を挙げていきましょう

理由に基づいて購入者を増やすための取り組みを考えましょう

最後に、先に想像した分析した結果の理由に基づいて、必要な取り組みを考えましょう。

皆さんは普段誰かに何かを伝えたいと思うとき、その人の特徴を思い浮かべながら「こんな風に伝えると相手に伝わりやすいかな」と考えて伝えられることが多々あるかと思います。取り組みを考える際も、事前に調べたお客様の特徴を思い浮かべながら考えると、効果的な取り組みを思いつきやすいです。

先に挙げた例ですと、お客様は自宅でまったりした時間を楽しむために20〜21時に来店しているという来店理由を考えました。この理由に合わせ、ゆったりした時間を楽しむためにおすすめの音楽の紹介と共にリラックスできるルームウェアの紹介をLINEで通知すると、更にアクセスが増えるかも知れません。

もし思いつかない場合は近所のお店に行って、お店の方がどう接客しているか観察してみましょう。そして、「いいな」と思う接客の仕方があれば、それをオンラインショップで再現するにはどうすればいいかを考えてみましょう。競合さんのオンラインショップを、お客様になったつもりで見てみるのもおすすめです。

それでもなかなか取り組みを思いつかない場合は、生成AIにおすすめの取り組みを聞いてみましょう。先に分析したお客様の特徴や行動の情報量が多い程、効果的な取り組み案を回答してくれます。

ChatGPTですと上記のような感じで回答してくれます

もっとも、生成AIで回答されるような取り組みは競合ショップも行っている可能性が高いため、あなたのオンラインショップでできておらず実現のハードルがそれ程高くない取り組みは実行しつつ、最後はご自身で取り組みを考えていただくとよいです。

まとめ

このように、GA4はオンラインショップを運営する上での詳細な道順を示した地図にはなりませんが、迷わず方向を示してくれるコンパスの役割をしてくれます。

そして、GA4をより効果的に使いこなすには『あなたが考える工程』が必ず必要であることを覚えておいていただくと、GA4はあなたのオンラインショップの売上アップを強力にサポートしてくれる存在となり得るでしょう。

https://shuhu-marketing.com

あわせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ