ヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:阿波 誠一)は、福島県郡山市の物流施設集積パーク「福島郡山LLタウン」に、ヤマトグループとして東北最大の統合型ビジネスソリューション拠点を開設することを発表しました。この拠点には、2025年10月20日に「郡山ロジセンター」が竣工し、さらに2026年10月には全国のヤマトグループの物流拠点への仕分け・輸配送機能とロジスティクス機能が一体となった施設も竣工する予定です。
この新拠点は、ヤマトグループの東北エリアにおいて最大の延床面積を持つ物流拠点となります。同社は全国に広がる宅急便ネットワーク上にある本拠点を活用し、顧客のサプライチェーン全体の最適化と事業戦略をサポートすることで、法人ビジネスの拡大を目指していくとのことです。
この記事の目次
本拠点の特長
この統合型ビジネスソリューション拠点には、主に3つの特長があります。
全国仕分け・輸配送機能とロジスティクス機能一体型施設
全国のヤマトグループの物流拠点への仕分け・輸配送と、在庫管理や流通加工をはじめとしたロジスティクス作業など高付加価値機能を組み合わせることで、サプライチェーン全体を最適化するソリューションを提供します。この一体型施設により以下のメリットが生まれます。
- 翌日配送分の受注時間を延長できるため、販売機会の最大化に貢献
- 本拠点内で修理作業などの流通加工をスピーディーに対応できることで、お届けまでのリードタイムを短縮
- 在庫保管倉庫から輸配送拠点までの輸送や荷物の積み替え作業がなくなるため、輸送品質の向上、温室効果ガス排出量削減に貢献
- 宅急便ネットワーク上に在庫拠点があることで、拠点間で需要に応じた在庫の補充・移動をスピーディーに行うことができ、在庫の最適化に貢献
首都圏に好アクセスな立地
福島県郡山市は東北自動車道と磐越自動車道が交差する交通の要衝であり、首都圏と東北をつなぐ重要な位置にあります。また、東北で仙台市に次ぐ主要な経済圏である郡山市には、多岐にわたる製造業・小売業の拠点が集積しています。このような立地を活かし、以下のような価値を提供します。
- 西日本に主要拠点を持つ企業が本拠点に在庫を分散することで、最大消費地である首都圏への翌日配送が可能となり、サプライチェーン全体の最適化と商圏拡大に貢献
- 東北や郡山市内のサプライヤーの物流を本拠点に集約することで、サプライチェーンの効率化が実現
- 関東と東北の主要都市が片道距離300㎞圏内に位置しているため、広域物流・長距離輸送の中継拠点として活用することで、法規制の強化などによる長距離輸送の課題にも対応可能
災害に強く、環境にも配慮したサステナブルな拠点
環境面と防災面でも先進的な取り組みを行っています。
- 太陽光発電設備や蓄電池を使用し、施設の消費電力を再生可能エネルギー由来電力で賄います
- 災害発生時には、非常用発電設備や、EV・FCVから建物に給電できる「V2Xシステム」を使用して72時間以上連続発電が可能
- 地域住民の避難所や災害支援物資の配送拠点としても機能します
本拠点の概要
本拠点の詳細は以下の通りです。
本拠点 | |||
全国仕分け・輸配送機能とロジスティクス機能一体型施設(プロロジスパーク郡山1) | 郡山ロジセンター (福島郡山LLタウン棟) |
||
敷地面積 | 68,221.51㎡ (20,636.99坪)予定 |
47,206.04㎡ (14,279.82坪)予定 |
21,015.47㎡ (6,357.17坪) |
延床面積 | 49,830.64㎡ (15,073.76坪)予定 |
41,210.92㎡ (12,466.30坪)予定 |
8,619.72㎡ (2,607.46坪) |
バース | 113台予定 | 85台予定 | 28台 |
所在地 | 福島県郡山市大槻町中ノ平地内 | ||
主要設備 | 常温・冷蔵・冷凍の3温度帯対応、太陽光発電設備、蓄電池、非常用発電設備、災害時の食料備蓄品保管、食堂など |
ヤマトグループの統合型ビジネスソリューション拠点を活用した価値提供
ヤマトグループは、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、コントラクト・ロジスティクス事業を成長領域として位置づけています。顧客の経営課題を共に解決する「戦略的パートナー」として、持続可能なサプライチェーンの構築に取り組んでいるとのことです。
その基盤となるのが、ヤマトグループが保有する高付加価値機能を集結させた統合型ビジネスソリューション拠点であり、今回の郡山市の拠点もその一環として整備されます。同社はこうした拠点を全国に広げていくことで、顧客や地域に新たな価値を提供し、豊かな社会の実現に貢献していく方針です。
災害支援に関する連携協定を締結
「福島郡山LLタウン」は、広域物流・広域防災連携の拠点として開発された物流施設集積パークです。ヤマト運輸は、2025年10月20日に郡⼭市(所在地:福島県郡山市、市長:椎根 健雄)、プロロジス(日本本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 CEO:山田 御酒)、NTT東⽇本株式会社 福島支店(所在地:福島県福島市、支店長:大橋 真孝)、株式会社フクダ・アンド・パートナーズ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:福田 哲也)と、「災害時における避難者⽀援・指定避難所等の協⼒及び物資等の緊急輸送等に関する協定」を締結しました。
左から:NTT東日本 代表取締役副社長 熊谷 敏昌、ヤマトホールディングス 代表取締役社長 長尾 裕、郡山市 市長 椎根 健雄、プロロジス 代表取締役会長 兼 CEO 山田 御酒、F&P 代表取締役社長 福田 哲也
災害支援に関する連携協定における各者の役割
ヤマト運輸 | ・災害支援物資の集積場所を提供し、災害発生時に避難所に配送 ・福島郡山LLタウン棟内の食堂を避難場所として提供 ・F&Pの備蓄食料・BCP災害備品や災害用トイレを避難所に配送 |
郡山市 | ・プロロジスパーク郡山1と福島郡山LLタウン棟を災害支援物流の場所として利用 ・ヤマト運輸に対して災害時に緊急輸送を要請 ・災害発生時、災害情報を集約しNTT東日本に連携 ・福島郡山LLタウンでの継続的な防災訓練を主催 |
プロロジス | ・災害支援物資の集積場所や配送拠点の提供 ・災害支援物資輸送用のヘリポートの提供 |
NTT東⽇本 | ・情報連絡人員を郡山市に派遣し、災害情報を各者に連携 ・ドローンを活用した防災と減災の検証 ・防災備蓄品の管理や防災情報連携などのデジタル化の検討 ・イマーシブ(映像投影技術)などを活用した防災教育をF&Pと共同で実施 |
F&P | ・福島郡山LLタウン棟内の会議室を避難場所として提供 ・避難者への備蓄食料・BCP災害備品の無償提供 ・敷地の一部をドローンポートとして提供 ・周辺地域への防災教育をNTT東日本と共同で実施 |
この統合型ビジネスソリューション拠点の開設により、ヤマトグループは東北地方での物流ネットワークを強化するとともに、法人顧客のサプライチェーン最適化を支援し、災害時の地域防災拠点としての機能も果たしていくことになります。
出典元: ヤマト運輸株式会社 プレスリリース