Z世代の43.7%が推し活に「もったいない」と感じている—デカボLabの調査で明らかに、グッズ廃棄率はわずか1.7%

生活者共創型プラットフォームを展開するEarth hacks株式会社は、LINEヤフー株式会社、株式会社seamint.と共同で設立した「デカボLab」において、Z世代の推し活に対する意識調査を実施したことを発表しました。調査の結果、推し活時に「もったいない」と感じるZ世代が43.7%に上ることが判明。また、不要になったグッズの廃棄率はわずか1.7%に留まり、再流通が主流となっていることも明らかになりました。

調査結果まとめによると、Z世代の推し活には「もったいない」という意識が潜んでおり、特典やノベルティを目的とした過剰な購入が主な要因となっています。また、推しグッズの廃棄率は1.7%と低く、リユースや交換が主流になっていることや、「エコな推し活」への関心が高いことも明らかになっています。

調査結果まとめ

Z世代の推し活に潜む「もったいない」の意識

推し活時に「もったいない」と感じるZ世代は43.7%に上っています。特典やノベルティを目的とした過剰な購入が主な要因となっており、応援したい気持ちと、使いきれない現実との間で葛藤を抱えていることが明らかになりました。

推しグッズの廃棄率は1.7%。リユース・好感が主流に

不要になった推しグッズを「廃棄する」と回答したZ世代はわずか1.7%でした。代わりに「保管し続ける」「友人に譲る・交換する」「フリマアプリなどで売る」といった方法が主流となっており、不要なモノを「別の価値として再流通させる」意識が浸透していることがわかります。

「エコな推し活」への高い関心

推しやその公式が、環境や社会に配慮した取り組みをしていたら「好感が持てる」と回答したZ世代は約8割に達しています。ファンは、推しの行動が自分自身の「もったいない」という気持ちを軽くし、誇りを感じさせてくれることにも価値を見出しているようです。

求められるのは「循環」を前提とした仕組み

最も利用したい仕組みとして、「公式グッズ交換プラットフォーム」(34.3%)や「グッズのリサイクル・回収プログラム」(22.3%)が上位に挙がりました。これは、Z世代が推し活で手にしたモノを「循環させる」ことを前提とした、サステナブルな仕組みを求めていることを示唆しています。

推し活時に「もったいない」と感じる割合は43.7%。Z世代の推し活に潜む罪悪感

博報堂の調査によると、10代女性の83.3%が推し活を実施しており、20代女性や10代男性でも半数以上が推し活を行っています。若年層にとって、推し活は特別な趣味ではなく「当たり前の文化」として定着しつつあります。

推し活をしているZ世代に「もったいない」と感じるか尋ねたところ、「よく感じる」(11.1%)、「ときどき感じる」(32.6%)を合わせ、43.7%が何らかの形で「もったいない」という感情を抱いた経験があることが判明しました。

具体的に「もったいない」と感じる場面の上位項目は以下の通りです。

・特典目当てでのCD等の複数枚購入

・ノベルティ目当ての過剰な購入

・特典目当てでの雑誌購入とそれに伴う廃棄

・ランダムグッズの大量購入

・コラボカフェ等での過剰な注文

これらの結果から、特典やノベルティを目的とした購買行動が、「もったいない」と感じる主要因であると推察されます。応援したい気持ちから購入する一方、消費しきれないモノが手元に残ることに葛藤が生じている状況がうかがえます。

座談会から見える「もったいない」の正体

調査と合わせて行われたZ世代の座談会で、もったいないと思う瞬間について実際に聞いてみると、下記のような答えが返ってきたとのことです。

CDの購入について|みのりさん

やっぱりCDの大量購入ですね。スペシャルイベントって、たくさん"積んだ"人が当たる文化なので、どうしても何枚も買ってしまって...。

必要ないCDが残ると、もったいないなって感じます。

過剰包装について|もえさん

ネットでグッズを買った時に、緩衝材がすごい量で入っていたことがあって。

うちわが入っているだけなのに、箱の中が詰め物でいっぱいで...。あれはさすがに「ちょっとやりすぎじゃない?」って思いました。

ランダムグッズについて|かのんさん

CD1枚につきランダム特典が付いているんですけど、種類がすごく多くて。

コレクター感覚で集めたくなる一方で、推しじゃないものがたくさん手元に残ることも。そのたびに、ちょっと複雑な気持ちになります。

Z世代が抱く「もったいない」という感情は、単なる一時的なものではなく、大量購入を前提とした推し活の仕組みと、個人の価値観との間に生じる違和感を示唆しています。

推しグッズの廃棄率は1.7%。捨てない選択が当たり前に

不要になった推しグッズの扱いについて尋ねたところ、「廃棄する」と回答したZ世代はわずか1.7%でした。

一方で、大多数が以下の方法を選択しています。

・保管し続ける:47.0%

・友人に譲る・交換する:44.0%

・フリマアプリなどで売る:28.3%

この結果は、Z世代の間で、不要なモノを単に「ゴミ」として処分するのではなく、「別の価値として再流通させる」という視点が浸透していることを示唆しています。

フリマアプリやSNSを通じた「交換・リユース」文化

「フリマアプリでグッズを売買したことがありますか?」という問いに対し、「よくある」(14.0%)と「たまにある」(29.4%)の合計が43.4%に上りました。

また、「ランダムグッズなどをSNSや現場でファン同士で譲ったり交換したりしたことがありますか?」という問いには、「よくある」(17.9%)と「たまにある」(25.1%)の合計が43.0%となりました。

これらの結果から、フリマアプリやSNSを活用した「交換・リユース」文化が、Z世代の推し活において広く浸透していることがわかります。

ファン同士で譲り合う理由:利他と循環の意識

「ランダムグッズなどをSNSや現場でファン同士で譲ったり交換したりする理由」について尋ねたところ、以下の結果となりました。

・自分の推しを手に入れるため:79.2%

・欲しい人の元へ届けたいから:61.7%

・グッズを無駄にしたくないから:55.0%

・交換という行為自体が楽しいから:15.8%

最も多かった理由は「自分の推しを手に入れるため」でしたが、「欲しい人の元へ届けたい」「グッズを無駄にしたくない」も高い割合を占めました。この結果は、単なる実利目的だけでなく、モノの価値を再認識し、コミュニティ内での助け合いや循環を重視するZ世代の意識がうかがえます。

「環境に配慮する推し」に、約8割のZ世代が好感

デカボLabが行った調査によると、「推しやその公式が、環境や社会に配慮した取り組みをしていたらどう思うか」という問いに対し、Z世代の79.4%が「好感が持てる」と回答しました。

また、「そうした企業とコラボした商品・サービスを利用したいか」という問いにも、76.4%が「利用したい」と答えています。

これらの結果は、推しの行動がファンの価値観に影響を与えていること、また、企業やアーティストによるサステナブルな取り組みが、Z世代の共感やファンエンゲージメントの向上に直結することを示唆しています。

サステナブルな取り組みに期待する理由は「もったいないという気持ちが軽くなるから」

「もし推しが環境や社会に配慮した取り組みを行う際、それを期待する理由」について尋ねたところ、「自分の"もったいない"という気持ちが軽くなるから」が最も多く選択されました。その他、「環境への貢献を実感しやすいから」「推しへの応援が新しい形になるから」といった理由も挙げられています。

これらの理由から、ファンは単に社会貢献を望んでいるだけでなく、推しの行動が自分自身の罪悪感を解消し、誇りや満足感を得られることにも価値を見出していることがわかります。

求められるのは「循環」を前提とした仕組み

「もし推しが環境や社会に配慮した取り組みを行う際、最も利用したい、期待する仕組み」を尋ねたところ、最も多く選ばれたのは「公式グッズ交換プラットフォーム」で34.3%。次いで「グッズのリサイクル・回収プログラム」が22.3%という結果になりました。

この結果は、Z世代が推し活で手にしたモノを「ただ所有する」だけでなく、「循環させる」ことを前提とした仕組みを求めていることを示しています。無理なく、自然な形でサステナブルな選択ができる仕組みが、彼らのニーズに合致していると言えるでしょう。

専門家に聞く、リユース文化のリアルな動機

今回の調査結果について、推し活にまつわるサステナブルな取り組みを支援する株式会社Oshicoco代表取締役、多田さんに専門家としての見解が聞かれました。

廃棄物への抵抗感が再流通の動機に

フリマアプリでグッズを売る主な理由は、次の推し活資金を得るためという実利的な動機が最も大きいと考えられます。しかし、その背景には「捨てるのはもったいない」というZ世代の価値観が根底にあり、この感覚が結果としてサステナブルな行動につながっているとのことです。

Z世代の行動は「実利」と「感情」の混合

Z世代の行動は、単に環境意識が高いからという理由だけではなく、実利と感情が混ざり合った、より現実的な動機に基づいています。推し活におけるグッズの交換や再流通は、金銭的なメリットと、「モノを大切にしたい」という気持ちが結びついた結果と言えます。

まとめ:Z世代が示す「新しい推し活」の形

今回の調査から、Z世代が推し活において「応援したい気持ち」と「無駄にしたくない気持ち」との間で葛藤を抱えている実態が明らかになりました。特典やランダム商品など、消費を前提とした従来の仕組みが盛り上がりを牽引する一方で、彼らは「もったいない」という感情を起点に、グッズの再流通や循環を自然と実践しています。

この背景には、環境や社会問題への高い感度に加え、モノを大切にし、コミュニティ内で価値を分かち合うという、Z世代特有の価値観が深く根付いていることがわかります。彼らにとって、推し活は単なる消費活動ではなく、自己の価値観を表現し、共感できる仲間とつながるための重要な手段なのです。

また、「推し」がサステナブルな取り組みを行うことに対し、多くのZ世代が好感を抱き、具体的なアクションを求めていることも判明しました。これは、企業やアーティストが環境・社会課題に配慮した活動をすることが、単なる社会貢献に留まらず、ファンとの絆を深める新たなエンゲージメントの形となりうることを示唆しています。

今、求められているのは、単なる消費を促すだけではない、「サステナブルな推し活」のあり方を共に模索していくことです。Z世代の「もったいない」という声に耳を傾け、グッズのリユースや交換を促進する仕組みを構築していくことが、持続可能なビジネスモデルと、ファンとのより強固な関係性を築く鍵となるでしょう。

出典元:Earth hacks株式会社/デカボLab プレスリリース

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ