
スマートフォンやネット通販の普及により、消費行動や商品との関わり方は大きく変化しています。今後消費市場の主役となっていく20代の若年層は、どのような購買チャネルを選び、配送サービスに何を期待しているのでしょうか。
株式会社ecloreが運営する発送代行・物流倉庫業者マッチングサイト『一括.jp』では、20代の男女100名を対象に「消費と物流サービス」に関する詳細なアンケート調査を実施したことが発表されました。ECモールや実店舗、フリマアプリなど多様な購買チャネルの利用状況や、配送サービスへの満足度、具体的な改善要望まで、20代のリアルな声を集約しています。
この調査を通じて、次世代の消費市場を牽引する若年層の視点から、競争優位性を高めるための物流・消費戦略のヒントが見えてきます。
この記事の目次
調査結果1:過去3か月間で商品購入に利用したチャネル
- オンライン通販がわずかに実店舗を上回る:調査では「オンライン通販(Amazon、楽天などECモール)」が54.0%(54人)と最も多く、「実店舗(ショッピングモール・百貨店・スーパーなど)」の53.0%(53人)をわずかに上回ったことがわかりました。
- 新しい消費スタイルも普及傾向:「フリマ・オークションアプリ(メルカリなど)」(19.0%、19人)や「公式オンラインショップ」(15.0%、15人)も一定数の支持を集めており、個人間取引やブランド直販といった新たな消費形態が広がっていることが明らかになっています。
- 特定のニーズに対応するチャネルも存在:「テレビ・カタログ通販」「宅配食品サービス」(各8.0%、8人)は少数派ながらも、特定の商品カテゴリーや生活パターンに合わせて利用されているようです。
- こだわりの購買方法を選ぶ層も:「その他」(2.0%、2人)の回答は少数ですが、生活スタイルや趣味に合わせた独自の購買方法を選択する層も見られたとのことです。
調査結果2:現在利用している物流・配送サービスの満足度

- 4割以上が前向きな評価:最も多かったのは「やや満足している」(28.0%、28人)で、「非常に満足している」(16.0%、16人)と合わせると、全体の44%が物流・配送サービスに対して好意的な評価をしているとのことです。多くの利用者が現状のサービスに大きな不満を感じておらず、ある程度期待に応えていると感じていることがわかります。
- 特に強い意見を持たない層も:「普通」と回答した人も20.0%(20人)と一定数存在し、配送サービスに対して特に強い印象や意見を持たない層も見られました。
- 一部に不満も存在:「やや不満を感じている」(9.0%、9人)、「非常に不満を感じている」(2.0%、2人)といった不満層は全体の11%にとどまっていますが、配送の遅延やトラブルなど、何らかの不便さを感じている利用者も一定数いることが示されています。
- 実店舗購入派も根強く存在:「配送サービスを利用していない(店舗購入のみのため)」(25.0%、25人)という回答も多く、オンラインショッピングの普及が進む中でも、実店舗での買い物を重視する消費スタイルが依然として強いことが読み取れます。
調査結果3:物流・配送サービスへの改善要望

※本設問は複数選択式ですが、選択肢は2つまでに制限されています。これにより、特に改善してほしいと感じていることをより明確に把握できるようにしているとのことです。
- 現状サービスへの満足層が多数:最も多かったのは「特に改善してほしいことはない」(40.0%、40人)で、現在の物流・配送サービスの内容で十分と感じている利用者が多いことがわかります。これまでのサービス品質や利便性に一定の満足感を持っている層が相当数存在していることがうかがえます。
- コスト面への要望が根強い:「送料を安く(または無料に)してほしい」(25.0%、25人)は、料金面への意識の高さを反映しており、利用頻度の増加や家計負担軽減への期待が強いことを示しています。
- 利便性向上への期待も:「配送スピードをもっと速くしてほしい」(15.0%、15人)や「置き配や受け取り方法の選択肢を増やしてほしい」(15.0%、15人)も同率で、サービスの利便性や柔軟な対応へのニーズが多様化していることが明らかになっています。
- 品質面への期待:「誤配や配送ミスをなくしてほしい」(9.0%、9人)は、サービスの基本的品質や正確性に対する期待が一定数あることを示しています。
- 環境への配慮も注目される要素に:「エコ配送(簡易包装やCO2削減)に力を入れてほしい」(6.0%、6人)は少数派ながらも、環境に配慮したサービスへの関心が若年層の間でも高まりつつあることが示唆されています。
まとめ: 選ばれる物流サービスは「パーソナライズ」から生まれる
今回の調査結果から、20代の若年層がオンライン通販と実店舗をほぼ同じ割合で活用しながら、フリマアプリや公式ショップなど多様なチャネルを状況に応じて使い分けている実態が明らかになりました。
従来の「便利で速い配送」という基本的な価値はすでに当然のものとして受け止められており、若年層は現在、それを超える付加価値を求めるようになっていることがわかります。
若年層が本当に求めるのは「選択の自由」
- 今回の調査では「置き配や受け取り方法の選択肢を増やしてほしい」という声が15%を占めました。この結果は、忙しい日常の中で自分のライフスタイルに合わせて配送方法を自由に選択したいというニーズが、特に20代の間で高まっていることを示しています。
- この傾向に対応するためには、配送場所や時間指定の柔軟化、置き配オプションの充実など、より個人の都合に合わせたパーソナライズされたサービス設計が今後重要になるでしょう。
コスト重視の20代が抱える「送料のジレンマ」
- 「送料を安く(または無料に)してほしい」という意見が25%を占め、若年層にとって配送コストの重要性が依然として高いことが確認されました。
- 一方で「特に改善してほしいことはない」という回答が最多(40%)であることから、多くの20代が現在のサービス品質には概ね満足しつつも、送料負担の軽減を次のサービス改善として強く期待していることがわかります。送料無料化の促進や定額配送プランの導入など、料金面での革新的な施策が今後の競争力を左右する可能性があります。
新たな差別化ポイントは「配送品質」と「環境配慮」
- 配送ミスや誤配防止への要望(9%)や環境配慮型配送への関心(6%)は、割合としては少数派ですが、今後の重要な傾向を示すものと考えられます。正確性や信頼性への不満が一定数存在する現状を踏まえると、物流企業や販売店は単にスピード重視の配送から、細部にわたる品質管理の強化にも注力する必要があるでしょう。また、若年層における環境意識の高まりを捉え、簡易包装やCO2排出量の削減など、環境価値を前面に出したサービス展開が新たな差別化につながる可能性があります。
このように、今後20代から支持される物流サービスとは、単に「速い・安い」という基本要素にとどまらず、「選択の自由」「明確なコストメリット」「高品質なサービス」「環境への配慮」といった多面的な要素を満たすことが求められています。
若年層が示した明確な消費ニーズや課題を真摯に受け止め、「自分らしさ」を追求する新たな価値基準を物流サービスに取り入れることが、これからの市場で競争優位性を確立するための重要な一歩となるでしょう。
調査概要
調査日: 2025年7月16日
調査対象地域: 全国
調査機関: Freeasy
調査方法: オンラインアンケート調査
調査対象・人数: 20~29歳の男女100人
一括.jp 概要
商号 :株式会社eclore
代表者 :宮島 隆
所在地 :東京都新宿区新宿2丁目8-6 KDX新宿286ビル4階
主な事業内容:
- SEOコンサルティングと記事制作に関する事業
- BtoB領域に強みを持つウェブメディア運営
出典元:株式会社eclore プレスリリース