じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025:香川県が総合満足度1位に - スローな旅需要の兆しか

株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:牛田 圭一)の観光に関する調査・研究および地域振興機関である『じゃらんリサーチセンター』(JRC、センター長:沢登 次彦)が、全国1万5,586人の宿泊旅行者を対象とした「じゃらん観光国内宿泊旅行調査 2025」の結果を発表しました。この調査は、観光などを目的とした宿泊を伴う国内旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)の実態を把握するために実施されたものです。2024年度(2024年4月~2025年3月)の主要な調査結果をご紹介します。

調査結果解説:日本人の価値観変化? 香川県1位はスローな旅需要の兆しか

今回の調査で総合満足度1位となった香川県は、日本人の延べ宿泊旅行者数が2024年度138万人(JRCの推計値)となっており、前年度の149万人と比較すると減少傾向にあります。観光地としても必ずしも規模の大きいエリアとは言えません。

しかしながら、香川県は食事と子どもが楽しめるスポットの両カテゴリーでトップ10入りしており、これら2つの観光資源が同県の強みとなっています。さらに、旅行費用も全国平均と比較して安価であり、このお得感も高評価の要因になっていると考えられます。

また、調査結果からは50代来訪者のシェア増加や、ひとり旅の増加傾向、ホスピタリティ満足度の向上、「地域らしさを感じられるものを選ぶ」といった旅行者の地域志向の高まりなどが明らかになっています。

訪日外国人観光客が増加し、人気の高い観光地を中心に混雑や物価高の影響を受けやすい現状において、日本人旅行者がスローでローカルな旅先として香川県を高く評価したと考えられます。必ずしも全国的な知名度が高い地域でなくても、地域らしさを中心に据えた観光体験によって旅行者を満足させることができるという、新たな旅の可能性を示す結果となりました。

JRC 主席研究員 森戸 香奈子

調査概要

■1次調査

①調査目的
全国の国内宿泊旅行実施者を抽出するとともに、性・年代別の宿泊旅行実施率を把握するために実施されました。

②調査時期
2025年4月1日(火)~ 2025年4月22日(火)

③調査対象
全国18~79歳の男女(株式会社マクロミルの登録モニター)

④配信数
75万7,852件

⑤調査内容
2024年度(2024年4月~2025年3月)1年間の国内宿泊旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)実態

⑥回収数
6万8,547件(回収率9.0%)

⑦集計対象者
2万件

※配信と割り付けについての補足
2次調査において都道府県別、性・年代別の割り付けに合った回収が得られるように配信されました。2次調査のセル別目標回収数は、「令和2年 国勢調査」の都道府県別、性・年代別の人口におおむね従うように47都道府県を8ランクに分け、サンプル数を割り付けて配信されています。各ランクは7:6:5:4:3:2:1:0.8の割合で、合計約1万5,400件の回収を目標としました。

※2次調査の配信数について
ウエイトバック値のバランスをなるべくそろえるために、県別に均等割り付けではなく、ランクを設けて割り付けを行った上で、1次調査の旅行実施者3万2,850件を都道府県ごとに分配し、サンプル数を割り付けて配信されました。回収された6万8,547件のうち都道府県別、性・年代別に割り付けを行い2万件を抽出し、性・年代別宿泊旅行実施率が算出されています。

■2次調査

①調査目的
全国の国内宿泊旅行実施者に対して、国内宿泊旅行の詳細な内容を把握するために実施されました。

②調査時期
2025年4月10日(木)~ 2025年4月22日(火)

③調査対象
3万2,850件
1次調査において、「昨年度1年間に国内宿泊旅行をした」と回答した人:3万2,850件

④配信数
3万1,095件
※配信数は対象者の中から都道府県別、性・年代別の割り付けに合わせてランダムに抽出されています。

⑤調査内容
昨年度1年間に実施した全ての国内宿泊旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)の行き先と回数について、また一人最大3件までの個別国内宿泊旅行について、具体的な内容が調査されました。

⑥回収数
1万5,619件(回収率50.2%)

⑦有効回答数
1万5,586件(旅行件数ベース3万16件)

詳細情報

今回の調査結果の詳細については、リクルート社のウェブサイトで公開されているPDFをご参照ください。

本調査では、香川県が総合満足度で1位を獲得した背景として、食事や子ども向けスポットの充実、費用対効果の高さなどが挙げられています。また、旅行者の嗜好の変化として、地域特有の体験を重視する傾向や、ひとり旅の増加なども注目すべきポイントとなっています。

訪日外国人観光客の増加に伴い、主要観光地では混雑や物価上昇といった課題が生じています。そうした中で、日本人旅行者がスローな旅、地域の特色を活かした観光地を求める傾向が強まっている可能性があります。香川県の事例は、必ずしも大規模な観光地でなくとも、地域の特色を活かした取り組みによって旅行者の満足度を高められることを示しています。

本調査結果は、今後の地域観光振興や旅行商品開発において、貴重な示唆を提供するものと言えるでしょう。特に、地方の観光地にとっては、大都市圏の有名観光地との差別化を図る上で参考になる内容と考えられます。

この「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025」は、日本全国の国内旅行動向を把握するための重要な調査として、観光業界や地方自治体、旅行関連企業などから注目されています。調査対象となった1万5,586人の回答から得られたデータは、観光マーケティングや地域振興施策の立案に活用されることが期待されます。

特に今回の調査では、コロナ禍からの回復期における旅行者の嗜好の変化や、新たな旅のトレンドを読み取ることができる貴重な資料となっています。地域性を重視する傾向や、50代の旅行者の増加など、今後の観光戦略を考える上で重要なデータが含まれています。

また、本調査のように大規模かつ継続的に実施される消費者調査は、単年度の結果だけでなく、経年変化を追うことで、より深い洞察を得ることができます。今後も同様の調査が継続されることで、日本の観光産業の動向をより正確に把握することが可能になるでしょう。

出典元:株式会社リクルート じゃらんリサーチセンター プレスリリース

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