Tangerine株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:平井清人)は、株式会社ファミリーマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:細見研介)に同社独自規格のビーコンプロダクトが導入されたことを発表しました。これにより一部店舗を除く全国のファミリーマート約13,000店舗において、デジタルサイネージとアプリを連動させた顧客体験の向上やリアルタイムアプリ広告の効果最大化が期待されています。
この記事の目次
導入の背景
ファミリーマートは、1日あたり約1,500万人もの顧客が利用する店舗網が持つメディア価値にいち早く着目し、国内リテールメディア市場の成長を力強くけん引する先進的な事例を次々と打ち出しています。特に注目すべきは、国内約10,400店舗(2025年5月末時点)で放映されている「FamilyMartVision(デジタルサイネージ)」と、約2,500万ダウンロード(2025年5月時点)を誇る公式アプリ「ファミペイ(ファミマのアプリ)」を核として構築された顧客デジタル接点「カスタマーリンクプラットフォーム(データインフラ)」です。
このプラットフォームは、最適なタイミングで最適な情報を顧客に提供することを目指す先進的な広告ビジネスモデルとして、国内外から高い注目を集めています。
このような背景の中、Tangerine株式会社はファミリーマートが開拓するリテールメディア領域での新たな広告ビジネスを通じた顧客価値の創造に共感。同社のビーコンとオフラインデータプラットフォーム「Store360」を通じた貢献を目指してきました。
具体的には、ファミリーマートが求めるビーコン検知性能に対してTangerine社はコミットし、2024年度に実施した複数回の広告配信に関する検証を経て、同社ビーコンおよびStore360を利用した場合の検知性能および配信性能が、一般的なiBeacon製品での精度を上回るという結果を確認。これにより、一部店舗を除く全国のファミリーマート約13,000店舗にTangerine社のビーコンが導入されることになりました。
また、Tangerine社はビーコンを通じた顧客価値を最大化するために、ファミリーマートにおけるStore360の導入も目指していくとしています。
ファミリーマートのリテールメディア戦略とTangerine社の貢献
ファミリーマートは、国内コンビニエンスストア業界の中でもデジタル技術を活用した顧客接点の強化に積極的に取り組んでいます。特に店舗内のデジタルサイネージと公式アプリを連動させた広告配信の仕組みは、従来の広告媒体とは一線を画す革新的なアプローチとして注目されています。
Tangerine社のビーコン技術は、このファミリーマートの取り組みをさらに強化するものです。店舗に入店した顧客のスマートフォンを高精度で検知し、その瞬間に最適な情報や広告を配信することで、顧客体験の向上だけでなく、広告効果の最大化にも貢献します。
従来のiBeacon技術では検知率の低さが課題とされていましたが、Tangerine社の独自規格「flxBeacon」と「Store360」の組み合わせにより、この課題を大幅に改善。これにより、より多くの顧客に対して適切なタイミングでの情報提供が可能になります。
Tangerine社ビーコンおよびStore360の優位性
今回ファミリーマートに導入されたTangerine社のビーコンは、一般的なiBeacon規格だけでなく、同社で特許取得済みの独自規格「flxBeacon(フレックスビーコン)」規格が利用可能なハイブリッド構成となっています。
このflxBeacon規格は、Store360とセットで利用する場合にその優位性を発揮します。具体的には、一般的なビーコンサービスと比較して最大で約16倍(同社比較)の検知性能を実現することが可能になります。これは、従来のiBeacon規格のみの製品(他社の一般的なビーコンサービス)での検知率が来店アプリ顧客の5-30%程度にとどまるのに対して、Tangerine社のサービスは最大で80%(同社比較)の顧客へリーチが可能であるためです。
リテールメディアの未来と技術革新
小売店舗をメディア化する「リテールメディア」は、実店舗とデジタル技術を融合させた新たな広告プラットフォームとして、今後さらなる成長が期待されています。特に日本においては、コンビニエンスストアの店舗網の広さと来店客数の多さから、その潜在的な広告価値は非常に高いと言えます。
Tangerine社とファミリーマートの連携は、このリテールメディア市場の発展に大きく貢献するものと考えられます。店舗内だけでなく、顧客の生活導線に沿った広告配信の可能性を広げることで、消費者にとってより便利で価値のある情報提供の実現を目指しています。
特に、Tangerine社が目指す小売事業者とロケーションオーナーシップ企業間のコラボレーションは、リテールメディアの概念をさらに拡張するものです。店舗内だけでなく、顧客の移動経路や滞在場所に応じた広告配信が可能になれば、より精緻なターゲティングと効果測定が実現できるでしょう。
Tangerine株式会社について
Tangerine株式会社は「場所」に付加価値を提供する企業です。その場所に訪れたユーザーの体験を豊かにするだけでなく、リアルな行動データを可視化することで顧客のビジネスの成長に貢献しています。
Store360について
Store360はTangerine株式会社がエンタープライズ企業向けに店頭施策を支援するオフラインデータプラットフォームです。SDKとクラウドを融合した同社の高負荷分散処理技術を用いることで、ビーコンを検知する際に発生する膨大な来店イベントを高速リアルタイムで処理し、遅延なく処理することが可能となります。これにより、「場所」を活かしたリアルタイムな配信が実現可能になります。
今後、Tangerine社はStore360を通じて、小売事業者と独自でビーコンを管理しているロケーションオーナーシップ企業(店舗外地点)間におけるリテールメディア事業コラボレーションを促進していく予定です。顧客の生活導線に合わせた最適なタイミングで最適な広告の配信プラットフォーム提供を実現することで、リテールメディア事業への貢献を企図して更なる機能拡充を図っていくとしています。
特許取得に関する概要
発明の名称:送信装置、情報処理システム、送信方法
特許番号:特許第7336811号
特許権者:Tangerine株式会社
まとめ
Tangerine株式会社の独自ビーコン技術が全国のファミリーマート約13,000店舗に導入されたことは、日本のリテールメディア市場の発展において重要な一歩です。同社の高性能なビーコン技術と「Store360」プラットフォームにより、ファミリーマートの顧客体験はさらに向上し、広告主にとっても効果的な広告配信が可能になると期待されています。
今後も、デジタル技術を活用した実店舗での顧客体験向上に向けた取り組みは加速していくことでしょう。Tangerine社の技術がその一翼を担うことで、日本のリテールメディア市場はさらなる発展を遂げると考えられます。
出典元:Tangerine株式会社 プレスリリース