
「イーザッカマニア倒産は衝撃だ…。自社の経営は大丈夫か?具体的な教訓が知りたい。」 EC事業者の皆様、そうお考えではありませんか?
本記事では、ズーティー社破綻の事例を専門家が分析。物流危機や財務問題、外部要因など複合的な原因を解説します。 こちらを読み終える頃には、EC事業のリスクと持続的成長に必要な経営戦略の要点を学べることでしょう。 自社を見つめ直し、より強い事業を築くヒントが見つかるはずです。
山本 達巳
つきみ株式会社
静岡市出身、関西学院大学卒。地元医療系の企業で修行後、父親の経営する医療介護系企業に入社。経営とバックオフィス業務を学ぶ傍ら、留学がきっかけで以前から関心が高かった輸入品雑貨のネット販売事業を開始。令和元年に独立し、複数の海外メーカー取引きの経験を経て、自社アウトドアブランドを展開。
その後、自社ブランドを伸ばしていきたい事業者を応援したいという思いから、令和6年につきみ株式会社を設立。商品ページ作りや広告運用、SNSなどECに関係する領域を幅広く対応しつつ、商品ブランディング支援を行っている。
つきみ株式会社
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この記事の目次
人気ECサイト「イーザッカマニアストアーズ」破綻の衝撃

突然の事業停止 - イーザッカマニアに何が起きた?
2025年4月15日、多くのおしゃれ好きに親しまれたファッション通販サイト「イーザッカマニアストアーズ」が、突然その歴史に幕を下ろしました。
運営元の有限会社ズーティーが、関連会社3社と共に事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったのです(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])。負債総額は4社合計で推定30億円にのぼると報じられており(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])、グループ全体での経営破綻という事態でした。
このニュースは、まさに突然の出来事でした。サイトは当日、全商品「売切れ」表示となり、夕方には閉店を知らせるメールが届くという急な展開に、長年のファンやEC業界全体に大きな衝撃が走りました(出典:「【衝撃】楽天総合4位の“あの名店”が閉店・破産へ…」)。
年商40億円、楽天市場での成功から一転した背景
「イーザッカマニアストアーズ」は、特にECモール「楽天市場」で目覚ましい活躍を見せた存在です。「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を何度も受賞し、レディースアパレルジャンルを代表する人気店舗として広く認知されていました。
最盛期には「総合4位」にランクイン、「化け物級」と称される成功を収め、楽天市場だけでも数十億円規模の売上があったとされます(出典:「【衝撃】楽天総合4位の“あの名店”が閉店・破産へ…」)。
その勢いはECに留まらず、全国主要都市への実店舗展開も進められました(出典:カモン!ズーティー 公式サイト 沿革ページ)。2018年には年商約40億円を達成するなど、順調な成長を見せていたのです。
多くの顧客に支持された有力企業がなぜ破綻に至ったのか。その背景には、成功の裏で抱えていた複数の課題がありました。
ズーティー破綻の原因分析 - 成長とリスクの裏側

破綻の引き金?2018年物流危機とその影響
ズーティー社の経営が大きく傾く直接的な契機は、2018年12月に発生した大規模な物流トラブルとされています。このトラブルで出荷業務が大幅に滞り、結果として同社は赤字に転落したと報じられています(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])。
これは一時的な売上減だけでなく、問題解決コストの発生、顧客からの信頼低下、そして何より財務基盤の毀損という形で、長期的な影響を及ぼしたと考えられます。この物流危機によるダメージが、破綻の遠因となった可能性が指摘されています。
コロナ禍・円安・負債 - 経営を圧迫した複合的要因
2018年の物流危機で財務体力が低下していたところに、さらなる試練が重なります。複数の要因が複合的に作用し、経営状況を悪化させていきました。
第一に、2020年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックです。実店舗の休業・時短営業で売上が減少し(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])、EC事業への注力で立て直しが図られましたが、状況の好転は難しかったようです。
第二に、円安によるコスト増。輸入品の仕入れ価格が高騰し、手頃な価格帯を強みとしていた同社の利益率を圧迫しました(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])。
第三に、重い負債負担です。関連会社を含めた負債総額は推定30億円(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])。特に、コロナ禍での緊急融資等の返済が、資金繰りを悪化させる要因になったと指摘されています(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])。
このように、過去のトラブル、外部環境の変化、そして累積した負債という複数のマイナス要因が重なり、経営状況を厳しくしていきました。
イーザッカマニア破綻からEC事業者が学ぶべきこと

【教訓1】売上拡大と財務健全性のバランスの重要性
ズーティー社は大きな売上規模を誇りましたが、その裏側で多額の負債を抱え、財務状況は深刻だったと推測されます(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])。売上が伸びても、利益に繋がっていなかった可能性がうかがえます。
特にECモールでは、価格競争や販促依存により、利益率を犠牲にして売上規模を追う戦略に陥るケースがあります。ズーティー社も積極的なプロモーションを行っていたようです(出典:「三つ子の母になった ありつん日記。」)。
この事例は「売上=成功」ではないことを示しています。急速な事業拡大や目先の売上だけでなく、キャッシュフローを重視し、利益を確保できる財務基盤を築くこと。このバランス感覚が持続的成長には不可欠です。
【教訓2】オペレーション安定化と変化への対応力強化
ズーティー社にとって転機となった2018年の物流危機(出典:株式会社 帝国データバンク[TDB])が示すように、EC事業において物流や在庫管理といった「オペレーション」の安定性は生命線です。効率化に加え、予期せぬ事態にも対応できる「強靭さ」やリスク管理体制が求められます。
また、市場環境の変化への対応力も重要です。為替変動、競争激化、消費者ニーズの変化(出典:「アパレルECの市場規模と成功事例!5つの課題と対策も紹介」)など、外部からの圧力は常に存在します。変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織や戦略を持つことが、今後のEC事業者には一層重要になるでしょう。
まとめ:イーザッカマニアストアーズ運営のズーティー破綻について
人気ECサイト「イーザッカマニアストアーズ」運営会社ズーティーの破綻について解説しました。楽天市場での成功の裏で、物流危機を契機に、コロナ禍、円安、重い負債などが複合的に経営を圧迫し、破綻に至った経緯が見えてきました。
この事例は、EC事業者にとって重要な教訓、すなわち売上規模と財務健全性のバランス、安定したオペレーションと変化への対応力の重要性を示唆しています。ぜひ、この学びを自社の事業運営に活かしていきましょう。
つきみ株式会社 https://tsukimi.ne.jp/
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