楽天インサイト株式会社(以下「楽天インサイト」)が、同社が実施した「アスキングビッグデータ」の結果を基に、過去3年間の「生活意識」の変化についての分析結果を発表しました。
調査は2024年11月28日(木)から12月18日(水)の21日間にわたり、楽天インサイトに登録しているモニターから全国の15~79歳の401,156人を対象に行われました。2023年版では552,160人、2024年版では485,370人を対象とした結果も比較され、調査結果には3つの主要なトピックが選出されています。詳細については楽天インサイトのデータアナリスト、末永 幸三が解説しています。
調査結果の経年比較では、1ポイントの変化が4,000から5,000サンプルに相当し、無視できない重要性を持ちます。さらに、この調査における1ポイントの変化は統計的にも有意な違いを示し、有意水準1%の検定が適用されます。調査結果の詳細は楽天インサイトのアンケートシステム「RaQs2」にログインすることでダウンロード可能です。
この記事の目次
調査結果サマリー
トピック1: 1人旅を楽しむ意向が高まる – 「おひとり様消費」の進化
「旅行は他の人と共に行くよりも、1人旅を楽しみたい」という意向が1.0ポイント上昇し、さらに1人で旅行を楽しむ人ほどSNSでの情報発信が活発であることがわかりました(満喫派36.0%、非満喫派20.3%)。この結果からは、1人で楽しむ時間とその体験を共有することに重きを置く新たな「おひとり様消費」の可能性が浮かび上がります。
トピック2: 食生活への不安の増大 – 食品価格上昇による栄養バランスの妥協
「食生活に不安を感じている」との回答が1.6ポイント増加し、同時に「高価でも鮮度や素材が優れた食品を選ぶ」という数値が2.2ポイント減少しました。また「栄養バランスを考慮した調理を心掛けている」との回答も2.8ポイント減少しています。これは物価上昇により、食材や栄養バランスへの配慮が難しくなり、不安感が増していることが示されます。
トピック3: デジタル化への懸念の増加 – 急速な技術進化による不安
「世の中のサービスがデジタル化されるのについていけるか不安だ」との回答が1.3ポイント増加しました。特に女性の40代以上では、この不安を感じる割合が高いことが明らかになっています。コロナ以降の急激なデジタル化が不安感を増やす要因と考えられています。
調査結果
トピック1: 1人旅を楽しむ意向が高まる – 「おひとり様消費」の進化
「他の人と一緒に行くより1人での旅行を楽しみたい」との回答が1.0ポイント増加し(2023年版: 36.9%/2025年版: 37.9%)、特に旅行に関心のある層では、1人旅行の情報発信に積極的であることが示されました。SNSでの情報発信を行っている満喫派が36.0%であり、非満喫派の20.3%に対して高い数値を示しています。

【解説: 楽天インサイトデータアナリスト末永 幸三】
このような1人旅の傾向が見られる背景には、シングルライフの普及やコロナ禍での個人時間の増加、友人招待の難しさなどが挙げられます。また、一人で楽しむこととその体験をシェアする楽しさが「おひとり様消費」の拡大を推進していると考えられます。
トピック2: 食生活への不安の増大 – 相次ぐ食品価格の高騰による妥協
「食生活に不安を感じている」との回答が2年間で1.6ポイント増加(2023年版: 42.5%/2025年版: 44.1%)。一方で「高くても良質な食品を選ぶ」という意見は2.2ポイント減少し(2023年版: 49.2%/2025年版: 47.0%)、栄養バランスを考慮した調理も減少が見られました(2023年版: 61.0%/2025年版: 58.2%)。物価の上昇が栄養や食材の選択に与える影響が大きいことが考えられます。



【解説: 楽天インサイトデータアナリスト末永 幸三】
特に輸入コストや原材料費の高騰が影響しており、食品価格の上昇が栄養バランスや鮮度への妥協をもたらし、食生活への不安を引き起こしています。
トピック3: デジタル化への懸念の増加 – 急激なデジタル化による不安の広がり
「世の中のサービスのデジタル化についていけるかの不安がある」との回答が1.3ポイント増加し(2023年版: 53.4%/2025年版: 54.7%)。年齢別に見ると、特に女性の40代以上にこの傾向が高いことが分かります。具体的には、40代で65.9%、50代で70.0%、60代で69.3%、70代でも65.9%の結果が出ています。


【解説: 楽天インサイトデータアナリスト末永 幸三】
デジタル化の進展に伴い、自らのデジタル能力に不安を抱く人が増加し、「デジタルデバイド2025」と言われる新たなデジタル格差の発生が懸念されています。
こうした中高年層へのデジタルサポートは、顧客のロイヤリティや顧客生涯価値を高めるためにも重要です。新たなサポートを受けた中高年層は、同じサービスを持続的に活用する傾向があります。
今後、シニア層向けのデジタル支援は企業の競争力やブランド価値に重要な影響をもたらす可能性があります。
出典元: 楽天インサイト株式会社 プレスリリース