
ECマーケティング株式会社(本社:東京都港区、代表:中山高志)が、ECサイトの運営担当者199名に対して独自の調査を実施しました。同社は企業向けマーケティング支援において15年を超える実績を有するwebコンサルティング企業です。
この記事の目次
調査の概要
今回の調査は、国内の20代から60代までの有職者で、業務においてECカートシステムを使用している方を対象に実施されました。有効回答数は199名、調査期間は2026年3月26日から27日までの2日間となっています。調査はECマーケティング株式会社が実施しました。
回答者の属性について
回答者の属性を見ると、男性が61.8%、女性が38.2%という構成になっています。年代別では30代と40代が中心となっており、30代が27.6%、40代が27.1%を占めています。また、20代も15.1%含まれており、若手から中堅層が調査の主体となっています。このことから、実際の改善業務を担っている現場担当者のリアルな課題意識が反映された結果となっている点が特徴です。一方で、50代以上の回答者も約30%を占めており、意思決定を行う立場や管理職の視点も一定程度含まれた調査となっています。
調査結果のエグゼクティブ・サマリー
今回の調査において特に注目すべき点は、EC担当者の不満が「機能の不足」ではなく、「改善を進めるための運用体験」に集中していたことです。ECマーケティング株式会社の執行役員である伊藤肇氏は、監修者コメントとして次のように述べています。
77.8%が「運用開始後に対応品質が下がった」と感じており、73.7%が費用を高いと感じているという結果が出ています。しかし、その背景には単純な価格に対する不満だけでなく、「改善したいのに進まない」というストレスが存在していることが明らかになりました。
ECカート市場は機能を競い合う時代から、運用品質・改善スピード・コミュニケーション品質が競争力となる時代へと移行していることが、本調査から浮き彫りになったということです。
運用ECサイトの年商規模
運用しているECサイトの年商規模については、「1億円未満」が31.3%で最も多い結果となりました。しかし、「1億円から5億円未満」が23.7%、「5億円以上」を合計すると36.3%となっており、小規模から中堅、大規模まで幅広いEC事業者が調査対象に含まれていることがわかります。特に年商10億円以上のEC事業者も22.7%存在していることから、本調査は単なる小規模ECの不満調査ではなく、運用負荷やベンダー管理が高度化した段階にある企業の課題も反映されていると考えられます。
ECカートの利用経験
利用経験があるECカートについての質問(複数回答)では、複数のカートを利用した経験を持つ担当者が多いことが判明しました。これは、EC担当者が単一のプラットフォームに固定されることなく、比較や乗り換え、並行運用を経験していることを示しています。
この結果から、ECカート市場が成熟し、機能だけでは差別化が難しくなっている一方で、「運用性」「サポート品質」「改善スピード」が重要な評価軸へと移行していることが示唆されています。
ECカートの費用に関する認識
ECの成果やコストパフォーマンスを踏まえたECカートの費用についての質問では、「非常に高い」「やや高い」の合計が73.7%に達しており、多くのEC担当者がコストに対して不満を抱えていることが明らかになりました。
これは単純な金額への不満というよりも、「改善スピード」「柔軟性」「提案力」など、期待する成果とのバランスに対する不満が強いと推察されます。特に、保守費用や改修費用、運用支援費用が積み上がる構造に対して、費用の妥当性が見えにくいことが背景にあると考えられます。
ECカートベンダーの対応に関する不満
ECカートベンダーの対応に関する不満(複数回答)では、「回答が曖昧」が44.4%で最も多い結果となりました。これは、単純なレスポンスの速度以上に、判断材料の不足や説明責任の不足への不満が強いことを示しています。
また、「見積もり根拠が不透明」「改善提案が少ない」も高い水準となっており、EC担当者は単なる作業の代行ではなく、改善パートナーとしての役割を期待していることがわかります。サポート品質だけでなく、事業理解や提案力、透明性が今後のベンダーの競争力になっていくと考えられます。
ECカート見直しの障壁
ECカートを見直す場合の障壁については、「費用が膨らみそう」が55.6%で最も多く、ECカートのスイッチングコストの高さが大きな障壁になっていることがわかりました。
さらに、「カスタマイズ再構築負担」「業務フロー影響」「売上減少リスク」など、技術・運用・売上が密接に結びついているため、不満があっても動けない状態に陥っている企業が多いことが明らかになりました。これはSaaSの一般的な課題ではなく、EC特有の業務インフラ化が背景にあると言えます。
運用開始後の対応品質の変化
構築時はサポートが手厚かったものの、運用開始後に対応品質が下がったと感じたことがあるかという質問に対しては、「強く感じる」「やや感じる」が合わせて77.8%となり、多くの企業が契約前後の温度差を経験していることが明らかになりました。
構築フェーズでは営業担当者やプロジェクトマネージャーが手厚く支援する一方、運用フェーズではサポート窓口化や工数管理化が進み、改善提案や伴走感が低下していることが背景にあると推察されます。これは、EC支援業界において、継続運用フェーズの顧客体験が弱いことを示す結果と言えます。
また、カートシステムは一度導入すると他社への乗り換えが容易ではない(解約のハードルが高い)ことが、品質を下げる風潮を生んだという見方もできるのではないでしょうか。
第三者支援会社へのニーズ
ECサイト運営において、自社とECカートベンダーの間に立って情報整理や調整、客観的な判断をしてくれる第三者(支援会社)がいれば、業務効率やコミュニケーションはスムーズになるかという質問では、81.3%が「第三者がいた方が良い」と回答しています。
EC担当者はすでにベンダーと発注者だけでは限界があると感じていることがわかります。特に、情報整理や進行管理、客観評価など、PMO的な役割への期待が強いことが明らかになりました。EC業界では、システム導入支援だけでなく、運用交通整理役への需要が高まっている可能性があります。
ECカートシステム業界への実感
ECカートシステム業界またはベンダー対応について、最も近い実感を選択する質問(複数回答)では、「改善したいことがあってもすぐ動けない」「ベンダー対応にばらつきがある」がともに39.8%で最多となりました。
これは、多くのEC企業が現状維持はできるものの、改善速度が足りないという停滞感を抱えていることを示しています。大きな障害ではなく、小さな不満の蓄積が業界全体の課題になっている点が特徴的です。
出典元:ECマーケティング株式会社














