
米国のSalesforce(以下、Salesforce)は、AIを活用して小売業の効率を向上させる新たなソリューションとして、Agentforce for Retail 及び Retail Cloud with Modern POSを発表しました。この新機能は、店舗スタッフ、カスタマーサービス担当者、デジタルマーチャントの生産性を向上させ、よりパーソナライズされたショッピング体験の提供を目指します。
※本記事は2025年1月10日に米国で公開された Salesforce Unveils Agentforce for Retail to Boost Productivity with Digital Labor and Retail Cloud to Unite In-Store and Digital Shopping の抄訳です。本記事の正式言語は英語で、その内容および解釈については英語が優先されます。
デジタル労働による業務支援を実現するAgentforceは、小売業向けに事前作成された新しいスキルを提供し、注文管理やガイド付きショッピング、予約スケジュール、ロイヤリティプログラムなどの自動化をサポートします。
Retail Cloudは、クラウドベースのPOS、クライアンテリング、エンドレスアイル、オムニチャネルの機能を統合し、店頭とデジタル接点を結ぶパーソナライズされたショッピング体験を提供します。
Modern POSを兼ね備えた新しいRetail Cloudは、オンラインとオフラインの取引データを統合し、カスタマーインタラクションの促進を目指します。これらの新機能は、小売業界における生産性と売上の向上に寄与することが期待されています。
Agentforce for Retail には、高度なAIエージェントスキルが搭載されており、顧客とのインタラクションを効率化し、迅速な対応を可能にします。この機能により、パーソナライズされた顧客体験の実現が加速します。
新機能一覧
- 注文管理向けコマーススキル:顧客にセルフサービスの注文管理オプションを提供し、手間を減らしつつ顧客ロイヤルティを向上させます。
- ガイド付きショッピング向けコマーススキル:顧客のニーズに基づき、商品提案を行うことで、デジタルなパーソナライズされたショッピング体験を提供します。
- 予約スケジュール向けフィールドサービススキル:AIを活用し、リアルタイムの空き状況確認とスケジューリングを行い、サービス担当者の業務を支援します。
- ロイヤルティプロモーション作成向けマーケティングスキル:顧客データに基づき、マーケターがロイヤルティプログラムを設計する際の支援を行います。
さらに、Retail Cloud with Modern POSは、オンラインとオフラインのショップデータを一元管理できるツールで、店舗スタッフが迅速かつ効率的に顧客に対応できるようサポートします。

新たなRetail Cloudは、クライアンテリングや在庫管理、エンドレスアイルの機能を通じて、顧客プロファイルの作成を可能にし、リアルタイムで在庫状況を確認することができます。これにより、店舗スタッフは顧客対応をより迅速かつパーソナライズされた方法で行えるようになります。
加えて、モバイルファーストの設計により、店舗スタッフはレジカウンターに縛られず、どこでも決済処理が可能になります。オフラインにも対応した安全な決済機能を備え、接続が途絶えた場合でもスムーズな支払い処理を実現するため、繁忙期でも安心です。
生産性向上に向けた新しいAIエージェントの役割
新たに導入されたAgentforceとRetail Cloudは、小売業の業務プロセスを効率化し、顧客のショッピング体験を向上させるための重要なツールとなります。AIエージェントの利用により、店舗スタッフは従来の業務に加え、よりクリエイティブで付加価値の高い仕事に集中できるようになるでしょう。
Salesforceは、最新の技術を活用して小売業者のランニングコストを削減し、マーケティングや顧客サービスにおける深い洞察を提供します。新しいStatistical EstimationモデルやAIエージェントにより、リアルタイムの顧客データへのアクセスが可能となり、企業は競争の中で優位性を確保できます。
本プレスリリースのポイント
Salesforceの調査によると、小売業界の81%の幹部が「非効率なプロセスやテクノロジーが、従業員の生産性を低下させている」と認識しており、78%の店舗スタッフが顧客に関する統合情報を持っていないとされています。このような状況を改善するため、Salesforceは小売業者向けの新しいソリューションを導入しました。
Salesforceのリテール部門のSVP兼GM、ニティン・マングタニ(Nitin Mangtani)は、「AIを駆使したデジタル労働と、高度なPOSシステムを組み合わせることで、小売業者は業務の能力を新たなスケールで発揮できる」と語っています。
出典元: 株式会社セールスフォース・ジャパン プレスリリース