
世界最大級のECモールであるAmazonは、リテールメディアとしても非常に強力なプラットフォームです。
Amazon広告は、ユーザーの行動データを活用した高い精度のターゲティングや、商品特性に応じて選べる多様な広告フォーマットを備えており、最適な広告戦略を設計することでその効果を最大化することができます。
本記事では、複雑化するAmazon広告の押さえておくべきポイントから運用方法、成功事例までを解説します。Amazon広告を効果的に活用し、さらなる売上成長を目指しましょう!
長谷川 太一
ソウルドアウト株式会社
コマースメディア戦略推進本部 本部長
2019年にソウルドアウト入社。入社以降、Amazon広告の専門チームに配属。以来、事業の立ち上げから広告運用やAmazonにおける戦略設計に携わる。家具家電・オフィス・ジュエリー・食品など幅広い業界のAmazonスポンサー広告の支援やAmazon DSPの運用を行う。 また、Amazon領域のみならず、D2C事業の立ち上げメンバーとしてアパレルブランド構築なども手掛ける。 2023年下期全社MVP受賞。
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この記事の目次
Amazon広告(運用型広告)
Amazon広告には運用型広告と純広告の2種類があり、今回は一般的な「運用型広告」についてご紹介します。そして運用型広告には大きく2種類があります。
- Amazon内の検索連動型広告「スポンサー広告」
- Amazonの行動・購買データを活用したディスプレイ広告「Amazon DSP」
スポンサー広告はAmazon内で商品の露出を増やすために用いられます。検索結果ページや商品詳細ページの目立つ位置に広告を表示させ、広告からの流入を増やすことができます。実店舗でたとえると“良い棚の位置を取る”ようなイメージです。
Amazon DSPはAmazon内での購買・行動データをもとにターゲティングを行うことができ、Amazonユーザーを自社の商品詳細ページやストアなどへ流入させることができます。たとえると“お店に来てもらうための看板・チラシ”のようなイメージです。
スポンサー広告
スポンサープロダクト広告
配信面:主に検索結果ページや商品詳細ページ
クリエイティブ:自動生成

最も使用され、売上につながりやすい広告です。いかに検索結果ページで表示させるか?というキーワード戦略が重要で、その効果が反映されます。
ターゲティングの種類には、オートターゲティングとマニュアルターゲティングの2種類があります。基本的には二つを併用し、オートターゲティングで発見したキーワードをマニュアルターゲティングに追加することを繰り返し、ターゲティングの最適化を図ります。
ソウルドアウトでは「商品カテゴリ×配信面×ターゲティング」の三つを軸に細かく運用を実施しています。
(参考:スポンサープロダクト広告のオートターゲティングとマニュアルターゲティング)
スポンサーブランド広告
配信面:主に検索結果ページの最上位や中部
クリエイティブ:動画やイメージ画像でブランドを伝えることが可能

検索結果ページの最上部に表示され、ブランド認知に寄与する広告です。クリエイティブによって他社との差別化を図ることができます。
最近は動画広告の枠が増え、Amazon内でのブランディング施策に用いられることが多いです。
スポンサーディスプレイ広告
配信面:主に商品詳細ページ
クリエイティブ:商品画像やロゴ・見出し、静止画、動画などクリエイティブのカスタマイズが可能

多くのユーザーが商品を認知・比較検討するときに用いられるリーチ型の広告で、一部Amazon外にも配信されているといわれています。守り(ブロック)と攻め(競合ターゲティング)の配信が可能です。
Amazon DSP
Amazonにおけるディスプレイ広告のメニュー。スポンサー広告とは異なり、Amazon外へ広告を配信できることから、Amazon外からAmazon内への誘導が得意です。加えて、Amazonに出品していない事業者でも活用できます。
また、より多くの指標をみることができ、例えばAmazon DSP経由のカート追加数なども把握できます。

Amazon DSPで配信可能な広告の一部をご紹介します。(※スポンサーディスプレイ広告で活用できるものもあります。)
In-Marketセグメント
特定のカテゴリで直近の利用履歴(検索・閲覧・購買)があるユーザーをターゲティング。エンゲージメントが高いユーザーに配信が可能です。

DAC Solution Service|Hakuhodo DY ONEが提供するデータ×テクノロジー
Lifestyleセグメント
直近の利用履歴から生活者のライフスタイルや、ライフステージの変化を補足してターゲティング。Amazonでの出品がない場合でも特に使いやすいセグメントです。

DAC Solution Service|Hakuhodo DY ONEが提供するデータ×テクノロジー
ASINターゲティング
ASIN(特定の商品)を指定し、ユーザーのAmazon内での行動をもとに、商品やブランドに興味のあるユーザー、もしくはそれに類似するユーザーをターゲティング。特に競合の商品の購入者・閲覧者に対してのターゲティングなどは戦略的に活用できます。
※ASIN(=Amazon Standard Item Number)とは、Amazon独自の商品識別コードのこと。

DAC Solution Service|Hakuhodo DY ONEが提供するデータ×テクノロジー
ご紹介した以外にも、
- Prime Videoの視聴データ
- Twitchの視聴データ
など、Amazon内のデータを活用した広告配信が可能です。
Amazon DSPのメリット3選
ここまでご紹介してきたAmazon DSPの特徴から、活用メリットをあげると、
- スポンサー広告の“限界突破施策”として、全体のGV数増加に貢献できる
- 細かなASINターゲティングにより、競合からのシェアを奪取できる
- 新しいターゲティングを発見できる
スポンサー広告の“限界突破施策”として、全体のGV数増加に貢献できる
GV(Glance View)数とは、商品詳細ページへの訪問数のこと。Amazonの売上向上に重要な要素の一つです。下記イメージ図のように、GV数の増加に比例して、注文数も増加していきます。
ですが、スポンサー広告では、広告費をいくら投下しても増加が頭打ちになってしまうときがあります。そのときにAmazon DSPを活用して新たな流入施策を実施することで、GV数を増加させることができるのです。

細かなASINターゲティングにより、競合からのシェアを奪取できる
指定のASINを閲覧・購入したユーザーに対して後日広告を配信することで、自社や競合の商品に対してリターゲティングができます。リピートの促進や、競合からのシェアの獲得など、Amazonならではの配信手法です。
新しいターゲティングを発見できる
Amazon DSPでは、Amazonが保有する膨大なデータを活用できます。Amazon独自のデータとして、Prime Videoの閲覧や住所変更データ、自動車登録データなども利用可能です。
また、Amazon DSPの広告を配信すると、ターゲットとして設定していなくても、相性の良いターゲットを把握できます。ターゲティングのデータから、実際の購買層がどのような人たちなのかを把握することで、リテールデータに基づいたペルソナ像の把握など、マーケティングにも活かすことが可能です。
成果事例
Amazonの運用移管によりROASが大幅に改善!
本事例の企業さまでは、コロナ禍の在宅需要の高まりによって売上は右肩上がりに成長し、さらなる売上拡大を目指して広告にもチャレンジしていましたが、リソースが追いつかず十分に使いこなせていませんでした。
そこで、ソウルドアウトとの取り組みをスタート。広告のキャンペーン設定をカテゴリと配信面ごとに細分化し、ポートフォリオが平均的になるように広告施策を実施しました。
細かな運用によってROASは3倍にまで成長し、Amazonが重要な販路の一つとなりました。
(参考:「ソウルドアウトはドラえもんのような存在」。事業成長を目標に、同志となってROAS"3倍"・売上"1.7倍"を達成)
Amazon DSPで新しいオーディエンスを発見。ベストセラーバッジを獲得
本事例の企業さまでは、Amazon広告を始めた当初、広告の費用対効果(ROAS)を重視し、スポンサー広告のみに取り組んでおられました。
しかし、頭打ちが来てしまい、認知施策としてのAmazon DSPを開始。オーディエンスを拡張したことで、購入者のデータから新しいユーザーの発見につながりました。ユーザーの興味関心でターゲティングするのではなく、興味関心をもつ手前のユーザーにもアプローチできるようになったのです。
Amazon DSPの活用で、ROAS重視のスポンサー広告がさらに効果を発揮するようになりました。売上は前年比で180%以上に伸び、ベストセラーバッジの獲得に至りました。
(参考:Amazonで売上成長!老舗プラスチック製品メーカーがベストセラーバッジを獲得するまでの挑戦 /【事例】天馬株式会社|ソウルドアウト株式会社)
Amazon広告自動運用ツール「Commerce Flow(コマースフロー)」
Commerce Flow(コマースフロー)とは、博報堂DYグループのnegocia株式会社が開発・提供するAmazon広告自動運用ツールです。Amazonの特徴に合わせた細かな運用が可能です。
時間帯別のパフォーマンス分析と、広告予算を上げずに訪問数の多い時間帯に絞った効果的な広告配信ができます。

これからのAmazon広告
動画の活用が進む
スポンサーブランド動画広告やスポンサーディスプレイ動画広告をはじめとして、動画広告が話題になっています。検索結果ページではもともと配信されていましたが、検索結果ページの最上位や商品詳細ページなどでも配信が可能になりました。また、Aamzon DSPでもTwitchなど徐々に配信場所が拡大しています。
動画は商品の魅力を最大限伝えられるツールです。動画コンテンツの攻略は今後必須でしょう。
TwitchやFire TVなどへの広告配信枠の広がり
エンターテインメントやコンテンツ消費の場でもターゲットにリーチできるようになります。Twitchは特に若年層のユーザーに人気があり、ゲーム実況やライブ配信などで高いエンゲージメントを誇っており、このアクティブなユーザー層へ直接アプローチが可能です。Fire TVは家庭内のテレビ視聴を通じて、幅広い年齢層にアプローチします。
また、Twitchの多様な配信コンテンツやFire TVの豊富なストリーミングサービスを利用することで、視聴者の関心や嗜好に合わせた精緻なターゲティングができるようになります。
TwitchやFire TVへの広告配信は、Amazon広告の可能性を広げ、広告の効果を高めることにつながるでしょう。
(参考:Twitch広告仕様とガイドライン | Amazon Ads、Fire TVのスポンサーディスプレイ広告 - Fire TVに表示される広告の作成 | Amazon Ads)
Amazonが提供するデータクリーンルームAMCの可能性
AMC(Amazon Marketing Cloud)は、プライバシーセキュアな環境下でIDベースのデータ分析が可能なソリューション。ユーザーのプライバシーが保護された状態を確保しながら、広告効果を可視化します。
Amazon広告以外にも外部データと統合することができ、マーケティングの幅が拡大します。通常の管理画面ではレポーティングできない詳細なデータの抽出も可能で、AMCを活用することで、パフォーマンスの最大化が期待できます。
(参考:Amazon Marketing Cloud: 広告インサイトのご紹介 | Amazon Ads)
フルファネルでの戦略設計が重要
Amazon広告では戦略設計と戦略を実現するアカウント構成が重要。ファネル別での施策はもちろん、商品カテゴリやターゲティング・掲載面・広告予算・トレンドを加味した設計が重要です。

おわりに:Amazon広告でお困りなら、ソウルドアウトにご相談を
ソウルドアウトでは、Amazon広告に特化した専門チームが、貴社の状況やご要望に応じた最適なプランニングを行います。Amazonを活用して売上を拡大したい企業の皆さまの売上拡大・ROAS向上に貢献します。
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また、先日Amazon AdsのYouTube公式チャンネルへ出演させていただきました。「ビジネスの成長戦略に必要な要素とは?」というテーマで、中小企業向けの成長プランやストアの考え方、クリエイティブの考え方についてお伝えしています。ぜひご覧ください!
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