
株式会社ラバブルマーケティンググループ(本社:東京都港区、代表取締役社長:林 雅之、証券コード:9254)の子会社で、企業のSNSマーケティングを支援する株式会社コムニコ(本社:東京都港区、代表取締役:長谷川 直紀、以下 コムニコ)は、批判的な言及や引用ポスト(引用リツイート)数が多い「SNS炎上事件」を2023年の1年間調査し、その傾向分析をまとめた「2023年炎上レポート」を公開いたしました。
「2023年炎上レポート」によると、「炎上ジャンル別」で見た際の炎上件数1位は「リテラシー不足」でした。「2023年炎上レポート」ではこの他にも、業界別の炎上件数ランキングや炎上してしまった際の緊急対応フローなどを紹介しています。当リリースで、「2023年炎上レポート」の調査結果の一部をご紹介します。
この記事の目次
「2023年炎上レポート」の調査概要
コムニコが公開する「炎上レポート」では、X(旧 Twitter)でトレンド入りした投稿や、ネットニュース化された投稿、引用リポストで批判が多い投稿、批判的なリプライが多い投稿、メンションはつけないが批判的な言及をしているリプライを炎上の基準とし、コムニコ従業員が目視でピックアップ。「災害」「熱狂的アンチ」「巻き込まれ炎上」といった炎上ジャンルで分けたり、「芸能」「公務」「飲食サービス業」など業種分類表(経済産業省)を元にした業界で分けて炎上が起きやすい投稿種類を分析しています。
<調査概要>
調査期間 :2023年1月1日(日)~2023年12月31日(日)
SNS投稿収集ツール :Quid Monitor(旧 NetBase)
炎上投稿のピックアップ方法 :批判的な言及が多いSNS投稿を、コムニコ従業員が目視
炎上投稿のピックアップ基準 :「Xトレンド入りした投稿」「ネットニュース化された投稿」「引用リポストで批判が多い投稿」「批判的なリプライが多い投稿」「メンションはつけないが批判的な言及でリプライされている投稿」
2023年のSNS炎上総数は「189件」、炎上元の媒体1位は「X」、2位「オフライン」

2023年に観測されたSNS炎上事件の総数は189件で、炎上期間中に言及された関連キーワードの総数は18,464,813件、平均炎上日数は22日となっています。
SNS炎上で最も多い媒体は「X」で、X上でSNS炎上の火種となる言及がされ、リポストやリプライで批判が集まり「炎上」状態となることが多く見られました。2位「オフライン」は、昨年20件だったのに対して大幅に増加しています。炎上元が、SNSを含めるデジタル上のみに限らず、オフライン上で行われるイベントや日常の出来事、企業の取り組み、著名人の行動で、それを見た人がSNSに投稿したことがきっかけで「炎上」状態になるケースが多く見られました。2023年から、オフラインで行われるリアルイベントが本格的に戻ってきたこともあり、様々な企業・団体がリアルイベントの実施を検討される傾向にあるかもしれませんが、オフライン上であっても「炎上」のリスクが十分に潜んでいることを留意すべきかもしれません。
炎上ジャンル別の炎上件数1位「リテラシー不足」

炎上した投稿をジャンル別に分類して集計したところ、炎上件数が1番多いのは「リテラシー不足」でした。「リテラシー不足」に関しては、不適切な表現だという認識(知識)が足りておらず多くの方を不快にさせる投稿をしてしまう例や、著作権や景表法など法律に関する知識が不足した状態で投稿して批判を浴びる例、生成AIが作成した画像や動画の利用への疑問の声が多く挙がるといった例が見られました。2位は「思想」と「オフライン」が同数、次いで「モラル」となりました。「モラル」では、いわゆる「私人逮捕」系の動画や「飲食店での迷惑行為」の動画に関する内容への言及が多く見られました。
なお、当レポートにおける炎上ジャンル一覧は以下の通りです。この炎上ジャンルは、SNSリスクを含めたSNSノウハウを体系的に学べる一般社団法人SNSエキスパート協会が提唱する「炎上さしすせそ」をもとにアレンジして選出しています。
- リテラシー不足(知識や配慮が足りない場合)
- セクシャル(みだらな話題、LGBTQ、ジェンダー、性差別など)
- オフライン(テレビ・新聞・雑誌・街頭広告などオフライン上での露出があった言動やメッセージ)
- 差別(人種差別、地域差別、職業差別)
- 操作ミス(誤投稿、投稿内容ミス、誤爆など)
- 思想
- 災害(感染症、大地震、台風、テロ、戦争など)
- 熱狂的アンチ(スポーツ、アイドルなど)
- モラル(不祥事、スキャンダル、不倫、公序良俗に反する内容全般)
- 巻き込まれ炎上(実は無関係なのにデマやフェイクニュースといった第三者の勘違いなど)
- 政治
<参照:「炎上さしすせそ」>

今回ジャンル別で1番多かった「リテラシー不足」は、企業公式アカウントの投稿と個人の投稿、どちらにも多数見られました。企業公式アカウントの投稿の場合は、複数かつ属性が異なる従業員による二重三重チェックを入れ、防ぐのもひとつの方法です。これは「操作ミス」や「差別」といったカテゴリーの炎上防止にも有効です。企業公式アカウントではなく企業名をプロフィールやアカウント名に入れた個人アカウントでも、「リテラシー不足」による炎上を起こしてしまった場合、企業にとってのリスクとなる可能性が十分にあります。こうしたリスクを防ぐためには、従業員のリテラシー教育の実施も、防止策として有効だと考えられます。
<炎上防止の方法例>
投稿承認を行えるツールを利用する
SNS投稿担当者ひとりの考えで行うのではなく、承認機能を使って他者に見てもらうことで差別的な思想や立場の違いによる批判の有無に気づくことができます。投稿の事前予約、承認制をとれるツールの利用を検討しましょう。こうしたツールを利用することで炎上ジャンル「誤投稿」「モラル」「リテラシー」「差別」などのリスクをおさえることも可能になります。
SNSリスクマネジメントやリテラシーを学ぶ
SNSの知識、ノウハウ、リスクマネジメント、リテラシーを学ぶ機会を設けることも有効です。
SNS炎上に備えるサービスを利用する
「炎上してしまったら」「災害やシステム障害が起こったら」という「もしも」に備えるサービスを、炎上が起こってしまう前に導入しておくと良いでしょう。
SNSマーケティングのプロに前もって相談する
自社のみで運用するのではなく、第三者としてSNSマーケティングのプロに相談することも炎上対策となります。特に自社運用ではリソースが足りないと感じている場合は、確認漏れが発生しやすくなります。