
ふるさと納税の入門者向けサイト「はじめてのふるさと納税」は、全国の20代~70代以上の男女(計1,009名)を対象に実施した「2025年10月から施行予定のふるさと納税サイト経由でのポイント還元禁止」に関する意識調査の結果を公表しました。同調査では、制度変更に「反対」が過半数を占め、「賛成」は1割に満たないという結果となっています。
調査トピックス
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「反対」が52.8%と過半数を占めています
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「どちらでもない」は38.1%となっています
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「賛成」は9.1%にとどまっています
反対:52.8%
どちらでもない:38.1%
賛成:9.1%
2025年10月に開始される「ふるさと納税でのポイント付与禁止」に関して、利用者の意見は大きく分かれていることが明らかになりました。調査では「反対」と回答した方が52.8%と過半数に達しており、ポイント還元がふるさと納税の魅力の一つとして多くの人に浸透していることが見て取れます。
一方で、「賛成」と回答した方は9.1%と少数派となっていますが、これは制度本来の目的である「自治体支援」という観点を重視する意見が確かに存在していることを示しています。
また、「どちらでもない」と回答した方も38.1%と多く、制度変更の詳細や影響について判断を保留している、あるいは様子見の姿勢を取っている人が相当数いることがうかがえます。ふるさと納税は「地域貢献ができ、同時にお得感も得られる」という二重のメリットで広く普及してきた制度です。
今後の制度運営においては、本来の目的である「地域応援」と利用者が求める「お得感」のバランスをどのように取るかが重要なポイントとなるでしょう。
制度背景と禁止の理由
ふるさと納税は、寄附者が自治体に寄附を行うことで、地域の特産品などを返礼品として受け取ることができる制度です。
近年、一部のポータルサイトでは寄附額に応じて楽天ポイントなどの買い物ポイントを付与するサービスが普及し、利用者にとっては返礼品とポイントという「二重のメリット」が大きな魅力となっていました。
しかし総務省は以下の理由から、2025年10月より全面的にポイント付与を禁止する方針を決定しています。
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制度本来の趣旨(地域支援)から外れている
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過度な競争による自治体間の不公平感を助長している
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ポイント原資や手数料が自治体の財源を圧迫している
ふるさと納税制度がもたらす多岐にわたる経済効果
ふるさと納税制度が現在の1兆円を超える巨大市場へと成長した背景には、ポイント制度を積極的に導入した大手ポータルサイトの存在が大きく貢献しています。
この制度は、寄附者に返礼品が届くという魅力だけでなく、関連する多くの事業者にとって欠かせない収益源となっています。
返礼品提供事業者への貢献:
特に「日本産」「日本製」の商品を扱う地方の中小企業にとっては、自社製品の販路を全国に広げ、経営を支える重要な柱となっています。
中間事業者への波及効果:
自治体の事務作業を代行する事業者や、関連するECサイト運営会社、デザイン業者など、多くの周辺産業にも収益が分配されています。
このように、ふるさと納税制度は単なる寄附制度にとどまらず、多様な事業者へ経済的恩恵をもたらしており、今や日本経済において欠かすことのできない重要な役割を担っています。
ふるさと納税の制度改正で、本当に影響を受けるのは誰か?
ふるさと納税におけるポイント付与が禁止される制度改正について、最も影響を受けるのは一体誰なのでしょうか。
一見すると、ポイント経済圏を構築している楽天などのポータルサイト事業者が打撃を受けるように思えますが、実際に「損」をするのは、これまでポイントの恩恵を受けてきた寄附者(納税者)であると考えられます。
もちろん、ふるさと納税は本質的に「損得」だけで語るべきものではありませんが、従来享受できていたポイント還元がなくなることで、実質的なメリットが減少することは事実です。
一方、ポータルサイト事業者にとっては、ポイント付与という販促コストが軽減されるため、むしろ収益性が向上する可能性も考えられます。
今後の展望
今回の調査結果から、制度改正後は利用者の行動や寄附傾向に変化が生じる可能性が高いと予想されます。
9月の駆け込み寄附
例年、ふるさと納税の寄附は12月に集中する傾向がありますが、今回の制度変更により、ポイント付与禁止前の「駆け込み寄附」が予想され、2025年9月にも寄附が集中すると考えられます。
ポータルサイトの差別化
ポイントやお得感を軸とした差別化が難しくなるため、ポータルサイト事業者は別の観点での差別化を図る必要が出てきました。品揃えや納期などで差別化が進むことが予想されます。
特にふるさと納税返礼品の「納期」については、「いつ届くかわからない」という状況から「すぐに届く」ことが当たり前になる可能性があります。
寄附金額の価格競争
Amazonのふるさと納税参入により、これまでにない寄附金額の「価格競争」が発生する可能性があります。従来、寄附金額はおおよそ一定の水準が保たれていましたが、Amazonの「トクベツな寄付額」の返礼品のように、他のポータルサイトより低い寄附額の商品が登場するなど、ふるさと納税の世界にも価格競争の波が押し寄せようとしています。
ポイント還元がなくなっても「この地域を応援したい」と思えるような返礼品や寄附金の使い道を打ち出すことが、今後の自治体やポータルサイトに求められるでしょう。制度の意義をわかりやすく伝え、利用者の納得感を高める取り組みが重要になると考えられます。
調査概要
調査エリア:全国
調査主体:はじめてのふるさと納税
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:20代~70代以上の男女(計1,009名)
調査期間:2025年7月16日~7月30日
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、必ずしも合計が100とはならない場合があります。




出典元:はじめてのふるさと納税