【ECの未来】メディアに取り上げられたい!を叶えるポジショニング戦略
記事の概要

楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っているサヴァリ株式会社が運営するYouTubeチャンネル『ECの未来』では、ECに関わるさまざまな方をお呼びして、その方たちの得意ジャンルのお話をMCである株式会社柳田織物の柳田敏正さんと対談形式でお届けしています。

今回は、バスリエ株式会社の代表取締役である松永武さんに、メディアに取り上げられるためのポジショニング戦略についてお話いただく回をご紹介いたします。

【ゲストスピーカー】
松永 武さん
バスリエ株式会社 代表取締役
お風呂グッズの専門店「お風呂のソムリエSHOP!

【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)

空白のポジションに飛び込んでパイオニアに

柳田さん:お風呂グッズを販売する中で、なぜテレビ出演のオファーがもらえるのか不思議に思うのですが、率直にその理由を伺っても良いでしょうか。

松永さん:一言でいうとポジショニングだと思います。温泉や銭湯、お風呂グッズなどのお風呂業界に私はいますが、その業界内で自分のポジショニングを確立させて、情報を発信していくことが重要です。

情報を発信し始めた当時、お風呂グッズの専門店自体がありませんでした。戦うポジションの選定はビジネス全般で大事なことだといえます。お風呂業界には入浴技術とお風呂グッズの両方を語れる人がいなかったのです。そこで、私はいろいろな入浴の資格を取ったりセミナーに参加したり、医学的な話を勉強したりと、実体験を通して入浴法の知識と体験のインプットを増やしていきました。

柳田さん:そもそもなぜお風呂業界で事業を始めたのでしょうか?

松永さん:バスリエを立ち上げる前は、枕を中心とした寝具専門店「まくら株式会社」に勤めていました。そこで眠りとお風呂の親和性の高さに気付きます。短い睡眠時間でもお風呂に入ると寝覚めが良くなった経験から、お風呂の面白さにのめり込み、独立しました。

柳田さん:独立した頃は、まだお風呂の専門家ではなかったということですか?

松永さん:はい。独立したのは15年前(本動画は2020年公開)で、当時はど素人でした。しかし、お風呂の専門家というポジションに人がいなかったため、情報を発信していく中で、業界内でパイオニア的な存在になっていきます。

情報発信は良さを伝えたいと思う強い気持ちから

柳田さん:今では自社ECサイトのコンテンツに力を入れる動きが強まっていますが、事業を立ち上げられたときから情報を発信されていたのでしょうか?

松永さん:情報発信に力を入れるようになったのは4~5年ほど前で、テレビに出始めた頃からです。お風呂グッズを販売していると、お風呂のことをわかっていないお風呂好きの方が多くいることに気付きます。

私が体験した睡眠時間が短くても元気になれたようなことを伝えていくには、お風呂の入り方など技術を身に付けないといけません。入浴は心・脳・身体のどれかを癒すことに大きく分けられますが、この点を意識してお風呂を活用している方は意外と少ないです。

柳田さん:入浴自体は毎日行われるルーティンワークですもんね。

松永さん:自分が本当に伝えたいお風呂の良さを対面で会える人に伝えているだけでは、弊社が掲げる「日本のお風呂文化を世界に」を実現することは難しいです。コンテンツを作り出したのは、自ら発信していかないと何も伝わらないことに気づいたからだです。

原動力は商品を正しく使ってもらうことへのコミットメント

松永さん:お風呂文化を広めるためであれば、メディアからの依頼は無料であっても何でも引き受けようというスタンスでいました。しかし、出演依頼や記事の執筆、お風呂グッズの監修など、さまざまな依頼が来るようになり、本業に支障が出たことで事務所に入ることにしました。

テレビの出演が増えたのは、マツコの知らない世界という番組に出たことがきっかけです。出演後は他の番組からもオファーが殺到しました。テレビに出たことで、弊社の売上が上がったことはほとんどありませんが、メーカーさんに喜んでもらえたり、業界全体が盛り上がったりと良かったことはあったので、できる限り続けていこうと思っていました。しかし、手が回らなくなってきたので事務所に入って、仲介してもらうことにしたんです。

柳田さん:現在もコンスタントにオファーがあるんですね。

松永さん:全国放送のオファーは最近少なくなっていますが、雑誌への取材・寄稿依頼、ラジオや地方局の出演依頼などは多く頂いています。

私が呼んでいただける理由は、お風呂業界で入浴法とグッズの両方を語れる人がいないからだと思います。お医者さんの知り合いがテレビに出ていますが、医学的な入浴の話はできても、香りやグッズを使った入浴の楽しみ方については話せません。どちらの話もできる方はほとんど日本にいない状態なのです。

今の状態は後付けではありますが、やはりポジショニングが非常に大事だといえます。これはテレビに取り上げられたいからやっているわけではなく、誰もやっていないことを開拓することに面白みを感じられるからできるんです。

お客様に商品を購入いただいたのに、正しく使ってもらえないがために、良い入浴という目的が達成してもらえなかったら、非常に残念です。だからこそ、商品の使い方やお風呂の入り方をしっかりと伝えていきたいと思い、情報発信をするように自然となっていきました。

ブルーオーシャンを狙ってポジションの確立を

柳田さん:マツコの知らない世界への出演は大きなきっかけになったと思いますが、出演後も継続的にお風呂をネタにする番組からオファーが松永さんにくるのはどういう理由からなのでしょうか。

松永さん:テレビ局の方は番組を作るにあたって制作会社に依頼するのですが、出演者を探すためにネットでくまなく検索しています。バスグッズで検索すると1位にバスリエのサイトが出てくるので、コンテンツや会社概要を見てオファーを出しているそうです。

柳田さん:ここまでオファーが来るようになったのは、狙ってやったことなのでしょうか。

松永さん:狙ってやったことではありません。弊社はお風呂が健康・美容。癒やし・リフレッシュ・コミュニケーションの5つのテーマを持っていると考えています。つまり、ほとんどのコトに関わるのです。食事・運動・睡眠とありますが、その次に来るのは入浴です。本気で入浴に取り組んでいる人はほとんどおらず、ブルーオーシャンだといえるのです。だからこそ、何をやっても新しいことになります。

新しい事業を今準備していますが、それもまだ全く誰もやっていないことです。高齢化とともにお風呂で亡くなる方は年々増えていて、社会問題になっています。コロナの影響で手洗いやマスクを付けることの意識が変わったように、入浴に対する意識が変われば入浴事故をなくすことができると思っています。意識改革をテーマにして、知識や技術を身につけてもらい、健康や美容にもコミットできるモノを世に出していきたいですね。

セルフプロデュースに欠かせないキャッチコピー

柳田さん:ポジショニングの重要性はわかったのですが、どのように情報発信や、想いの伝え方が、テレビ出演につながるきっかけを作れるのでしょうか?

松永さん:自分にキャッチ―なタイトルを付けることが大事です。その際、具体的な数字などで表すと良いでしょう。私の場合だと、「バスグッズを5万点試した男」ですね。「え?!」ってなると思われるのですが、そういうキャッチ―なタイトルを付けることで、メディアの方が紹介しやすくなる、使ってみたくなるんです。会社のホームページに私のプロフィールを入れて、このタイトルを見た人が私がどういった人物かすぐわかるようにしています。

また、コンテンツを作成したら、それをしっかりとプレスリリースで発信して、メディアに届けることも大切です。最近だと新型コロナウイルスに対する免疫力の高め方をテーマにした入浴方法のコンテンツを作り、プレスリリースとして発信しました。だいたい月に7本ぐらい出していますね。

周辺要素と組み合わせでコンテンツのネタが無限に

柳田さん:お風呂関連で、月に7本も出されているんですね。よくコンテンツを作るにあたって、ネタに困っているという話を聞くのですが、どうされているのでしょうか。

松永さん:ポイントとしては、お風呂だけを見るのではなく、たとえば、健康や美容など周辺の要素と組み合わせて深堀りすることです。そうすれば、いくらでもネタは出てくると思いますので、コンテンツ作りに事欠かないでしょう。また、型番商品であっても、使い方や素材、背景などいろんな切り口があります。そこをどう伝えるかを自分なりに工夫し、突き詰めていけば、ネタには困りません。

スタッフによく言うのが、商品を届けることがゴールではなく、お客様がその商品を使いこなして、悩みを解消することがゴールだと、そこを大事にしてほしいと伝えています。

目指すはバスグッズのトータルブランド

柳田さん:このような考えでやっていたら、型番商品でも十分戦っていけそうですね。ちなみに、オリジナル商品も作っているんですか?

松永さん:はい、自社のブランドでオリジナル商品を作っています。他のメーカーさんや仕入れ先さんと被るような商品は作らないと決めています。あくまでお風呂文化の価値を高めるために、自分たちがやりたいことを実現するにあたって、オリジナル商品を作っています。私の知っている限り、バスグッズのトータルブランドがないんです。

柳田さん:確かに、シャンプーやお風呂場の椅子を一緒に作っているメーカーはないですね。

松永さん:また、百貨店や専門店の棚割が縦割りだと思います。バスグッズのトータルブランドを作ることによって、そういったところに面で、置けたらと考えています。

おわりに:どの業界でどんなポジンションを狙うのか

松永さんのお話を聞いていると入浴×お風呂グッズにおいて他に競合となりえる人がいないこと、そして日常と隣り合わせの入浴というテーマが継続的にメディアから取り上げられる要素として大きいのではないかと感じました。

名前がつくような大きな業界はすでにどこもレッドオーシャンかもしれません。しかし、掛け合わせることによってパイオニアになれる可能性は意外と眠っているのではないでしょうか。一定の市場規模を見込める業界でポジショニングを確立することは一朝一夕で行くことではないかと思いますが、自社のビジネスに置き換えて考えると思わぬ気付きが得られるかもしれませんね。

EC市場の真の発展に貢献をという想いで、「ECの未来」を運営しているサヴァリ株式会社は楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っています。EC運営に不安を抱えている事業者様は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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