知らないと後悔する!?「EC立ち上げ失敗あるある」と「誰でもできる成功のコツ」

EC事業立ち上げの難しさ

コロナ禍を経てEC市場は大きく変化しました。

経済産業省によると令和3年の日本国内の消費者向け電子商取引市場規模は、20.7兆円(前年比7.35%増)に拡大しています。この勢いは止まることなく、これまでECの利用に抵抗があった消費者層にも普及が進み、ネットショッピングの利用世帯数・1世帯あたりの支出額ともに大きく伸び続けています。

また、DX化の流れもあり、顧客情報を多く集められるD2Cにも昨今注目が集まっています。株式会社売れるネット広告社によると、2015年から比べD2C市場の規模は約2倍になっているそうです。

これらの流れに乗り遅れまいと、EC事業を新規で始めようと考えている人も多いのではないでしょうか。

しかし、EC事業を新規で始めても「社内に経験者がいない」「運営担当者に何を任せれば良いかわからない」「マネジメントコストが倍増していて大変」といった形で、結局「思っていたように成果につながらなかった」と失敗しがち。

ではどうやったら失敗を避けられるのでしょうか?今回は「マネジメント」の観点から3つの失敗あるあるを読み解いていこうと思います。

失敗あるある① 経験者が社内にいないから、感覚頼りになってる!

EC事業の立ち上げ段階で社内にEC経験者がいることはごく稀。そのため“パソコンに詳しいだけの人”や“ECユーザー世代の若い人”が抜擢されることが多いのではないでしょうか。また、多くの場合、上司も経験者ではないため、「なんとなく頑張ってくれている」という感覚のマネジメントとなり、結局うまくいかなかった…といったことになりがちです。

ここでポイントとなるのは「上司と部下で認識をズレさせないこと」です。たとえば以下のような例を想定してみましょう。

担当者A「サイトへの流入が鍵となるので、SNS運用に全力で取り組みます!」

あなたが上司だとしたら、どうでしょうか?やる気は伝わってきますね。では、Aさんは「何を」ゴールとして「いつまで」に「何の」達成を目指すのでしょうか。このままでは、次の報告でも果たして順調なのか、あるいは遅れているのかもわかりません。

これを防ぐためには「何を」「いつまでに」達成しているのか、というのをお互いに把握している必要があります。例えば先の例が次のようになったらいかがでしょうか。

担当者A「サイトへの流入が伸びていないので、月間3,000PVを目指すべく、来週までにSNSのフォロワー500人増やします!」

Aさんにとってのゴールは「月間3,000PV」。そのために達成したいのは「SNSフォロワー500人増」。期限は「来週まで」とわかります(目標設定の妥当性については後述します)。とすれば、来週時点でSNSフォロワーがどうなっているのか、またPV数はどうなっているのかなど、上司のあなたがチェックするポイントも定まり、未達の場合はどうするか、達成ペースの場合は継続、と判断できます。

正しく進捗を管理するためにも、「何を」「いつまでに」ということを意識しておきましょう。

失敗あるある② 運営担当者にどこまで任せたら良いか分からない

新しくECを始めるぞ!と言っても、販路の開拓、SNS運用や広告施策、サイトのUI/UX分析など、やることはさまざま。これらを通して何の達成を目指し、そのために何をどこまで任せるかが定まっていないと、運営担当者も迷いながら業務をすることになり、動きが鈍り行動量が落ちてしまいます。

このような迷いを取り除いてあげられるのは上司だけです。迷いのない環境を整えてあげるために、必ず「何を期待しているのか」、すなわち明確な目標設定をしましょう。

ここでも重要となってくるのは明確であること、すなわち「認識がズレないこと」です。「いい感じにECサイトを運営して欲しい」ではなく「EC部門の四半期売上○○万円」や「月間UU数○○人」のように達成したのかどうか、誰がみても明らかとなるような目標設定をしましょう。こうすることで、担当者も目指すゴールが定まり、そのために何をしたら良いか、と考えることができます。

また、新規事業で読めないからこそ、月次単位など細かく目標を修正していくのも一つの手です。あまりにも達成が不可能な四半期目標となっていた場合、運営担当者も諦め、結果として行動量が下がります。逆も然りで、余裕で達成できる目標であることが走り始めてからわかった場合、手を抜かせないためにも上方修正が必要です。

もちろん日次で目標を修正するなどはマネジメントコストもかかりすぎますし、担当者も「結局何をしたらいいの?」と迷ってしまうため、細かすぎるのはNGです。しかしながら、正しい目標設定となっているのかを適宜見直し、部下の成果を最大化させてあげるのは上司の役目となります。

失敗あるある③ 現場の状況把握をするためにマネジメントコストが増大

新規事業は重役の期待を背負って立ち上がることが多く、EC事業の立ち上げも例に漏れないかと思います。その結果、社長や事業責任者が現場に介入し、結果としてマネジメントコストが増大してしまうこともあるのではないでしょうか。このような状況には問題が大きく2点あります。

例えば以下のような状況のとき、担当者はどのようにするでしょうか?

社長「EC事業をスケールさせるためにもSNSの運用に力を入れたほうがいいんじゃないの?」

事業部長「流入は取れてきているから、売上向上のためにサイト改善とかしたらどうかな?」

社長と部長の意見が少し食い違ってしまっています。担当者はどちらに注力すべきか、迷ってしまうのは想像に難くないでしょう。まさに船頭多くして船山に上る、といった状態です。前述の明確な目標設定ができているのであれば、直属の上司以外は干渉しないほうが良いでしょう。

また、以下のような場合はいかがでしょうか?

上司「SNSに力を入れたほうがいいんじゃないの?」

担当者「わかりました。そうしたら来週までにSNSフォロワー500人増加を目指します。」

〜1週間後〜

担当者「フォロワー500人増えました!」

上司「でもサイトPV数は増えてないよね?目標は売上○○万円だけど…」

担当者(言われたからSNSに力を入れたのに…)

良かれと思って経過に介入したことで、担当者が「言われたからやった」と、他責思考になりえます。そのため、経過には介入せず、結果で管理するようにしましょう。例えば、週次など定例の会議を以下のポイントを押さえて実施してみてはいかがでしょうか

① 明確な結果(ゴール)を上司が明示する
② 未達の場合、足りていない部分を上司が明確にする
③ ②の足りていない部分をどうやって埋めるか、改善行動を部下から明示させる
④次の報告までに「何を」達成するか、部下から案を出させる

これを行うことで、部下(担当者)は自ら改善施策を考えるため、自責で捉えざるを得ません。だからこそ、本気で達成を目指すようになります。

もちろん③④の段階で①の達成が不可能だな、と上司側が感じたら、もう一度考え直させるのも必要です。しかし大切なのはこのときに具体案まで上司が提示しないこと。口出ししてしまうと、「それさえやっていれば良い」と勘違いし、他責思考につながります。

EC事業をスケールさせる秘訣

今回は、3つの失敗あるあるを例に挙げながら、上司-部下間の関わり方についてお話しさせていただきました。重要なのは以下3点。

  • 認識がズレないように「いつまでに」「何を」達成しているのか明確にすること
  • 成長速度の予想がつきにくいEC事業でも必ず明確な目標を設定すること
  • 経過には介入せず、結果で管理すること

現場担当者の迷いをなくし、しっかりと管理するためにもポイントを押さえてマネジメントしていきましょう。

株式会社識学
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