株式会社帝国データバンクが、2026年7月における国内景気動向調査の結果を発表しました。全国2万2,350社を対象に実施され、有効回答企業1万518社(回答率47.1%)から得られたデータを景気DIとして集計されたものです。
調査結果の主要ポイント
2026年7月の景気DIは、前月と比較して1.0ポイント上昇し43.6となり、3カ月連続での改善を記録しました。国内景気については、売り上げや生産・出荷量が持ち直しの傾向を見せているほか、AI・半導体分野における関連需要の拡大や、猛暑によるエアコン等の特需が景気を押し上げる要因となっています。先行きの景気については、当面の間は上向きに推移すると予想されるものの、コスト高や金利上昇の影響によりそのテンポは鈍化し、緩やかな改善にとどまる見通しとなっています。
業界別の動向を見ると、10業界のうち『製造』『建設』をはじめとする6業界で改善が見られ、『不動産』『小売』は横ばい、『農・林・水産』『金融』が悪化という結果になりました。規模別では、2カ月連続で全規模が改善しており、全規模および各業種において夏季商材などへの需要増加が追い風となりました。地域別では、2カ月連続で全10地域が改善を示しています。
今月のトピックスとしては、「半導体関連」の景況感が高水準を維持している一方で、令和8年熊本地震が周辺産業や近隣地域の経済活動に与える影響を懸念する声も聞かれました。

2026年7月の景気動向について
2026年7月の景気DIは前月比で1.0ポイント増加し43.6となり、3カ月連続の改善となりました。国内景気は、売り上げや生産・出荷量の持ち直しに加えて、AI・半導体の関連需要の拡大が押し上げ要因として作用しました。
7月においては、半導体製造装置や電子部品の受注が増加傾向にあり、AI関連の需要が電力・通信設備などにも波及する動きが見られました。猛暑によるエアコンなどの特需もプラス材料となっています。賃上げを背景として宿泊や飲食が底堅く推移したほか、電気・ガス料金支援も景気を下支えする要因となりました。その一方で、中東情勢の再緊迫化や原油価格の上昇を受けて仕入単価は高水準で推移しており、価格転嫁の遅れや人手不足とともに景気の下押し要因となっています。
今後の見通しについて
今後については、賃上げや減税政策、政府による成長投資が家計の実質購買力と企業活動にとってプラス材料となります。訪日客の長期滞在化などインバウンド消費も好材料として期待されています。その一方で、為替動向やコスト高による値上げの促進のほか、長期金利の上昇は設備・住宅投資の重荷となる見込みです。令和8年熊本地震による影響も懸念されています。
今後の景気は、当面の間は上向きに推移するものの、コスト高と金利上昇の影響によりそのテンポが鈍化し、緩やかな改善にとどまると予想されています。

業界別の動向
10業界中6業界で改善、『製造』『建設』の回復が景気を押し上げ
10業界のうち『製造』『建設』など6業界で改善が見られ、『不動産』『小売』は横ばい、『農・林・水産』『金融』が悪化という結果になりました。前月に引き続き、半導体や生成AI、データセンター向けなどIT関連の需要増加が幅広い業種に波及しています。また、夏の季節需要の取り込みも功を奏したほか、個人消費にも持ち直しの動きが見られました。その一方で、原材料・飼料価格やエネルギー価格の高止まりなどは、悪材料となっています。
『製造』(44.3)は前月比2.1ポイント増となり、3カ月連続で改善しました。電子化学品や半導体、医薬品向けなど幅広い分野で堅調だった「化学品製造」(同1.5ポイント増)は、3カ月連続での改善となっています。また、工作・産業機械などの需要に支えられた「鉄鋼・非鉄・鉱業」(同1.3ポイント増)も同様に上向きました。造船や航空機の部品受注が好調といった声が聞かれる「機械製造」(同4.0ポイント増)は、2019年2月以来の50台を回復しています。さらに、「飲食料品・飼料製造」(同2.9ポイント増)は内食・中食需要の高まりから5カ月ぶりに持ち直しました。
『建設』(44.9)は同1.7ポイント増となり、2カ月連続で改善しました。中東情勢の緊張緩和により建設資材の調達リスクが低下したことを受けて、一部で停滞していた案件が動き出したことは明るい材料となっています。加えて、都市の再開発やデータセンターの建設など大型案件が下支えしました。また、盛況なエアコン需要を背景とした空調設備工事が好調に推移しています。さらに、老朽化する道路や上下水道などのインフラ工事も好材料となりました。ただし、依然として資材価格の高騰や人手不足は悪材料となっています。
『サービス』(46.7)は同0.2ポイント増となり、2カ月連続で改善しました。厳しい暑さを背景として、居酒屋などでの飲酒をともなう外食需要が高まり、「飲食店」(同2.6ポイント増)は2カ月ぶりに上向きました。「旅館・ホテル」(同0.2ポイント増)も夏の旅行需要を取り込んで回復しています。建設需要の持ち直しにともない人材需要が高まった「人材派遣・紹介」(同0.6ポイント増)は、2カ月連続での改善となりました。その一方で、慢性的な人手不足に加えて、人件費などのコスト上昇が収益を圧迫する「医療・福祉・保健衛生」(同0.9ポイント減)は、2カ月ぶりに悪化しています。
『不動産』(46.8)は同横ばいとなりました。大都市圏を中心に地価の上昇が続くなか、大規模な物流倉庫や工場の建設にともなう不動産取引が景況感を下支えしました。また、空室テナント減少の動きもあるといった声が寄せられています。さらに、堅調なオフィス需要もプラスに作用しました。その一方で、戸建て価格の高騰や金利上昇が住宅購入意欲を抑制し、個人向け住宅市場では厳しい状況が続いています。

規模別の動向
2カ月連続で全規模が改善、夏季商材やAI・半導体関連が追い風に
「大企業」「中小企業」「小規模企業」が2カ月連続でそろって改善しました。猛暑・酷暑を背景として、空調設備やアイスクリームなど夏季商材の需要増が全規模で見られました。また、「大企業」を中心に設備投資への意欲も高まっています。
「大企業」(47.8)は前月比0.9ポイント増となり、3カ月連続で改善しました。空調関連が好調な「機械・器具卸売」など『卸売』がけん引しました。『不動産』は金利上昇や価格高騰の影響があったものの、依然として50台の高水準を維持しています。
「中小企業」(42.9)は同1.1ポイント増となり、3カ月連続で改善しました。「ナフサ不足がやや解消した」との声が聞かれた『建設』が押し上げたほか、夏季商材などの荷動きが活発化した『運輸・倉庫』は5カ月ぶりに40台へ回復しています。
「小規模企業」(41.1)は同1.1ポイント増となり、2カ月連続で改善しました。『製造』では、AI・半導体関連に加えて、造船関連需要の拡大による好影響を受けた「機械製造」や「飲食料品・飼料製造」など、12業種中10業種が上向きました。
地域別の動向
2カ月連続で全10地域が改善、活発な生産活動が下支え
2カ月連続で全10地域が改善しました。都道府県別では改善が41、悪化が5、横ばいが1という結果になっています。各地で半導体や自動車関連の生産活動が景気を下支えしました。一方で、熊本地震の悪影響も見られ始めており、今後の動向を注視する必要があります。
『北関東』(43.1)は前月比1.7ポイント増となり、3カ月連続で改善し、2023年8月(43.1)以来となる水準に上昇しました。半導体関連需要の好調などを背景として、『製造』は50近くに達しています。石油由来製品の不足が解消に向かったことも好材料となりました。
『東海』(42.9)は同1.7ポイント増となり、3カ月連続で改善しました。主産業である『製造』は堅調な電子部品や自動車向け材料が寄与し、大幅に上昇しています。これに連動して「機械・器具卸売」など『卸売』は5カ月ぶりに40台を回復しました。
『九州』(43.9)は同0.9ポイント増となり、2カ月連続で改善しました。半導体工場関連や都市部のマンション需要を背景として、『建設』が大きく上向きました。一方で、熊本地震による稼働停止を指摘する声も聞かれ、今後の地域経済への影響が懸念されています。

半導体関連の動向と令和8年熊本地震に関する企業の声
「半導体関連」の景況感は高水準を維持しています。売り上げの増加傾向や設備投資意欲の高まりも継続しており、引き続き景気のけん引役となっている半導体関連の動向が注目されています。
一方で、令和8年熊本地震が周辺産業や近隣地域の経済活動に与える影響を懸念する声も聞かれました。

調査概要
調査対象は2万2,350社で、有効回答企業は1万518社、回答率は47.1%でした。調査事項は、景況感(現在)および先行きに対する見通し、経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢についてです。調査時期・方法は、2026年7月17日から7月31日にかけて、インターネット調査により実施されました。
出典元:株式会社帝国データバンク プレスリリース



















