アパレル物流研究会がビームスと豊島の2社参画を発表、共同輸送でドライバー運行時間77%削減を実証

株式会社アンドエスティHD、株式会社バロックジャパンリミテッド、株式会社TSIホールディングス、株式会社ユナイテッドアローズの4社によって設立された「アパレル物流研究会」は、各社の課題を共有し議論を重ねることで、業界全体に共通する物流課題を明確化し、ファッション業界のロジスティクス効率化と持続可能な物流モデルの構築に向けた活動を展開しています。

2023年10月に設立された同研究会は、2025年8月のリリース公表以降、業界の内外から多くの反響と共感が寄せられてきました。このたび、研究会の理念に賛同した株式会社ビームスと豊島株式会社の2社が新たに参画することが発表されました。今後も物流の効率化とサステナブルな社会の実現を目指し、さらなる企業の参加を呼びかけるとともに、アパレル・繊維業界などの業界の枠を超えた協創により、強固で広範囲にわたる物流基盤の構築を進めていくとのことです。

また、同研究会では、ドライバー不足への対応を最優先課題として掲げ、物流プロセスの維持に取り組んできました。特に、港湾から物流センターを繋ぐ調達物流(ドレージ輸送など)においては、車両確保の困難さや運賃の高騰などの影響が最も早く表面化しており、供給網を脅かす重大な課題となっています。そこで、この領域における共同輸送実験を実施し、トラック手配の難易度や運行負荷の軽減効果を確認できたため、その成果を公開することとなりました。

取組みの背景と将来的なドライバー不足への対応

現在、国内の車両稼働台数は2011年と比較して約35%減少しており、海上コンテナ輸送を担当するドライバーの平均年齢は52.6歳と高齢化が著しく進行しています。収益性の低さから新規参入が見込めない状況の中、2023年から2025年にかけて運賃は上昇を続けており、人手不足とコスト増加が同時進行している状況です。

同研究会では、将来的に「人がいなくなり、運べなくなる」という懸念に対して、競合や取引先という枠組みを越えてリソースを集約・最適化することで、持続可能な国内輸送網の維持・構築を目指しています。

参照元として、(一社)東京都トラック協会の2025年発表「海上コンテナ専門部会調査結果」、2024年発表「関東トラック協会海上コンテナ部会調査」、(公社)全日本トラック協会の2025年発表「経営分析報告書令和6年度決算版」、およびアパレル物流研究会の独自調査(ファッション関連企業合計19社へのヒアリング結果)が挙げられています。

共同輸送における2つの本稼働スキーム

海外商品の調達領域において、無駄な運行と待機時間を削減する、以下2つの共同輸送スキームが構築されました。

下関港からの共同輸送

中国(華東・華北)発の輸入貨物を下関港に集約し、フェリー輸送(横須賀港経由)を組み合わせて各社の物流センターへ共同輸送するスキームです。

このスキームでは、下関港で各社の貨物を荷合わせすることで運行車両台数を削減し、フェリーによるドライバー無人輸送で運行時間を削減します。さらに、従来のリードタイムを維持することが可能です。

下関港からの共同輸送スキーム図

東京港からの共同輸送

東京港に到着した貨物について、港湾施設(CFS)を巡回集荷し、各物流センターまで共同輸送できるスキームです。

このスキームでは、東京港で各社の貨物を荷合わせすることで運行車両台数を削減し、従来のリードタイムを維持することができます。

東京港からの共同輸送スキーム図

実証実験の結果とドライバー不足への具体的な抑制効果

2026年3月から実施中の実証実験では、複数社による共同輸送スキームを構築・運用した結果、従来のリードタイム(輸送日数)を維持しながら、輸送網の集約と最適化(モーダルシフトなど)を実現しました。その結果、ドライバーの運行時間やCO2排出量を削減し、効率化と環境配慮を両立した持続可能な物流モデルの有効性が実証されています。

ドライバー運行時間の削減効果

下関港からの共同輸送では、下関港での貨物集約により、車両の運行回数を4回から2回へ半減させることができました。さらにフェリーによるモーダルシフトを組み合わせることで、従来の陸路輸送と比較してドライバーの運行時間を約77%削減することに成功しました。

東京港からの共同輸送では、従来の各社個別輸送スキームと比較して、約50%の削減となりました。

CO2排出量の削減による環境負荷軽減

下関港からの共同輸送では、CO2排出量が現行と比較して約37%削減となりました。

東京港からの共同輸送では、CO2排出量の削減効果については、実証実験結果として現行と同等水準に留まりました。今後は車両の積載率向上を推進することで、環境負荷軽減を図っていく方針です。

なお、運行時間省力化やCO2排出量についての係数は、国土交通省のホームページ資料を使用して算出されています。

今後の展望について

「アパレル物流研究会」は、実証実験で得られた知見をもとに、共同輸送スキームのさらなる拡大を進めていくとしています。

共同輸送スキームは、協業企業が増加することでネットワークの「線」が太くなり効率化され、さらに「線」の数が増えることで輸送ルートが面的に広がり、その効果を拡大していくことにつながります。このため、同研究会では今回の実証成功を踏まえ、持続可能な物流の実現を共に目指す新たな企業の募集についても継続していくとのことです。

単なる一過性の実証にとどまらず、2024年問題をはじめとするドライバー不足などの社会課題に対して、業界の垣根を越えた「持続可能な社会インフラ」としての共同輸送スキームを確立していくとしています。

アパレル物流研究会の概要

設立は2023年10月で、参加企業は2026年7月現在、以下の通りです(アルファベット順に記載)。

株式会社アンドエスティHD

アンドエスティHDロゴ

アンドエスティHDグループは、アパレル・雑貨・飲食などのブランドを展開する「株式会社アダストリア」、「株式会社エレメントルール」、「株式会社BUZZWIT」、「株式会社ゼットン」をはじめ、モール&メディア事業やBtoB事業を展開する「株式会社アンドエスティ」、グループの物流を担う「株式会社アンドエスティ・ロジスティクス」、特例子会社「株式会社WeOur」などによって構成されるマルチカンパニーグループです。様々なステークホルダーとのつながりを強化し、ファッションのワクワクを国内外に広げる"Play fashion!プラットフォーマー"となることを目指しています。

株式会社バロックジャパンリミテッド

バロックジャパンリミテッドロゴ

株式会社バロックジャパンリミテッドは、「MOUSSY(マウジー)」「SLY(スライ)」「AZUL BY MOUSSY(アズール バイ マウジー)」「ENFÖLD(エンフォルド)」などのファッションブランドを国内外に350店舗以上展開しています。創業スピリットである「自分たちが着たいもの」に徹底してこだわり、トレンド、ファッション性、機能性・品質を兼ね備えたアパレル・服飾雑貨の製造販売(SPA)を行っています。

株式会社ビームス

ビームスロゴ

今年(2026年)50周年を迎えたBEAMSは、1976年、東京・原宿で創業しました。1号店「American Life Shop BEAMS」に続き、世界の様々なライフスタイルをコンセプトにした店舗を展開し、ファッション・雑貨・インテリア・音楽・アート・食品などにいたるまで、国内外のブランドや作品を多角的に紹介するセレクトショップの先駆けとして時代をリードしてきました。特にコラボレーションを通じて新たな価値を生み出す仕掛け役として豊富な実績を持ち、企業との協業や官民連携においてもクリエイティブなソリューションを提供しています。日本とアジア地域に約165店舗を擁し、モノ・コト・ヒトを軸にしたコミュニティが織り成すカルチャーは、各地で幅広い世代に支持されています。

豊島株式会社

豊島株式会社ロゴ

1841年の創業以来、180年を超える歴史を礎に、グローバルな原料調達から最終製品の企画・生産管理・納品まで、ライフスタイル産業のサプライチェーンを総合的に担っています。様々なニーズに寄り添うため、事業領域を雑貨・コスメ・食品へと拡大しています。サステナブルプロジェクトの推進に加え、多種多様な連携による価値創造や、テクノロジーを活用した新たな価値提案にも注力しています。2019年より掲げるステートメント「MY WILL(マイ ウィル)」のもと、持続可能なライフスタイルの実現に向けて挑戦を続けています。

株式会社TSIホールディングス

TSIホールディングスロゴ

株式会社TSIホールディングスは、「ナチュラルビューティーベーシック」「マーガレット・ハウエル」「アヴィレックス」など50以上の多彩なブランドを展開するアパレル・ライフスタイル企業です。社会へのバリュー(提供価値)を企業成長に繋げながら、ファッションがもたらすエンターテインメント(楽しさ)で、プロダクト提供には限らない、独創的な提供価値を創出しています。

株式会社ユナイテッドアローズ

ユナイテッドアローズロゴ

1989年創業で、独自のセンスで国内外から調達したデザイナーズブランドとオリジナル企画の紳士服・婦人服および雑貨等の商品をミックスし販売するセレクトショップを運営しています。「ユナイテッドアローズ」「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ」「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」等のブランドやレーベルを展開しています。

出典元:アパレル物流研究会

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