博報堂が「美容界隈の実態調査」を実施、5つのクラスター分析で見えた美容マーケティングの鍵

株式会社博報堂の専門組織である「生活者発想技術研究所」の「界隈マーケティング研究プロジェクト」が、株式会社Mimi Beautyが運営する美容メディア「Mimi Beauty」との共同研究により、「美容界隈の実態調査」を実施したことを発表しました。

同プロジェクトでは、生活者が「好き」という感情や興味関心を中心に形成するゆるやかなコミュニティ、いわゆる「界隈」についての研究活動とマーケティング手法の開発を推進しているとのことです。多岐にわたる「界隈」が存在する中において、今回は具体的な界隈の詳細研究として、生活者の関心度が高い領域の一つとなる「美容」に焦点を当てた調査が実施されました。

今回の調査では、美容情報に対して関心を持つ生活者を調査対象とし、好きなことに対する意識や情報行動を基準としたクラスター分析が行われました。調査の結果、「美容界隈」を形成する人々の多様性や、界隈を先導する層の実態について明らかになったということです。

なお、美容垢とは、SNS上においてコスメやスキンケア、美容整形などの美容関連情報の発信や交流、収集、または美容に関わる活動を実施している人のことを指します(垢はSNSアカウントを意味する言葉です)。

調査結果の概要について

好きなことに対する意識や情報行動を中心としたクラスター分析を実施した結果、「①アクティブ美容垢」「②黙々重課金勢」「③多趣味なトレンド好き」「④ナチュラル美容層」「⑤トレンドフォロワー」という5つのクラスターが抽出されました。

調査対象者の約7割が「『美容界隈』や『美容垢』が存在すると思う」という回答をした一方で、自分自身が『美容垢』であるという自認について半数を超えたのは「①アクティブ美容垢」のクラスターのみだったとのことです。

美容に対して興味を持っているだけではなく「発信活動も行っている」人が「美容界隈や美容垢」として認識されており、こうした発信力が高い人を多数含んでいる「①アクティブ美容垢」が界隈における流行を生み出していると考えられています。

美容界隈クラスター図

各クラスターの特徴とマーケティングアプローチ

「①アクティブ美容垢」は、複数の界隈に関与しており、美容情報や流行の発信源となっている中心的なクラスターです。この層に対しては、率直な意見を発信しやすい環境を整備することに加えて、美容の周辺界隈からアプローチする手法も効果的であると推測されています。

「②黙々重課金勢」は、美容への課金額が最も高額である一方、発信や交流への意欲は低く、黙々と美容活動に取り組んでいるクラスターです。SNS上の情報に対する不信感が強い傾向があるため、企業が提供する信頼性の高い一次情報を届けることが重要なポイントとなります。

「③多趣味なトレンド好き」は、学生を中心としたクラスターで、トレンドに対する感度が高く、仲間内での発信や交流が活発な層です。身内同士でシェアしたくなるような仕掛けや設計、①と同様に美容周辺界隈からのアプローチも有効と考えられています。

「④ナチュラル美容層」は、スキンケアを中心として、一般的な基準を満たすための美容活動に取り組んでいます。トレンドや最新の情報よりも、最低限の対策で安心感を得られるという訴求方法が効果的です。

「⑤トレンドフォロワー」は、広く浅く関心を持っており、周囲に遅れを取らないように美容にお金をかけているクラスターです。まずは「①アクティブ美容垢」に対してアプローチを行い、「流行している感覚」を創出することで興味を喚起することが望ましいとされています。

各クラスター概要

考察:美容界隈における影響の連鎖とマーケティングの鍵について

今回実施された調査により、美容界隈は熱量が高い層から低い層まで幅広いグラデーションを持つコミュニティであることが明確になりました。特に注目すべき点は、約7割の人が「界隈」の存在を認識している一方で、その一員であるという自認が半数を上回るのは中心層となる「①アクティブ美容垢」のみであったという結果です。これは、推し活のような「純粋な好き」という感情のみならず、恋愛や婚活、他者からの視線といった「社会的必要性」により関心を持たざるを得ない美容領域ならではの背景が影響を与えていると考察されています。

ただし、各クラスターは分断された存在ではなく、明確な情報の波及構造が確認できるとのことです。中心層となる「①アクティブ美容垢」が発信したトレンドは、情報収集に積極的な若年層である「③多趣味なトレンド好き」を経由して、最終的には自分より詳しい人の意見を参照する層である「④ナチュラル美容層」や「⑤トレンドフォロワー」の購買行動へと波及していく「影響の連鎖」が推測されています。

今後の美容マーケティング活動においては、この多様性を前提としたアプローチ手法が求められることになると指摘されています。そのためには、各クラスターの特性やインサイトを深く理解することが必要となります。

さらに、界隈のハブとして機能しており、唯一自認が半数を上回っている「①アクティブ美容垢」のインサイトを深く理解し、彼女たちを通じて質の高い情報を拡散してもらえる環境をいかに整備できるかが、市場全体におけるトレンド形成を左右する重要なポイントになると見込まれています。

調査設計の詳細

美容界隈の実態調査

調査実施地域:全国

調査対象者:15歳から44歳までの女性

調査サンプル数:SCR調査14,672サンプル、本調査1,500サンプル

調査実施方法:インターネット調査

調査実施日:2025年12月19日(金曜日)から2025年12月22日(月曜日)

博報堂生活者発想技術研究所について

博報堂生活者発想技術研究所は、クライアント企業における生活者発想を推進するための研究開発を目的として、2024年9月に設立された専門組織です。「未来生活者発想」をコンセプトとして掲げており、「生活者発想経営」「フォーカス型生活者洞察」「生活者心理と行動」「ウェルビーイング社会の共創」「生活者発想に基づいた創造性」など、多様なテーマに関する研究活動、開発、教育、発信を実施しています。

界隈マーケティング研究プロジェクトについて

界隈マーケティング研究プロジェクトは、生活者が「好き」や興味関心を軸として形成するゆるやかなコミュニティである「界隈」の研究と、「界隈」に向けたマーケティング手法の開発を進める研究プロジェクトです。2024年11月のレポート発表以降、2025年12月には推し活やオタ活関連の「界隈」に特化した研究プロジェクト「偏愛会議TM」を立ち上げるなど、具体的な「界隈」の詳細研究とマーケティング視点からの提言を継続して行っています。

美容メディア「Mimi Beauty」について

「Mimi Beauty」は、「美容でときめく世界を、一緒に」というコンセプトを掲げ、SNSに特化したメディア運営を展開しています。美容情報の発信にとどまらず、美容に関連する様々な体験をユーザーに提供することによって、ユーザーとともに進化し、ともに創り上げるメディアへと発展していきます。これにより、すべての人々が「美の変化」を楽しめるきっかけを創出することを目指しています。

出典元:PR TIMES(株式会社博報堂)

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