AI Overview出現率を左右するのはYMYL属性よりトピック領域か―2,609キーワードの多軸分析調査結果

株式会社はちのす制作が、日本語Google検索における「AI Overview(AIによる概要)」の出現率に影響を与える要因を明らかにするため、2026年4月13日から4月15日にかけて、2,609キーワードを対象とした大規模な実態調査を実施したことを発表しました。調査では「YMYL属性」「トピックカテゴリ」「検索意図」「検索ボリューム階層」という4つの軸から横断的な分析が行われました。

同社は、営業資料の受注率向上やLP成約率改善を支援するアンケート調査・分析、法人向けリード獲得支援、LLMO(Large Language Model Optimization)対策、ブランディング記事作成、オウンドメディア運営などを手がけています。LLMOとは、生成AIやAI検索に自社コンテンツが引用・推奨されるよう最適化する取り組みを指す業界用語です。

調査結果グラフ

調査の背景と目的

AI Overviewは2024年8月に日本で導入されて以降、2025年3月のコアアップデート後に表示頻度が急増しています。しかしながら、日本語Google検索においてAI Overviewの出現率がどのような属性によって左右されるのかを、個別キーワードレベルで多軸的に検証した公開調査は、同社が確認した範囲では存在していませんでした。

今回の調査は、LLMO対策を検討する企業やSEO担当者に対して、一次データに基づく対策優先度設計のための基礎資料を提供することを目的としています。

調査概要

調査は株式会社はちのす制作によって、2026年4月13日から4月15日の期間に実施されました。調査対象は日本語Google検索のキーワード2,609件で、その内訳は基礎キーワード2,044件(21ジャンルから意図を軸に選定・個別YMYL/意図判定実施)、意図バランス補完キーワード280件(Know/Do/Buy偏重補完用・パターン分類)、純ナビゲーション型Goキーワード285件(ニュース型クエリ15件を除外した厳密判定版)となっています。

サンプリング手法は有意抽出(非無作為抽出)で、検索ボリューム加重サンプリングではありません。測定頻度は各キーワード1時点・1回のSERP取得で、時系列再現性は第2弾調査で検証予定とされています。

検索結果取得にはDataForSEO SERP Advanced APIが使用され、日本語Google(Desktop版)のSERPを取得し、レスポンスに含まれるAI Overview要素の有無が判定されました。YMYL判定は基礎2,043件について個別キーワード単位で実施されています。

調査結果の主要トピックス

本調査の2,609キーワードプール上で観察された主要な傾向として、以下の点が挙げられています。

まず、同一カテゴリ内ではYMYL属性による有意差は観察されませんでした。育児カテゴリ内でYMYL 67.2%に対して非YMYL 68.9%(z=−0.19, p=0.85)という結果でしたが、この検定は小標本のため低検出力であると注記されています。

全体比較で観察される+20.3ポイントの差は、YMYLキーワードが特定カテゴリ(医療・金融・法律)に集中する構造を反映した見かけ上の効果と解釈される可能性があります。

検索ボリューム階層でAI Overview出現率が大きく変動することも明らかになりました。ロングテールが64.6%、ミドルが63.7%、ビッグが30.7%という結果で、ロングテール対ビッグではz=13.07, p<0.001という統計的に有意な差が確認されました。

検索意図別(Know/Do/Buy)では、Buyが明確に低い傾向が見られました。Knowが70.9%、Doが66.0%、Buyが46.9%で、Know対BuyではBonferroni補正後も有意な差(z=8.45, p<0.001)が観測されています。

同一カテゴリ内ではYMYL属性による有意差なし

YMYLと非YMYLのキーワードが十分に混在するカテゴリ内で両群のAI Overview出現率を直接比較することで、「YMYL属性そのもの」の効果が測定されました。育児・子育てカテゴリは、本調査のキーワードプール内で混在条件を満たす唯一のカテゴリです。

結果として、育児・子育てカテゴリ内YMYL キーワード67件ではAI Overview出現率が67.2%(95%信頼区間[55.3% - 77.2%])、育児・子育てカテゴリ内非YMYLキーワード45件では68.9%(95%信頼区間[54.3% - 80.5%])で、差は−1.7ポイント(z=−0.19, p=0.85)でした。

同一カテゴリ内ではYMYL属性によるAI Overview出現率の有意差は観察されませんでした。ただし、本比較はn=67対n=45と小標本であり、統計的検出力が低いため、「差が存在しない」ことを積極的に証明するものではありません。

それでも「もしYMYL属性が全体+20.3ポイントの主要因であれば、同一カテゴリ内でも相応の差が観察されるはず」と考えれば、少なくともカテゴリを超えたYMYL属性単独の大きな効果は今回の観察からは見つかりませんでした。

全体ではYMYL領域の出現率が高く見えるがカテゴリ偏在の反映

本キーワードプール全体で、YMYL/非YMYL属性別にAI Overview出現率を比較したところ、YMYL 467件では78.6%(95%信頼区間[74.6% - 82.1%])、非YMYL 1,576件では58.2%(95%信頼区間[55.8% - 60.7%])で、差は+20.3ポイント(z=7.99, p=1.3×10⁻¹⁵)でした。

全体ではYMYL領域が+20.3ポイント高い傾向が観察されましたが、本キーワードプール内のYMYLキーワードは医療・金融・法律カテゴリに集中しており、これらのカテゴリ自体がもともとAI Overview出現率の高い領域です。一方、非YMYLキーワードはエンタメ・ペット・趣味等のカテゴリに分散しており、これらはもともと出現率が低い領域となっています。

同一カテゴリ内ではYMYL差が有意に観察されないという結果と総合すると、この+20.3ポイント差はYMYL属性そのものの効果ではなく、YMYLキーワードがどのカテゴリに集中しているかというカテゴリの偏りが生んだ見かけ上の効果である可能性が高いと考えられます。

検索意図別グラフ

検索ボリューム階層による大きな変動

本キーワードプール(検索ボリューム取得済みの2,624件)を、日本のSEO実務で一般的に用いられる検索ボリューム階層(ロングテール/ミドル/ビッグ)に層別し、各階層のAI Overview出現率が算出されました。

ロングテール(〜1,000)は1,210件で出現率64.6%(95%信頼区間[61.9% - 67.3%])、ミドル(1,000〜10,000)は886件で63.7%(95%信頼区間[60.4% - 66.8%])、ビッグ(10,000以上)は528件で30.7%(95%信頼区間[26.9% - 34.7%])という結果になりました。

群間比較(Bonferroni補正・3ペア, α=0.0167)では、ロング対ミドルが+0.9ポイント(z=0.46, p=0.65)で有意差なし、ロング対ビッグが+33.9ポイント(z=13.07, p<0.001)でBonferroni補正後も有意、ミドル対ビッグが+33.0ポイント(z=12.00, p<0.001)でBonferroni補正後も有意でした。

ビッグ階層を細分化すると、10,000〜100,000件では49.1%(285件)、100,000〜1,000,000件では9.6%(230件)、1,000,000件以上では0.0%(13件)と、検索ボリュームが増えるほどAI Overview出現率が急激に減少していました。

ロングテール・ミドル階層は同水準(60%超)である一方、ビッグ階層では出現率が半分以下まで低下しました。

検索意図別ではBuyが明確に低い

基礎2,044キーワードをKnow(情報収集)/Do(操作・手順)/Buy(商用調査)/Go(ナビゲーション)の4分類に個別判定し、Know/Do/Buyに分類された1,971件が本トピックの分析対象とされました。

Know(情報収集)は1,002件で出現率70.9%(95%信頼区間[68.0% - 73.6%])、Do(操作・手順)は568件で66.0%(95%信頼区間[62.0% - 69.8%])、Buy(商用調査)は401件で46.9%(95%信頼区間[42.1% - 51.8%])という結果でした。

群間比較(Bonferroni補正・3ペア, α=0.0167)では、Know対Doが+4.9ポイント(z=1.99, p=0.046)で名目有意だがBonferroni補正後は非有意、Know対Buyが+24.0ポイント(z=8.45, p<0.001)でBonferroni補正後も有意、Do対Buyが+19.1ポイント(z=5.95, p<0.001)でBonferroni補正後も有意でした。

Know/DoはAI Overview出現率が6〜7割と比較的高水準で、両者の差はBonferroni補正後には有意ではありませんでした。一方、Buyクエリ(「おすすめ」「比較」「ランキング」等の購買検討型)ではAI Overview出現率が46.9%と明確に低い傾向が観察されました。

日本語市場におけるAI Overview出現の主要因についての考察

調査結果から、AI Overview出現を左右する主要因は「トピック領域(カテゴリ)」である可能性が示されました。同一カテゴリ内ではYMYL属性による有意差が観察されず(低検出力の留保付き)、全体でのYMYL優位はカテゴリ偏在の反映と解釈できる一方、検索ボリューム階層では出現率が2倍以上の差を示しました。

これらの観察は、キーワード単体の属性(YMYL/検索意図)よりも、そのキーワードが属するトピック領域と検索ボリューム帯がAI Overview出現の主要因となっている可能性を示唆しています。

ロングテール(〜1,000)・ミドル(1,000〜10,000)の検索ボリューム階層では、全体の60%超でAI Overviewが出現します。コンテンツ戦略として下層ボリューム帯を取りに行く際には、AI Overview出現時の引用可能性を意識する重要性が従来以上に高まっていると考えられます。

対策設計については、YMYL属性単独の効果(同一カテゴリ内での差)は観察されなかった一方、検索ボリューム階層による差(ロング64.6%対ビッグ30.7%)は明確でした。LLMO対策設計にあたっては、「YMYLだから/そうでないから」というキーワード属性単独の判断よりも、カテゴリ特性と検索ボリューム階層を軸とした優先度設計のほうが、少なくとも今回のデータには合っています。

考察図

今後の展開

今後の展開として、第2弾調査(2週間後)では同一2,609キーワードを再スキャンし、AI Overview出現率の変動・再現性を検証する予定です。第3弾調査(1ヶ月後)では時系列推移の可視化ダッシュボード公開が予定されています。

カテゴリ内比較の拡張として、育児以外のカテゴリでもYMYL/非YMYL混在セットを用意し、カテゴリ支配仮説の再現性を検証する計画です。また、本調査はDesktop限定のため、Mobile環境での差分調査を別途実施する予定となっています。

調査の制約事項

本調査には以下の制約事項があります。1時点のスナップショットであり、AI Overviewは動的に変動するため、時系列再現性は第2弾以降で検証されます。基礎2,044キーワードは2026年4月13日〜14日の2日間で取得しており、YMYL群・非YMYL群間で取得日構成に若干の偏りが残存しています。

Desktop版Google日本のみ対象(Mobile環境は未検証)で、キーワードは有意抽出で取得(検索ボリューム加重・無作為サンプリングではない)です。同一カテゴリ内比較はn=67対n=45と小標本のため、統計的検出力が低いという点にも注意が必要です。

なお本調査は有意抽出による2,609キーワードプール上の観測であり、日本語検索市場全体の母集団推計ではありません。より大規模・無作為抽出による追加調査では、観測される傾向が変化する可能性があります。

出典元:株式会社はちのす制作

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