大阪信用金庫調査で明暗分かれた年末商戦が判明 売上DI前回比+4.9ポイント・設備投資低下の気配も

大阪信用金庫が2025年11月下旬から12月上旬にかけて実施した取引先企業への調査において、2025年10~11月期の業況に関する興味深い結果が明らかになりました。今回の調査では、年末商戦に向けた企業の売上や収益状況、設備投資の動向、さらには経営上の問題点などについて詳細な分析が行われています。

年末商戦で業種により明暗が分かれる結果に

今回の調査結果によりますと、総合的な売上DIは-2.5(前回比+4.9ポイント)、収益DIは-8.9(前回比+4.3ポイント)となり、いずれも前回の調査と比較して上昇する結果となりました。しかしながら、業種別に見ますと大きな差が生じており、企業間での明暗がはっきりと分かれる状況が浮き彫りになっています。

売上DIが前回比で上昇した業種は、製造業が前回比+15.6ポイント、サービス業が前回比+10.0ポイント、運輸業が前回比+15.1ポイント、不動産業が前回比+21.8ポイントの合計4業種となっています。一方で下落した業種については、卸売業が前回比△19.2ポイント、小売業が前回比△8.6ポイント、飲食業が前回比△35.4ポイント、建設業が前回比△0.9ポイントの4業種という結果になりました。

年末商戦に対しては多くの期待が寄せられていましたが、消費者の節約志向はますます根強くなっており、特に顧客と直接接する機会の多い企業においては大きなマイナスとなる結果が出ています。消費の冷え込みが、小売業や飲食業といった業種に深刻な影響を与えている状況が見て取れます。

調査結果グラフ

新政権への期待と先行き不透明感の深まり

新しく発足した政権による物価高対策については期待が寄せられているものの、経済環境の先行きには不透明感が漂っています。トランプ関税が15%に落ち着いたことによる影響や、対中国との関係が悪化することに伴う影響も懸念されており、企業の経営環境は予断を許さない状況が続いています。

2026年1月から3月期の見通しとしては、売上DIが2.3ポイント、収益DIが1.3ポイントそれぞれ下落すると予測されています。その一方で、販売価格DIが0.9ポイント、販売数量DIが0.2ポイントそれぞれ上昇する見込みとなっており、価格転嫁の動きが続くことが想定されます。

設備投資意欲に低下の兆候が見られる

企業の設備投資動向についても注目すべき変化が現れています。総合的に見ますと、「実施中」と回答した企業は14.8%(前回比+1.2ポイント)、「予定あり」と回答した企業は13.5%(前回比△2.6ポイント)となり、合計で28.3%という結果になりました。この数値から、企業の設備投資意欲には低下の気配が見られる状況となっています。

特に「予定あり」の回答が前回比で下落した業種としては、製造業(前回比△7.2ポイント)、卸売業(前回比△2.4ポイント)、小売業(前回比△13.4ポイント)、建設業(前回比△3.3ポイント)の4業種が挙げられています。先行きの不透明感から、積極的な設備投資を控える企業が増えている様子が伺えます。

人手不足問題が深刻化、2期連続で上昇

経営上の問題点として挙げられた項目を見ますと、企業が直面している課題が明確になっています。総合的には「仕入単価上昇」が69.2%(前回比+0.2ポイント)で最も高い割合となり、原材料費の高騰が継続して企業を圧迫していることが分かります。

「売上停滞減少」は45.9%(前回比△2.7ポイント)、「一般経費増大」は45.7%(前回比△0.9ポイント)となっており、いずれも高い水準を維持しています。そして特に注目すべきは「人手不足」で43.1%(前回比+2.1ポイント)となり、2期連続での上昇を記録しました。

建設業やサービス業、運輸業、飲食業においては、人手不足が大きな問題点として定着しており、人材の確保に懸命な状況が続いていることが明らかになっています。労働人口の減少や働き方の多様化により、企業は人材確保に苦心している実態が浮き彫りになりました。

経営上の問題点グラフ

冬季賞与支給率が下落傾向、一時金支給の限界か

従業員への冬季賞与の支給状況についても調査が行われました。「支給する」と回答した企業は67.7%(昨年比△3.7ポイント)となり、2023年の72.5%をピークとして徐々に下落する傾向が続いている状況が確認されました。

厳しい収益環境の中でも懸命に賞与を支給しようとする企業の姿勢が見られますが、賃上げへの対応を求められていることや、継続的な物価上昇を背景として、一時金の支給は限界を迎えつつあると考えられます。人材確保のための賃上げと、収益環境の悪化という板挟みの中で、企業は難しい経営判断を迫られている実情が浮かび上がっています。

冬季賞与支給状況グラフ

調査概要について

今回の調査は、2025年11月下旬から12月上旬にかけて実施されました。対象期間は2025年10月から11月期の実績、12月の予想値、そして2026年1月から3月期の見通しとなっています。調査対象企業は、大阪信用金庫の取引先である大阪府内および尼崎市の企業1,596社で、そのうち642社から回答を得ており、回答率は40.2%となっています。調査方法としては、調査票の郵送およびWebでの回答、さらには聞き取り調査が実施されました。

今回の調査結果からは、年末商戦に対する期待とは裏腹に、消費者の節約志向の強まりや、業種による業績の二極化、人手不足問題の深刻化など、中小企業を取り巻く厳しい経営環境が浮き彫りになっています。新政権の経済政策や国際情勢の動向が、今後の企業活動にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していく必要があるでしょう。

出典元:大阪信用金庫 定例経済調査 プレスリリース

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