
株式会社ミツモア(本社:東京都中央区、代表取締役:石川彩子)は、多店舗小売業(5店舗以上、従業員50名以上)でレジ・決済システムのDX導入経験がある責任者・担当者109名を対象に、「小売業のレジ・決済DX導入における意思決定プロセス実態調査」を実施したことを発表しました。この調査では、ベンダー比較や導入時の意思決定プロセス、導入後の満足度などが明らかになっています。
調査結果のポイントは以下の通りです。
・比較検討したベンダー数は「2~3社」が約半数、「4〜5社」も含めると7割以上
・導入前の実施事項は「現場スタッフの意見を聞いた」が42.2%でトップ
・導入満足につながった決め手は「通信断時の実証」「ピーク負荷テスト」が37.3%で同率1位
この記事の目次
- 1 調査概要
- 2 直近3年以内に導入または更新したレジ・決済システム、「セルフレジ・セミセルフレジ」が44.0%で最多
- 3 66.3%が、レジ・決済システムの導入に「満足」
- 4 満足している理由、「顧客満足度が上がった/クレームが減った」が約半数を占める
- 5 比較検討したベンダー数、2~3社が約半数、4〜5社も含めると7割以上
- 6 約4割が、比較検討したベンダー数が「適切だった」と回答
- 7 ベンダー比較、「他システムとの連携」「決済方法」など実務要件を重視。会計・売上管理などの「基本機能」も上位に
- 8 導入前の実施事項、「現場スタッフの意見を聞いた」が42.2%で最多、「導入事例を詳しく確認した」が41.3%で続く
- 9 導入後に「確認しておけばよかった」と感じた項目、「対応している決済方法の種類」が33.0%で最多
- 10 導入満足につながった決め手、「通信断時の販売継続実証」「ピーク負荷テスト」が37.3%で同率1位
- 11 まとめ
調査概要
調査名称:小売業のレジ・決済DX導入における意思決定プロセス実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2025年10月21日~同年10月22日
有効回答:多店舗小売業でレジ・決済システムのDX導入経験がある責任者・担当者109名
回答者の業種内訳は、スーパーマーケット(19.8%)、アパレル・ファッション(17.1%)、ホームセンター(8.1%)、ドラッグストア(7.2%)、家電量販店(7.2%)、専門店(3.6%)、コンビニエンスストア(2.7%)、百貨店(2.7%)、その他小売業(31.5%)となっています。
直近3年以内に導入または更新したレジ・決済システム、「セルフレジ・セミセルフレジ」が44.0%で最多
「Q1.あなたの勤務先企業で、直近3年以内に導入または更新したレジ・決済システムの種類を教えてください。(複数回答)」(n=109)という質問に対して、「セルフレジ・セミセルフレジ」が44.0%、「キャッシュレス決済端末」が43.1%という結果になりました。
人手不足対策と顧客の利便性向上を両立するセルフレジと、多様な決済ニーズに対応するキャッシュレス端末が上位を占め、小売業のDX推進において、業務効率化と顧客体験向上の両面が重視されていることがわかります。

・セルフレジ・セミセルフレジ:44.0%
・キャッシュレス決済端末:43.1%
・POSレジシステム(クラウド型):34.9%
・POSレジシステム(オンプレミス型):26.6%
・タブレット型POSシステム:18.3%
・在庫管理システム連携型POS:12.8%
・顧客管理・ポイント管理連携型POS:11.9%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:7.3%
66.3%が、レジ・決済システムの導入に「満足」
Q1で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q2.レジ・決済システムの導入後、総合的にどの程度満足していますか。」(n=101)と質問したところ、「非常に満足している」が16.8%、「やや満足している」が49.5%という結果となりました。
3人中2人が導入に満足しており、小売業のレジ・決済システムは一定の成果を上げていることが明らかになっています。

・非常に満足している:16.8%
・やや満足している:49.5%
・どちらともいえない:19.8%
・やや不満がある:9.9%
・非常に不満がある:4.0%
・わからない/答えられない:0.0%
満足している理由、「顧客満足度が上がった/クレームが減った」が約半数を占める
Q2で「非常に満足している」「やや満足している」と回答した方に、「Q3.満足している具体的な理由を3つまで教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=67)と質問したところ、「顧客満足度が上がった/クレームが減った」が49.3%、「現場スタッフが使いやすいと評価している」が47.8%、「業務が可視化・効率化された」が41.8%という結果となりました。
顧客体験の向上と現場の使いやすさが上位を占めています。「顧客満足度が上がった」という回答(49.3%)は、特に「セルフレジ・セミセルフレジ」導入者と「キャッシュレス決済端末」導入者で高い割合を示しました。
このことから、顧客満足度の向上は、「レジ待ち時間の短縮(セルフレジ)」や「支払い方法の多様化による利便性向上(キャッシュレス)」によってもたらされたと強く推測されます。導入成功の鍵は、業務効率化だけでなく、「顧客」と「現場」双方の体験向上にあることが示されています。

・顧客満足度が上がった/クレームが減った:49.3%
・現場スタッフが使いやすいと評価している:47.8%
・業務が可視化・効率化された:41.8%
・売上や回転率などの業績面で効果があった:31.3%
・費用対効果が良かった:26.9%
・トラブルがほとんど発生していない:10.4%
・ベンダーのサポートが充実していた:9.0%
・導入がスムーズに進んだ:9.0%
・その他:0.0%
・特に理由はない:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%
比較検討したベンダー数、2~3社が約半数、4〜5社も含めると7割以上
「Q4.レジ・決済システムを選定する際、何社のベンダーを比較検討しましたか。」(n=109)という質問に対して、「2~3社」が49.5%、「4~5社」が21.1%という結果となりました。
2~5社での比較が70.6%を占め、限られた選択肢の中で効率的に意思決定を行っている実態が明らかになっています。1社のみは10.1%に留まり、多くの担当者が複数ベンダーを比較しながらも、現実的な範囲での検討を重視していることがわかります。

・1社:10.1%
・2~3社:49.5%
・4~5社:21.1%
・6社以上:5.5%
・わからない/答えられない:13.8%
約4割が、比較検討したベンダー数が「適切だった」と回答
Q4で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q5.レジ・決済システム導入の際に比較検討したベンダーの数は適切だったと思いますか。」(n=94)と質問したところ、「適切だった」が39.3%という結果になりました。

・多かった:9.6%
・やや多かった:35.1%
・適切だった:39.3%
・やや少なかった:8.5%
・少なかった:3.2%
・わからない/答えられない:4.3%

比較社数別に見ると、最も多かった「2〜3社」比較層(n=54)でも、「やや多かった/多かった」(合計42.6%)と「適切だった」(42.6%)が同率で並び、評価が二分されています。
さらに、「4〜5社」比較層では62.5%が、「6社以上」では66.6%が「やや多かった/多かった」と回答しており、比較検討する社数が増えるほど、担当者が負担を感じている実態が明らかになっています。
ベンダー比較、「他システムとの連携」「決済方法」など実務要件を重視。会計・売上管理などの「基本機能」も上位に
Q4で「2~3社」「4~5社」「6社以上」と回答した方に、「Q6.レジ・決済システムのベンダーを比較する中で、あなたが実際に重視した項目を3つまで教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=83)と質問したところ、「基本機能(会計・売上管理など)」が42.2%、「他システムとの連携機能」が38.6%、「対応している決済方法の種類」が37.3%という結果となりました。
基本機能、システム連携、決済方法という実務に直結する要件が上位を占め、理想論よりも「自社の業務フローに合うか」という実践的な視点で選定が行われていることがわかります。「初期費用・月額費用」も36.1%と高く、機能とコストのバランスが重視されています。

・基本機能(会計・売上管理など):42.2%
・他システムとの連携機能:38.6%
・対応している決済方法の種類:37.3%
・初期費用・月額費用:36.1%
・操作性・画面のわかりやすさ:27.7%
・セキュリティ対策:16.9%
・サポート体制(対応時間・方法):12.0%
・周辺機器の互換性:8.4%
・繁忙期のピーク負荷対応:6.0%
・契約更新時の費用・条件変更:4.8%
・データ移行・エクスポート方法:3.6%
・カスタマイズや追加費用の条件:2.4%
・通信断時の動作可否:1.2%
・その他:0.0%
・特にない:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%
導入前の実施事項、「現場スタッフの意見を聞いた」が42.2%で最多、「導入事例を詳しく確認した」が41.3%で続く
「Q7.レジ・決済システムの導入前に、お勤め先で実施したことを3つまで教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=109)という質問に対して、「現場スタッフの意見を聞いた」が42.2%、「導入事例を詳しく確認した」が41.3%という結果になりました。
現場の声を聞くことと、他社の導入事例を確認することが上位を占め、理論や仕様書よりも「実際に使えるか」「他社で成功しているか」という実践的な判断材料が重視されていることがわかります。一方で「デモ・トライアルを実施した」は24.8%に留まり、事前の実機検証には課題があることが示唆されます。

・現場スタッフの意見を聞いた:42.2%
・導入事例を詳しく確認した:41.3%
・口コミ・評価を調べた:30.3%
・デモ・トライアルを実施した:24.8%
・複数のベンダーに見積もりを依頼した:21.1%
・ベンダーに詳細な質問リストを送った:19.3%
・他社(競合店)の状況を調査した:17.4%
・専門家やコンサルタントに相談した:5.5%
・比較サイトを利用した:5.5%
・その他:1.8%
・特にない:4.6%
・わからない/答えられない:3.7%
導入後に「確認しておけばよかった」と感じた項目、「対応している決済方法の種類」が33.0%で最多
「Q8.レジ・決済システムの導入後、『契約前にベンダーに確認しておけばよかった』と感じた項目を全て教えてください。(複数回答)」(n=109)という質問では、「対応している決済方法の種類」が33.0%、「他システムとの連携機能」が32.1%、「基本機能(会計・売上管理など)」が27.5%という結果になりました。
導入前に重視した項目と確認不足を後悔する項目が一致しており、実務要件の詳細な事前確認の重要性が浮き彫りになりました。特に決済方法や連携機能は、実際に運用して初めて不足に気づくケースが多く、具体的な業務シーンを想定した確認が必要であることがわかります。

・対応している決済方法の種類:33.0%
・他システムとの連携機能:32.1%
・基本機能(会計・売上管理など):27.5%
・セキュリティ対策:25.7%
・周辺機器の互換性:21.1%
・通信断時の動作可否:17.4%
・初期費用・月額費用:15.6%
・サポート体制(対応時間・方法):13.8%
・データ移行・エクスポート方法:11.9%
・カスタマイズや追加費用の条件:11.9%
・繁忙期のピーク負荷対応:11.0%
・契約更新時の費用・条件変更:11.0%
・返品処理・複合割引などの運用対応:9.2%
・その他:1.8%
・特にない:7.3%
・わからない/答えられない:4.6%
導入満足につながった決め手、「通信断時の販売継続実証」「ピーク負荷テスト」が37.3%で同率1位
Q2で「非常に満足している」「やや満足している」と回答した方に、「Q9.導入満足につながった決め手を3つまで教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=67)と質問したところ、「通信断時でも販売継続できることを実証できた(オフライン耐性)」が37.3%、「繁忙期のピーク負荷で処理速度をテスト確認できた」が37.3%という結果となりました。
導入前のデモ実施率は24.8%に留まる一方、満足企業の3割超が具体的な実機検証を行っており、事前の実証テストが満足度に直結していることが明らかになりました。通信断やピーク負荷など、実際の運用で起こり得る課題を事前に検証することが、導入成功の重要な鍵となっています。

・通信断時でも販売継続できることを実証できた(オフライン耐性):37.3%
・繁忙期のピーク負荷で処理速度をテスト確認できた:37.3%
・現場スタッフの実機デモで使いやすさを確認できた:32.8%
・既存システム(在庫・会計・ポイント)と連携がスムーズに動作した:32.8%
・周辺機器(レシートプリンター等)の互換性を実機確認できた:28.4%
・対応決済方法が自社要件を満たし運用フローに合致した:16.4%
・予算内で総所有コスト(導入・運用・追加開発)を見通せた:16.4%
・データ移行・エクスポート仕様が明確で移行テストを実施できた:13.4%
・サポートの初動SLAや対応品質が契約前に明確だった:9.0%
・同業・同規模の事例や口コミの信頼性が高かった:6.0%
・ベンダーの改善ロードマップが自社要件と一致していた:1.5%
・その他:0.0%
・特にない:3.0%
・わからない/答えられない:1.5%
まとめ
今回の調査では、多店舗小売業でレジ・決済システムのDX導入経験がある責任者・担当者109名を対象に、小売業のレジ・決済DX導入における意思決定プロセスの実態が明らかになりました。
導入されたシステムでは「セルフレジ・セミセルフレジ」(44.0%)と「キャッシュレス決済端末」(43.1%)が上位を占め、導入満足度は66.3%と高い水準でした。満足理由としては「顧客満足度向上」(49.3%)と「現場スタッフの使いやすさ」(47.8%)が上位を占めています。
ベンダー選定においては、「2〜3社」の比較が49.5%と最も多く、比較時に重視されたのは「基本機能」(42.2%)、「他システムとの連携」(38.6%)、「決済方法の種類」(37.3%)でした。興味深いことに、これらは導入後に「確認しておけばよかった」と感じる項目とも一致しています。
また、導入満足につながった決め手としては「通信断時の販売継続実証」と「ピーク負荷テスト」(いずれも37.3%)が同率1位となり、実際の運用を想定した事前検証の重要性が示されています。
小売業界のDX推進が加速する中、システム選定においては、価格や基本機能だけでなく、実際の運用フローとの適合性や、現場スタッフの使いやすさなど、多角的な視点での比較検討が求められています。効率的な意思決定を行うためには、実際の導入事例や現場の声を踏まえた、実践的な比較検討の場が必要であることが示唆されています。
出典元:株式会社ミツモア プレスリリース













