イプソス調査:日本人の子供のデジタル規制に対する姿勢は世界と比較して慎重 - 学校でのスマホ・AI・SNS規制に関する30か国調査結果

世界最大規模の世論調査会社であるイプソス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:内田俊一)が、教育に関する意識調査「教育モニター2025」を公開しました。この調査は日本を含む世界30か国、23,700人を対象に実施されたもので、子供のデジタル機器利用に関する規制について、日本人は世界的に見て慎重な姿勢を示す結果となっています。特に「スマートフォンの学校での使用は禁止されるべき」と考える日本人の割合は37%と、調査対象30か国中29位という特徴的な結果が明らかになりました。

調査結果の概要

学校でのスマートフォン使用禁止に関する意識 - 日本は30カ国中29位

「学校でのスマートフォンの使用を禁止すべき」と回答した日本人の割合は37%にとどまり、調査対象となった30カ国中29位という結果になりました。この数値は多くの国と比較して著しく低い水準です。

また、世代別の分析では、各世代とも世界平均と比べて約20ポイント低い傾向が見られました。特にミレニアル世代においては、世界平均との差が約30ポイントと最も大きい結果となっています。日本国内の世代間比較では、ミレニアル世代とZ世代において「禁止すべきではない」と答えた割合が「禁止すべき」を上回りました。

スマートフォンの学校での使用禁止に関する世代別調査結果
グラフ2:イプソス「教育モニター2025」

14歳未満の子供のSNS使用禁止に関する意識 - 若い世代で世界との差が顕著

「14歳未満の子供に対しては、学校内外でのSNSの使用を禁止する必要がある」という質問に対して、日本人全体の63%が同意すると回答しました。世代別の分析では、ベビーブーマー世代とX世代は世界平均とほぼ同等の水準でしたが、ミレニアル世代(58%)とZ世代(45%)では世界平均(ミレニアル世代73%、Z世代67%)を大幅に下回る結果となりました。

特に注目すべきは、Z世代における世界平均との差で、22ポイントもの開きがあり、「同意しない」と回答した割合(43%)とほぼ同レベルとなっています。この結果から、日本の若い世代は他国と比較してSNS規制に対してより寛容な姿勢を持っていることがうかがえます。

14歳未満の子供のSNS使用禁止に関する調査結果
グラフ3:イプソス「教育モニター2025」
14歳未満の子供のSNS使用禁止に関する世代別調査結果
グラフ4:イプソス「教育モニター2025」

学校でのAI使用禁止に関する意識 - 日本は30カ国中最下位

「学校でAI(ChatGPTを含む)の使用を禁止すべき」と回答した日本人の割合は21%にとどまり、調査対象となった30カ国の中で最も低い結果となりました。この数値は世界平均の37%と比較して16ポイント低く、日本人がAIの教育現場での活用に対して比較的オープンな姿勢を持っていることを示しています。

学校でのAI使用禁止に関する調査結果
グラフ5:イプソス「教育モニター2025」

調査結果に対する見解

今回の調査結果について、イプソス株式会社代表取締役社長の内田俊一氏は次のようにコメントしています。

「本調査の結果から、日本人は子供のデジタル規制について、『禁止すべき』と強く否定する姿勢が他国と比べて少ないことが明らかになりました。世界的には安全面や依存症の観点から禁止を支持する声が強い傾向があるのに対し、日本においては単純な禁止よりも、自ら考えながら使用する経験を重視する傾向が表れているのかもしれません。」

「特に注目すべきは、Z世代における結果です。『禁止すべき』と回答した割合が他の世代と比較して圧倒的に少なく、自分たちの生活や将来に直結するデジタルテクノロジーを『奪うものではなく、ともに育てていくもの』と捉えている可能性があります。このような意識の違いは、今後のデジタル教育や規制のあり方に重要な示唆を与えるものと考えられます。」

内田氏はさらに、「本調査は今後も定期的に実施し、意識の変化を継続的に追跡していく予定です。次回の調査結果も改めて公表させていただく予定です。」と述べています。

調査の背景

イプソス社では教育に関する世界の人々の考え方やその変化の動向を観測し理解するための調査を継続的に実施しています。今回の調査は、デジタル時代における教育のあり方や子供のデジタル機器利用に関する規制について、グローバルな視点から理解を深めることを目的としています。

調査概要

調査方法:イプソス グローバルアドバイザー調査プラットフォーム、IndiaBus プラットフォームを使用したオンライン調査

調査対象:世界30か国23,700人

対象年齢:国によって異なり、インドでは18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、イスラエル、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国では18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、その他の国では16~74歳となっています。

まとめ

本調査は教育に関する国際比較を可能にする貴重なデータを提供しており、各国の文化的背景や教育制度の違いを考慮しながら、デジタル機器と教育の関係性について理解を深める一助となっています。特に日本における結果は、他国との違いが顕著であり、日本社会のデジタル教育に対する独自の価値観や姿勢を示唆するものと言えるでしょう。

調査対象となった世代区分には、Z世代(1997~2012年生まれ)、ミレニアル世代(1981~1996年生まれ)、X世代(1965~1980年生まれ)、ベビーブーマー世代(1946~1964年生まれ)が含まれており、世代間の意識の違いについても分析されています。

世界的に見ると、子供のデジタル機器利用に関する規制については国や地域によって大きな差異が見られ、文化的背景や教育方針、デジタル技術の普及度などが影響していると考えられます。今回の調査結果は、グローバル社会におけるデジタル教育のあり方を考える上で重要な示唆を提供しています。

日本における結果は、デジタル機器の教育現場での活用について、単純な禁止よりも適切な利用方法の教育や経験を重視する傾向を示唆しており、今後の教育政策や学校現場での取り組みに参考となる視点を提供しています。

出典元:イプソス株式会社 プレスリリース

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