【調査】GoogleやMetaへの広告集中に警鐘、多様化で214%のROAS向上が可能に―Moloco新レポート発表

運用型機械学習とパフォーマンス広告分野をリードする企業Moloco(本社:カリフォルニア州レッドウッドシティ、共同創業者・CEO:Ikkjin Ahn)が、新たな調査レポート「独立系アプリエコシステムでパフォーマンスを向上: GoogleやMetaの外でアプリの成長を引き出す」を発表したことが明らかになりました。Sensor TowerとSingularとの共同調査によると、多くの企業のマーケティング予算の88%がGoogleやMetaといったウォールドガーデンに集中している一方で、より幅広いアプリにリーチするようメディアミックスを多様化させた広告配信によって、最初の30日間(D30)の広告費用対効果(ROAS)を最大214%向上できることが示されています。

Molocoのシニアインサイトマネージャーであるトム・シャドボルト氏は「多くの広告主やモバイルアプリマーケターは、現在もGoogleとMetaに過度に依存している状況です。しかし今回の調査結果から、大手プラットフォーム以外にも広告を配信することでより高い広告費用対効果が得られることが判明しました。オープンな独立系アプリのエコシステムもターゲットに含めることで、予測可能で長期的なパフォーマンスの実現が可能になります」と述べています。

2024年には、エンターテイメント、金融、宅配などのゲーム以外のカテゴリーにおける日本の消費者向けアプリのアプリ内購入(IAP)とサブスクリプション収益が約8,000億円(54億米ドル)に到達しました。世界的に見ても、消費者向けアプリの収益は2023年から25%増加し、705億米ドルに達しています。この成長傾向は今後も加速し、2年以内にはゲーム収益を初めて上回ると予測されています。同レポートでは、消費者向けアプリの広告主がこの成長機会を活用するための重要なポイントが紹介されています。

主な調査結果

GoogleとMetaへの広告予算集中と多様化の必要性

調査によると、消費者向けアプリの広告予算の88%がGoogleやMetaなどのウォールドガーデンに集中していることが判明しました。しかし、世界中のユーザーは、これらの大手プラットフォーム以外でも多くの時間を過ごしています。GoogleとMetaだけでなく、その他のプラットフォームも含めて広告予算を多様化させることで、大幅な広告費用対効果の改善が期待できます。実際に、GoogleとMeta以外のチャネルも含めて配信先を多様化した消費者向けアプリマーケターは、30日目の広告費用対効果が最大214%改善したという結果が出ています。

モバイルアプリ市場の地域差と成長動向

モバイルアプリの成長は成熟市場では鈍化している傾向がある一方、新興市場では加速していることも明らかになっています。米国、英国、ドイツ、日本などではアプリ利用時間が横ばいになっているのに対し、南アフリカ、インド、フィリピンではモバイルアプリに費やす時間が急増しています。この結果は、多様なアプリでのリーチが持続可能な成長に不可欠であることを示しています。

ユーザーの利用傾向の変化

米国、英国、インドでは、ソーシャル/エンターテイメントアプリに費やされる時間が減少傾向にある一方、カジュアルゲーム、生産性向上、生成AI関連のアプリの利用時間が増加していることが確認されています。興味深いことに、これらの国の18〜34歳のユーザーの半数以上が、ソーシャルメディアの使用を減らしたいと考えていることも調査で明らかになっています。日本においても同様に、ソーシャルメディアやエンターテインメントアプリの利用時間の減少が顕著に見られています。

独立系アプリエコシステムの可能性

独立系アプリエコシステムは、TikTok、Instagram、Threads、Facebook、およびRedditの合計ユーザー数に匹敵するリーチの可能性を秘めています。日本においては、独立系アプリのエコシステムが6,400万人以上のデイリーアクティブユーザー(DAU)を有しており、これはTikTok、Instagram、Threads、Facebook、およびRedditの合計DAUを上回る規模となっています。

多様性の重要性

調査結果から、多様性の高い在庫がパフォーマンス促進の鍵となっていることも判明しています。価値の高いユーザーは何千ものアプリに分散しているため、すべてのコンバージョン機会を最大化するためには幅広いリーチが不可欠です。

米国の人気カーシェアリングマーケットプレイスTuroの獲得マーケティングディレクターであるヴァレリー・カストロ氏も「ソーシャルメディアのパートナー以外にもチャネルを拡大した結果、プラットフォームでの予約が増加し、インクリメンタリティモデルによってこの有効性が確認されています。今後はクリエイティブ面でのスピードを強化し、さらなるパフォーマンス向上に取り組んでいきます」と述べています。

調査方法について

今回の調査は、Moloco、Sensor Tower、Singularが共同で実施したもので、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、日本、メキシコ、韓国、英国、米国、ベトナムのモバイルアプリ広告費と消費者の行動分析を行っています。分析対象期間は2024年1月から12月までで、すべてのデータは匿名化されて集計されています。なお、カテゴリー別および市場別の結果については、「30以上のアプリおよび5万米ドル以上の広告費または収益」という信頼性の高いしきい値を満たすデータのみが使用されています。

調査に使用されたデータセットには以下が含まれています。

  • Molocoによる、チャネル全体における世界のモバイルユーザー獲得コストの社内予測データ
  • Singularによる50億米ドル以上の広告費と2,000件のゲームおよび消費者向けアプリのメタ分析。GoogleとMetaにほぼ限定している場合と、主要プラットフォームと独立系アプリエコシステムに分散させている場合の広告費の比較
  • Sensor TowerのMobile App InsightsとAudiences Insightsの両ツールが提供する国レベルとオーディエンスレベルの利用時間に関するデータ、および主要広告プラットフォームのDAUトレンド

調査レポートでは、「オープンな独立系アプリのエコシステム」を「Google、Meta、Appleなどの大手テクノロジー企業ではなく、独立企業によって開発、配信、収益化される何百万もの多様なモバイルアプリ」と定義しています。また、ソーシャルメディア使用に関するデータは、2025年6月にMolocoがYouGovに委託して実施した調査に基づいており、米国、英国、インドでの合計3,000人のモバイルユーザーを対象にアプリ使用と感情を追跡したものです。

詳細な調査レポートは、Molocoの公式サイトから閲覧できます。

Molocoについて

Molocoは、機械学習を通じてあらゆる規模の企業の成長を支援することをミッションとしている企業です。同社の機械学習プラットフォームは、アプリパブリッシャー、ECマーケットプレイス、ストリーミング事業者が独自のファーストパーティデータの価値を最大限に引き出すことを可能にしています。

主なソリューションとして、予測モデルによりパフォーマンスマーケターのモバイルアプリユーザー獲得を迅速に拡大する「Moloco Ads」、小売業者やマーケットプレイスが独自の広告ビジネスを展開できるようにする「Moloco Commerce Media」、ストリーミング事業者に革新的な収益化戦略を提供する「Moloco Streaming Monetization」などがあります。

Molocoは2013年に機械学習エンジニアのチームによって設立され、現在は米国、英国、ドイツ、韓国、中国、インド、日本、シンガポールにオフィスを構えています。

出典元: Moloco プレスリリース

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