
世界No.1求人サイト「Indeed(インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:淺野 健)が、仕事を探す際に求職者が検索する時給(検索時給)の動向について、2025年4月時点でのデータを分析し公開したことを発表しました。
Indeedでは求職者が仕事探しをする際、職種や雇用形態だけでなく、具体的な賃金額(時給や年収)をキーワードとした検索も行われているとのことです。同社によれば、これらの検索賃金データを分析することで、求職者が一般的に希望する賃金水準を把握することが可能になるとしています。
求職者の希望賃金額である検索賃金は、労働市場の状況や将来的な消費動向、インフレーションに対する理解、さらには最低賃金のあり方などの賃金政策に関する議論にも役立つ可能性があるとIndeed Japanは説明しています。また、最低賃金と検索賃金の両方を把握することで、採用企業は求職者が希望する賃金水準を理解し、適切な賃金設定の検討に活用できると考えられています。
今回の分析では、検索賃金の中でも時給に焦点を当て、Indeedにおいて検索されている時給額(検索時給)について詳細な調査が行われました。
この記事の目次
「仕事探しにおける検索時給の動向」主要ポイント
- 検索時給は平均1,539円。6年間で22.3%、昨年からは2.1%上昇
2025年4月時点のIndeedにおける検索時給の加重平均値は1,539円で、2019年4月の1,258円から6年間で22.3%(281円)上昇。2024年4月の1,507円からは、2.1%(32円)上昇しています。
- 最低賃金と検索時給の差は484円で、昨年より19円分縮まっている
国が定める最低賃金の全国加重平均額は1,055円で、昨年の1,004円から51円(5.1%)上昇しています。最低賃金と求職者の希望時給額を示唆する検索時給の差は484円となり、昨年の503円よりも19円分差が縮まっています。
- 検索時給は昨年同様三大都市圏が高い。検索時給の上昇額は、昨年から順位に大きく変動があるものの地方圏で大きい傾向は変わらず
都道府県別の検索時給は、上位4位は昨年と変わらず、東京都(1,644円)、大阪府(1,599円)、北海道(1,589円)、神奈川県(1,583円)という結果になりました。一方、昨年からの検索時給の上昇額では、上位の顔ぶれが大きく変わり、今年の上位3位は青森県(+154円)、長野県(+148円)、鳥取県(+134円)となっています。地方圏が上位を占める傾向は昨年と変わりません。
- 最低賃金と検索時給の差額が最も大きいのは北海道。半導体産業活性化の影響か
都道府県別に最低賃金と検索時給の差額を見ると、差の大きい上位3位は北海道(579円)、熊本県(576円)、山口県(524円)でした。上位2道県は、半導体産業の活性化が影響している可能性があると考えられています。
Indeed Hiring Labエコノミスト 青木 雄介氏 コメント
検索賃金の平均値は2024年2月から1,500円を超えるようになり、検索時に使われる金額の「区切り」の影響(仕事検索時は、1,500円、1,600円、などの区切りの良い数値が使われやすい)もあり、2024年2月以前と比べると上昇率はやや落ち着いてきてはいるものの、それでもインフレの継続的な影響を受け、2025年4月時点でもなお検索賃金は1,539円と、着実に上昇し続けていることがわかります。
都道府県別に見れば、検索金額そのものが大きいのは、物価が相対的に高く労働市場での競争の激しい三大都市圏が中心です。一方で、検索賃金の上昇額は地方の方が大きい傾向にあり、昨年と比べ、上昇額の大きい都道府県の顔ぶれも変わってきています。

2025年4月は、青森県や長野県、鳥取県などで検索賃金が大きく上昇しました。背景には、全国に引けを取らないインフレ率の上昇や、昨年の金額が低かったことによる反動、光熱費等特定のコスト増と需要増による賃金引き上げの期待、インバウンドの増加等に伴う賃金上昇の期待などが考えられます。しかし、局所的な理由を除けば、上昇率の高い地方が時間とともに徐々に入れ替わっていく傾向を見ると、全国的なインフレの波が都市部から地方に波及していき、それに対する求職者の反応が出てきているからではないかと見ています。
「仕事探しにおける検索時給の動向」詳細
検索時給は平均1,539円。6年間で22.3%、昨年からは2.1%上昇
2025年4月にIndeed上で検索された時給(検索時給)の平均値は1,539円で、2019年4月の1,258円から6年間で22.3%(281円)、昨年4月の1,507円から2.1%(32円)上昇していることが明らかになりました。
労働市場における人手不足や継続的な物価高も背景に、賃上げ機運が高まっており、実際、2025年5月時点のパート従業員の賃上げ額(時給)は68円(前年比5.9%)となっています。この結果からも、求職者はより高い賃金を求めていることが示されています。
2030年代半ばまでに最低賃金を1,500円に引き上げることを目標に掲げていた政府は、さらに予定を前倒しにして2020年代の実現を目指すとしていますが、検索時給の平均値が1,539円に達していることから、既に求職者の希望時給額はその水準を超えていることがわかります。
Indeed における検索時給の加重平均値、パートタイム労働者の時給実績、最低賃金の全国加重平均額の推移。期間は2019年1月から2025年4月まで。ただしパートタイム労働者の時給実績については最新月である2025年2月までとなっています。
最低賃金と検索時給の差は484円で、昨年より19円分縮まっている
国が定める最低賃金は、2025年4月時点で全国加重平均額1,055円となり、検索時給の平均値1,539円との差は484円になります。
2024年度の最低賃金の平均引き上げ額は過去最高の51円で、前年の全国平均1,004円から5.1%上昇しています。検索時給の上昇額は32円(2.1%上昇)だったことから、最低賃金と求職者の希望時給額を示唆する検索時給の差は、昨年の503円よりも19円分縮まっていることがわかりました。
検索時給は昨年同様三大都市圏が高い。検索時給の上昇額は、地方圏で大きい傾向は変わらず
希望する時給水準についての地域的な特徴を明らかにするために、勤務地として検索されている都道府県別に、検索時給の平均額が比較されました。
2025年(1月〜4月)の検索時給平均額を見ると、高い順に東京都(1,644円)、大阪府(1,599円)、北海道(1,589円)、神奈川県(1,583円)、千葉県(1,542円)という結果でした。上位4位までは昨年と同様の結果となっており、2024年(1月〜4月)において6位だった千葉県が、今年は5位となっています。昨年も今年も、検索時給の上位は三大都市圏が中心となっていますが、これは三大都市圏では、生活費の高さや企業間の人材獲得競争がより激しいことによって賃金水準が高まり、連動して高賃金を得ることを求職者が期待するためであると考えられています。

続いて、検索時給平均額の上昇額について調査が行われました。2024年(1月〜12月)と2025年(1月〜4月)の検索時給平均額を比較し、前年からの上昇額が都道府県別に比較されました。その結果、上昇額が大きい順に青森県(+154円)、長野県(+148円)、鳥取県(+134円)、大分県(+114円)、岩手県(+113円)となりました。最低賃金の上昇額51円を上回っていたのは、14県に上ります。昨年の上昇額上位の顔ぶれとは入れ替わっていますが、今年も昨年と同様に、地方圏が上位という結果になっています。

最低賃金と検索時給の差額が最も大きいのは北海道。半導体産業活性化の影響か
続いて、最低賃金と検索時給の差額が調査されました。その結果、差が大きい順に北海道(579円)、熊本県(576円)、山口県(524円)、大分県(512円)、沖縄県(504円)となりました。また、全国平均の最低賃金と検索時給の差である484円を上回っているのは6道府県あることがわかりました。
差額が最も大きかった北海道と次に大きかった熊本県は、昨年からさらに差額が大きくなっています(北海道は昨年4位で534円、熊本県は昨年3位で542円)。北海道では半導体メーカーの半導体製造工場建設が進んでおり、熊本県では半導体製造工場建設が完了し、量産のフェーズに入り、半導体関連の物流需要への対応を目的に物流施設の建設も進むなど、新たな産業活性化の勢いがさらに増しています。最低賃金と差が開いている一因として、雇用への期待の高まりから、北海道や熊本県では高い時給への関心を牽引している可能性が考えられるとしています。

調査・分析概要
- 調査・分析主体:Indeed Japan株式会社
- 調査・分析対象期間:2019年1月〜2025年4月
- 調査・分析方法:検索時給の加重平均値の算定方法
- 10円刻みの値を賃金帯として、賃金帯ごとに検索数および賃金検索数全体に占めるシェアを計算。
- 各賃金帯と上記シェアの掛け合わせで算出。
※本分析では、日本で、 Indeed 上で検索された賃金に関連するキーワードのうち、時間給のみの検索を分析対象としており、月給や年収の検索は分析対象外となっています。
出典元: Indeed Japan株式会社 プレスリリース