
SNSが日常生活に欠かせないインフラとなった現代社会では、人々は毎日膨大な情報に触れ、判断し、時には行動に移しています。しかし、情報源やSNSの使い方、購買行動への影響は世代によって大きく異なることが明らかになりました。
株式会社PRIZMAが実施した「2025年最新版|世代別のSNS利用状況に関する調査」によると、Z世代(15〜27歳)、Y世代(28〜42歳)、X世代(43〜58歳)では、メディア接触やSNSの活用方法に顕著な違いがあることがわかりました。本記事では調査結果の重要なポイントをご紹介します。
この記事の目次
情報源は「SNS」が最多、X世代はテレビやニュースサイトも重視
まず注目すべきは日常的な情報接触源の違いです。調査では「普段チェックする情報源について教えてください」という質問に対し、全体で『SNS(84.6%)』が最も高い結果となりました。続いて『テレビ番組/テレビCM(51.6%)』『ウェブサイト(39.2%)』『オンラインニュースサイト(37.9%)』という順位になっています。

特にZ世代では『SNS』が約9割を占め、情報収集が完全にモバイル中心にシフトしていることが明確になりました。YouTubeやInstagram、TikTokなどの視覚的コンテンツが中心で、自然と情報に出会うパッシブ型の接触が主流となっています。
一方、X世代では『テレビ(67.1%)』『オンラインニュースサイト(54.6%)』『ウェブサイト(56.8%)』といった従来型メディアの利用率が高く、情報の信頼性や網羅性を重視する傾向が見られます。
この結果から、世代によって「情報の入口」が大きく異なることが明確になり、各世代に適したチャネル設計の重要性が浮き彫りになりました。
SNS媒体は「LINE」「YouTube」が全世代で高い普及率、年収による違いも
年収レンジごとのSNS利用状況を比較すると、さらに興味深い傾向が見えてきます。「普段使用しているSNS媒体について教えてください」という質問では、『LINE(88.0%)』『YouTube(77.3%)』『Instagram(66.9%)』が上位を占め、『X(旧Twitter)(58.9%)』も半数以上に利用されていることがわかりました。

LINEは年収や年齢に関わらず高い普及率を示しており、SNSというよりもむしろ「通信インフラ」として機能していることがうかがえます。『Tiktok』は『200万円未満』の年収層で39.31%と特に高い利用率を示しており、時間の自由度や娯楽ニーズの高さが影響していると推測されます。
一方で、『Facebook』は500万円以上の高年収層で27.55%とやや高い傾向があり、年齢層や職場でのコミュニケーションツールとしての用途に関連していると考えられます。
SNSの利用目的・使用時間・視聴傾向の世代間ギャップ
調査では「SNSをどのような目的で使い、どのような情報に触れているのか」についても詳しく分析されています。Z世代はSNSを「自己表現」や「友人とのつながり」のツールとして捉える傾向が強い一方、X世代では「関心分野の情報収集」や「トレンド把握」といった実用的な目的が目立つなど、利用意識の構造に明確な違いが見られました。
また、1日の平均利用時間や、接触するコンテンツの種類(動画・画像・ストーリーズ・ライブ配信)についても世代間で顕著な差があることが報告されています。
フォロージャンルは"推し"と"実益"で分岐、世代間の関心の違い
SNSの利用実態を理解する上で重要なのが、「どんなジャンルに関心を持ってフォローしているか」という点です。「SNSで興味を持って、よくフォローするジャンルを教えてください」という質問に対し、全体では『グルメ・料理(35.8%)』『エンターテイメント(35.1%)』『ファッション(31.8%)』『旅行・観光(29.3%)』が上位となりました。

Z世代では『ファッション』『ビューティー・コスメ』など"自己表現"や"トレンド"に関するジャンルへの関心が高い一方、X世代では『グルメ・料理』『旅行』『スポーツ』といった"生活密着型"の関心が強い傾向が見られました。Y世代はその中間的な特徴を示し、幅広いジャンルに関心を持っていることがわかります。
この結果から、SNS上で「何をフォローするか」は世代ごとの価値観やライフスタイルを如実に反映しており、ターゲット層に合わせたコンテンツ設計の重要性が浮き彫りになっています。
インフルエンサー投稿の影響力、Z世代で特に高い傾向
SNSにおいて購買行動や認知に強い影響を与える存在として、インフルエンサーの役割も調査されました。「SNSのインフルエンサーの投稿にどのくらい影響を受けますか?」という質問では、『少し影響を受ける(40.8%)』が最多となり、『とても影響を受ける(7.8%)』と合わせると約半数がインフルエンサーの投稿から何らかの影響を受けていることが明らかになりました。

特にZ世代では『とても影響を受ける(11.8%)』の割合が他世代より高く、日常的にインフルエンサーの発信を参考にしている傾向が見られます。対照的に、X世代では『まったく影響を受けない(30.1%)』が最も多く、情報源としての信頼度や関心度に大きな差があることがわかりました。
Z世代は"推しに影響される"、X世代は"情報に慎重"──SNS世代間ギャップの全体像
今回の調査結果から、Z世代・Y世代・X世代におけるSNS活用の違いが明確になりました。Z世代は情報源としてのSNS依存度が非常に高く、インフルエンサーの影響も強く受ける傾向にあります。一方でX世代は、テレビやニュースサイトなど従来型メディアを重視し、SNSの影響度は比較的低い状態を維持しています。
各世代で支持されるSNS媒体にも違いがあり、LINEとYouTubeは全年代で高い利用率がある中、TikTokは若年層を中心に、Facebookは高年収層で根強い支持を得ていることがわかりました。
特に注目すべきはフォロージャンルの世代差です。Z世代は『ファッション』『ビューティー・コスメ』といった"感性・自己表現型"のジャンルが上位を占め、X世代は『グルメ・旅行』『スポーツ』といった"実用・ライフスタイル志向"が中心となっています。Y世代はその中間的な特徴を示しました。
こうした違いを踏まえると、企業は世代に応じたSNS戦略と情報設計が不可欠であり、「誰に・何を・どう届けるか」がこれまで以上に重要になっていると言えるでしょう。
調査概要
【調査テーマ】2025年最新版|世代別のSNS利用状況に関する調査
【調査期間】2025年5月16日(金)~5月19日(月)
【調査方法】PRIZMAが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
【調査対象】全国のZ世代(15~27歳)、Y世代(28~42歳)、X世代(43~58歳)の方
【調査人数】525人
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
調査設問
Q1. 普段チェックする情報源について教えてください
Q2. あなたの年収レンジを教えてください
Q3. 普段使用しているSNS媒体について教えてください
Q4. SNSを使用している目的を教えてください
Q5. 1日あたりのSNSの平均合計使用時間を教えてください
Q6. SNSでよくみるコンテンツの種類を教えてください
Q7. SNSで興味を持って、よくフォローするジャンルを教えてください
Q8. どのようなきっかけで企業やブランドのSNSをフォローしますか?
Q9. 企業やブランドのSNSをフォローしてから、商品の購入に至った経験はありますか?
Q10.SNSのインフルエンサーの投稿にどのくらい影響を受けますか?
出典元:株式会社PRIZMA プレスリリース「2025年最新版|世代別のSNS利用状況に関する調査」