【調査結果】UI/UX改善の実態:多くの企業が部分対応にとどまる現状と課題が明らかに

近年、企業のWebサイトにおいて成果に直結する重要な施策としてUI/UX改善が注目されています。しかし、多くの企業では実際のところ部分的な対応にとどまっているという実態があるようです。

Webマーケティング支援サービスを提供するECマーケティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:中山高志)は、このたびUI/UX改善に取り組む実務担当者219名を対象にアンケート調査を実施しました。

この調査では、UI/UX改善に関わる多様な取り組みの現状が明らかになると同時に、成功に必要な視点や今後の改善ポイントについての考察がまとめられています。

アンケート回答者:サイトのUI/UX改善に取り組む実務担当者219名
アンケート回答期間:2025/5/7~2025/5/8
アンケート機関:ECマーケティング株式会社
アンケート方法:インターネット調査

本記事では調査結果の一部を抜粋してご紹介します。

UI/UX改善に取り組む企業の実態

まず、UI/UX改善はどのような業種・サイトで行われているのか、その現場の輪郭を見ていきましょう。

担当サイトで扱う主な商材

UI/UX改善の対象として最も多かったのは「ITサービス・ソフトウェア」を商材とする企業で、全体の28.2%を占めています。次いで「法人向けサービス(11.0%)」「日用品・生活雑貨(11.0%)」といった商材が続いています。

この結果から見えてくるのは、情報量が多く導線設計が重要なIT商材や法人向けサービス、あるいは商品単価が低く成果をWeb上で可視化しやすい日用品・食品などの分野で、UI/UX改善に積極的に取り組む傾向があるということです。

担当サイトの種類

UI/UX改善の対象となるサイトとしては、「コーポレートサイト」が57.5%と最も多くなっています。この背景には、コロナ禍を機に営業活動がオフラインからオンラインへシフトした中小零細企業の増加があると考えられます。単なる企業情報の掲載にとどまらず、問い合わせや資料請求などWebサイトを通じた営業強化を図る企業のトレンドが表れているようです。

また、「ブランド・製品サイト」(52.1%)や「採用サイト」(39.7%)も一定数見られ、直接的なコンバージョン以外の目的を持つサイトでもUI/UX向上が重視されていることが分かります。企業活動において「成果を生む窓口」としてのWebサイトの役割が全体的に広がっていると言えるでしょう。

Web販促にかける年間予算

UI/UX改善を含むWeb販促の年間予算については、「500万~1,000万円未満」(26.9%)と「500万円未満」(21.9%)が多数を占めています。この結果からは、中堅~中小規模の企業を中心に、限られたリソースの中でUI/UX改善に取り組んでいる企業の姿が見えてきます。

一方で、「5,000万円~1億円未満」(15.1%)と回答した企業も一定数存在しており、大規模な予算を確保して戦略的にUI/UX改善を進めている層も無視できない割合であることが分かります。

UI/UX改善に取り組む目的と施策の実施状況

今回の調査からは、企業がUI/UX改善に取り組む具体的な背景や目的が明確に見えてきました。

UI/UX改善の目的

UI/UX改善に取り組む最大の目的として挙げられたのは、「CV(売上・問い合わせ数)の増加」(26.9%)と「CVR(コンバージョン率)改善」(20.1%)でした。これらは直接的なビジネス成果に関わる指標であり、UI/UX改善が明確に売上への貢献を意識して進められていることを示しています。

また、「回遊性の向上」や「直帰率・離脱率改善」なども目的として挙げられており、ユーザー行動の最適化もUI/UX改善の重要な視点となっていることが分かります。

UI/UX改善における外部コンサルの活用実態

UI/UX改善を自社だけで完結させるのは容易ではなく、必要に応じて外部コンサルを活用する企業も少なくありません。どの程度の企業が外部の力を借りているのか、また外部支援にどれほどの予算をかけているのかという実態を見ていきましょう。

外部コンサルの活用状況

UI/UX改善における外部コンサルの委託状況を見ると、「継続的に委託中」(34.7%)と「スポットでの委託」(32.4%)が多く、およそ3人に2人が何らかの形で外部支援を受けていると回答しています。

一方で「委託したことがない」(21.0%)と社内で完結させているケースも一定数存在しており、外部コンサルの関与度合いは企業によって大きく異なることが見て取れます。

外部委託の費用

外部コンサルを活用していると回答した163名に対し、その年間予算を尋ねたところ、「100万円~500万円未満」が全体の約34%を占め、「500万円~1,000万円未満」(25.8%)が続いています。1,000万円未満に収まっているケースが多数派である一方、「5,000万円以上」(10.4%)とする企業も一部存在しています。

組織内の取り組み体制と知見の整備状況

UI/UX改善を成功させるためには、社内体制や知見の共有が不可欠です。しかし今回の調査では、「専任不在」「ナレッジの分散」など、内部リソースの課題が浮き彫りになりました。

UI/UX改善の運用体制

改善活動の運用体制については、「兼任のスタッフがPDCAを回している」(46.1%)が最も多く、「専任のスタッフがPDCAを回している」(27.4%)と回答した割合は比較的少ないことが分かりました。

さらに「誰もPDCAを回していない・何もできていない」(20.6%)という回答も相当数見られ、リソースや体制構築の面で課題を抱えている企業が少なくないことが明らかになっています。

UI/UX改善に対する社内評価

UI/UX改善に対する社内の評価状況について、「数値的成果まで含めて評価されている」と回答したのは35.6%でした。一定数の企業では取り組みが評価されている一方、「取り組みの姿勢のみ評価されている」(31.5%)という回答も多く、取り組み自体は認められていても成果指標に基づく明確な評価に至っていない企業も少なくないことが見て取れます。

また、「評価されていない」(14.6%)や「評価状況が分からない」(7.8%)とする層も一定数存在し、組織内での改善活動の位置づけがあいまいなケースも少なくないようです。

UI/UX改善の成果と今後への課題

実際にUI/UX改善に取り組んだ結果、どのような成果が得られているのでしょうか。調査からは多くの担当者が一定の手応えを感じている一方で、効果を具体的に把握できていない実態も見えてきました。

UI/UX改善の成果認識

これまでのUI/UX施策について「成功している」(19.6%)、「概ね成功している」(36.1%)を合わせると、半数以上の担当者がポジティブな評価をしていることが分かります。

ただし、「どちらともいえない」(32.0%)という回答も多く、成果が明確に把握できていない状況も一部見受けられます。

外部コンサルの活用状況による成果の差

興味深いことに、UI/UX改善に対する成果実感は外部コンサルの活用状況によって大きく異なる傾向が見られました。

「継続的に委託している」と回答した層では43.4%が「成功している」と評価しており、全体の傾向と比較しても高い水準となっています。「不定期にスポットで委託している」層では「成功している」(12.7%)、「概ね成功している」(60.6%)と、おおよそ成功していると捉える担当者が多いものの、その成功実感はやや薄い傾向があります。

一方、「以前委託していた」「委託したことがない」と回答した企業では半数以上が「どちらともいえない」としており、取り組みと成果のつながりを測りきれていない実態が浮かび上がっています。

外部コンサルを導入している企業では、施策立案や実行支援だけでなく、KPI設計や効果測定の仕組みづくりを含む包括的なサポートを受けているケースも多く、改善の成果を明確に把握しやすい環境が整っていると考えられます。これに対し、内製のみで改善を進めている企業では、「何が成果に直結しているのか」「改善施策が有効だったのか」といった検証が難しく、結果として判断しきれない状態にとどまってしまっていることが推察されます。

UI/UX改善で得られた具体的成果

具体的な成果について「大きな成果あり」「一定の成果あり」と回答した割合は、「売上・問い合わせ数の増加」(53.9%)、「CVR改善」(49.3%)、「回遊性・滞在時間向上」(48.0%)と、それぞれ多くの担当者が成果を実感していることが分かりました。

ただし、「変化なし」「以前より悪化した」「効果不明」とする回答も各項目で半数近くあり、取り組みと成果を評価するためのKPI設計や計測方法が不明確な企業や、具体的な成果が出ていない企業も少なくないことがうかがえます。

UI/UX改善における現在の課題

現在感じている課題としては、「スキル不足」(49.8%)、「リソース不足」(42.5%)、「システム上の制約」(44.3%)が上位に挙げられました。人的・技術的・構造的な課題が複合的に存在している状況が見て取れます。

また、「効果が数字で見えにくい」といった可視化に関する悩みも31.5%に及んでおり、改善活動の効果をどう検証するかも重要なテーマになっていることが分かります。

まとめ

今回の調査を通じて、多くの企業に共通して見られたのは、「UI/UX改善にはすでに取り組んでいるものの、効果の可視化や体制整備といった運用面には依然として課題が残っている」という実態です。改善活動に一定の成果を感じている企業も少なくない一方で、「評価軸が定まらない」「社内に知見が蓄積されない」「PDCAが継続できない」など、多面的な悩みも浮き彫りになっています。

こうしたギャップを埋めるためには、単に「施策をやる」だけでなく、それを確実に成果へと結びつける設計力と実行体制が不可欠です。調査結果からも、実力ある外部コンサルの必要性を感じている企業は少なくなく、専門的な視点や第三者の知見を取り入れることが、改善を次のステージへ進める有効な手段となっていることが示唆されています。

実績とノウハウを持つパートナーの力を借りながら、改善の目的整理から実行・定着までを一貫して支援してもらうことで、ようやく「取り組んだだけ」に終わらないUI/UX施策が実現します。UI/UX改善を一過性のプロジェクトとして捉えるのではなく、企業の持続的な成長につなげるための戦略的取り組みとして定着させていくことが今後より求められるでしょう。

出典元:ECマーケティング株式会社 プレスリリース

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